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◆15・いざ行かん!


 誰でもわかる前回のあらすじ!

 ―――――『準備完了リリたん、ドアを開ける!』




 ちょっぴりドアを開き、隙間から外を窺い見る……。




 ――暗っ!




 え~? 何も見えないんですけど? 何も見えねぇ……。




 ――…………。




 ――やれやれ……、初手からとんだトラップだぜ。




 もう少しドアを開け、耳をすまして人の気配がなさそうなことを確認したら、更にもう少しドアを開けた。隙間から頭をちょっこり出して左右確認をする。右側の奥の方にはいくつか灯りがあるようだけど、私が行くのは左だ。



 え~、灯りどうしよ~。超ちっさいのにしてるけど、一応消す? 上の方を超ゆっくり浮いて行けば、真っ暗でも大丈夫かな。〈ライト〉を消して、更にドアを開いてするりと抜け出し、上の方を飛ぶ。



 ゆっくりゆっくり左の方に飛び『あれ~? 当初の予定ではすぃ~っと飛んで、すぃ~って行くハズだったんですけど~?』と首を傾げながら進み、更に左に曲がろうとしたところで、通路奥の左側から光が漏れていることに気付いた。



 ちょっとビクってしたけど、〈認識阻害〉かけてるから大丈夫なハズ。光が漏れているのは、突き当たりを左に曲がった先の通路からのようで、今いる通路には灯りはない。見えてる光を目指して今度こそ『すぃ~っ』と進む。



 少し目が暗闇に慣れたのか、うっすら右手に扉が見えた。多分、この扉から外に出られる……んだけど、左手側にドアのない部屋があって、ちょっと気になって覗いてみたら、炊事場っぽい所だった。


 

 え? 食材とかあったら頂いちゃう? え? 良心? この家に対して、そんなもの持ち合わせていませんが? まぁ、本邸の食材とは別かもしれないけど、貰えるモノは貰っちゃうぜ! え? 使用人に罪はない? いやいや、リリアンヌをあの部屋に運んだのきっと使用人だぜ? この家の人間、一人残らずリリたんの敵だぜ?



 人の気配はないし、ここなら〈ライト〉を出しても、入口側に来ない限り見えないハズ。オレンジ色のちっさいライトを浮かべて、アレコレ見ていく。



 入って右奥側にドアがあって、ちょっくら覗いてみたら、麻袋っぽいものがいくつか並び、箱もいくつか積まれていた。『鍵とかないんかぁ~い!』と心の中でツッコミながら物色すると、中身は案の定、小麦粉っぽいモノや、野菜っぽいモノだった。



『むはははは! リリアンヌゥ~、お主もワルよのぉ~!』

『いえいえ! お花ンヌ様ほどでは御座いませんよ~! むはははは~!』



 ……と、脳内一人芝居を繰り広げながら〈アイテムボックス〉にどんどん収納。ついでに魔導コンロっぽいモノも貰っておく。というか、食材よりこのコンロの方が欲しい。山ごもりするなら猶更だ。え? 料理? 花ンヌはちゃんと出来ますよ? 簡単なのであれば……。

 

 


 ――さぁ! 全部詰め込んだら、いざ行かん! 自由への扉!




 人影もなかったし、扉前の通路に来ない限り見えないだろうからと〈ライト〉を出したまま通路に出て、外へと続く扉へ向かう。扉には木製の閂がかかっているので、音を立てないようにそぉ~っとそぉ~っと引き抜き、そぉ~っと壁に立てかけてから、扉をゆっくり押した。



 部屋を出た時と同じ手順で外へと抜け出し、すかさず上昇した。




 ――で~~~た~~~!




 お外ですよ! お外! 現場のリリアンヌさぁ~ん?



 ――はぁ~い! こちら現場のリリアンヌです~。現在、ベルツナー家のかなり上空にいます! どこかで着替えたいんですが、下は暗くて良く見えません! 所々に、かがり火のようなものや、魔法の灯りと思われるものがポツポツと見え、月(?)明かりで薄ら街が見えている程度です! 〈MAP〉で方角確認しつつ、当初の予定通り『ティングレー山脈』方面に飛びたいと思います!――



〈アイテムボックス〉からポンチョを出して、ガバッと被る。え? 靴? 空中で靴下と靴、履ける気がしないよ? 裸足のまま、領都郊外を目指してすぃ~っとな!




 ベルツナー家よ! おさらばえ~!――



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― 新着の感想 ―
[一言] 屋敷ごとアイテムボックスに収納して売っぱらえば・・・
[一言] まさに「あばよ、とっつぁ~~~ん!!」
[良い点] ドアマットな主人公が覚醒後「あばよ!」って逃亡する話が好きなんですが、サクサクと確認&準備してピュ~~ッと飛び出した主人公の勢いに驚きつつ、昼ご飯を食べるの忘れて読んでしまいました(笑) …
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