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ありがとうチート!~トンズラ幼女はマイペースに異世界を堪能することにしました~  作者: 伊藤琳


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◆149・消滅


 ポニワを大量生産するという金竜様との共同作業を終えたあと、私たちは妖精の宿邸へと戻ってきた。

 


 帰る前に金竜様が、「何で帰るんだよ!」とゴネていたけれど、『また来る』という約束をしたことで、渋々納得してくれた感じだ。

 今度はアルベルト兄さんたちも連れてこいとのことである。



 それはさておき、やることはまだ残っている。

 金竜様と創ったポニワたちは本来のポニワ同様、普通の人には見えない。

 だけど、金の葉を揺らすポニワの役目は、例の魔石所持者を問答無用で捕縛することだ。

 あの魔石がどれほど広まっているのかは分からないけれど、見えない存在に捕縛される者が出れば、レギドール神皇国中で騒ぎが起きるだろう。



 ただ、金のポニワができるのは、例の魔石所持者を捕縛することだけである。

 そこから連なる関係者たちを探し、捕縛するのはレギドール騎士団の役目だ。

 そういったことも、ロイド様たちに伝えておかなければならない。

 まぁ、どこまでどう話すかはレイにお任せだ。



 ちなみに金竜様と創った金のポニワたちは、現在は金竜様の所で待機中である。

 ポニワが捕獲するであろう人たちを、レギドール騎士団の人たちに連行してもらうためにも、諸々の連絡等を先にしておくためだ。

 レギドール側への連絡が済み次第、金のポニワ隊は放流されるであろう。

 国中を回るからと、金竜様に言われるがままに出したポニワが、金竜様の棲み処のとある一室を埋め尽くした光景はちょっとしたホラーだったけれど、彼らは放流の時を今か今かと待っているのである。……多分。



 恐らく、金のポニワ隊はレギドールでの巡回を終えれば、そのまま他国も回ることになるだろう。

 例の魔石がレギドール国内だけに留まらず、他国に流出している可能性も大いにあるからだ。

 いずれは、アーメイア大陸、特にマギリア周辺にもポニワ隊が出現する予定である。



 ――楽しみですね!(白目)



 そして、後回しにしていた傀儡人形(マリオネット)部隊の人たちのことだ。

 こんなにあっさりとデルゴリラたちを捕まえることになるとは思っていなかったけれど、彼らはすでに捕縛済みである。

 これで、あれこれ考える必要もなく強制隷属魔法を解除できる状態になったので、早速、ルー兄たちがいる所へ行くとしよう。



 ルー兄たちの所までは、ナツメさんが転移魔法で連れて行ってくれるらしい。

 まずは、ルー兄に〈文球〉を飛ばす。

〈文球〉は文字が透けて見えるので、書いた内容を見られたくなければ、飛文書を使うのが一般的だ。

 だが、しかし! 今回は、リリたんによる〈文球・改〉を使おうと思う。

 本来であれば、宙に魔力で文字を書く〈文球〉。

 しかし、宙に書くから文字が透けるのだ。

 なもんで、文字を書く部分に色を付けられないかと試してみたところ、アッサリできてしまったのである。

 てな訳で、ルー兄に〈文球・改〉を飛ばす。

 まぁ、文字が透けなくなったところで、〈文球〉は内容を読み終えて魔力を込めると消えてしまうので、手紙向けではない。

 あくまでも簡易メッセージ向けなのである。

 なので、書いた内容は『今から行くでござる!』の一言だけだ。



 さて、ルー兄からの連絡を待つ間、しばしの休憩をば……。



 猫、よ~し!

 狐、よ~し!

 いn……フェンリル、よ~し!

 おやつ、よ~し!



「ふはぁ~」


 

 広げたおやつに釣られたもふたちに囲まれながら、緑茶を啜り、一息つく。



「リリアンヌ! これはお肉にゃ~か?」

「ん? これは『団子』だよ」

「だんご?」

「甘くてもちもちしたおやつだよ」

「甘いにゃにゃか……」

「甘くないのもあるよ」

「オイラは甘い方がいいにゃん」



 串に刺さった茶色いものが、お肉に見えたのかもしれない。

 お団子は、料理の合間に作ってアイテムボックスに仕舞っておいたものだ。

 みたらし団子にあん団子、きなこ団子にずんだ団子、醤油団子と磯部団子もある。

 団子に興味津々な猫妖精たちに、ひとつずつ味見することを勧めた。

 レイは団子を見た瞬間、人型に戻っていた。一種類ずつ食べるつもりらしい。

 お子狐様はみたらし団子が、雪丸さんはきなこ団子がお気に召したらしい。

 それにしても、いつまでもお子狐様を『お子狐様』と呼ぶのもなぁ……と思い、呼び名を考えてみることにした。



 白……、団子……、狐……、団子……。

 白子……はないな。白玉……もなし。

 白雪……はいいけど、う~ん?

 狐子……で、『ココ』とか?

 あ、いいかも。



 という訳で、お子狐様のことを『ココちゃん』と呼ぶことにした。

 ココちゃんも、その呼び名を気に入ってくれたようである。

 ココちゃんと呼んでもいいかと聞いたところ、飛んで跳ねての大喜びであった。

 大分、安易な名前だけれど、本人……本狐が喜んでいるので、問題なしである。



「ふむ、これはこの、にゃっ……、甘いだんごと甘くにゃいだんごを……にゃっ、交互に食べると、にゃっ……、いくらでも食べられそうだにゃ」

「………………」



 別に交互に食べなくても、いくらでも食べそうなナツメさんが何か言ってるな……と思っていると、目の前に〈文球〉が飛んできた。

 中身はルー兄からで、《分かった、待ってる》というものだった。

 ナツメさんにルー兄からの返事が来たことを伝える。

 お互い、頬張っていた団子を呑み込み、緑茶を啜ったら、準備OKだ。

 まぁ、ナツメさんは、まだ手に団子を数本持っているけれど。



「にゃ、では、行くか」

「お願いしま~す」



 人型で団子を頬張っていたレイも仔猫姿に戻り、私のお腹ポッケに飛び込んでくる。

 それを見届けたあと、ナツメさんに飛びつき、ルー兄の所まで転移してもらう。

 今回はロックくんとトラさんも一緒だ。



「――リリィ!」

「ルー兄! 何か、久しぶり?」

「うん? まぁ、二日ぶり?」



 そう言えば、そんなに久しぶりでもなかった。

 ルー兄と別れたあと、料理を作って、もふに埋もれ、ポニワを創り、アルベルト兄さんのSOSに応え、デルゴリラたちを捕縛し、金竜様の所で金ポニワを創っただけだ。

 いや、結構、濃密な二日だった。

 いろいろあり過ぎて、二日でも久しぶりに思うはずである。

 それはさておき、ルー兄にデルゴリラを捕縛したことを伝える。



「――えっ!?」

「もう、レギドール騎士団に連行されているし、きちんと処罰されるはずだよ」

「そう……なんだ……」

「うん、それと、デルゴリラと一緒にいた魔法師も捕まえたんだけど……、名前なんだっけ……」

「確か、ヴァレリオ……だよ」

「ヴァレリオ……」

「うん、もしかして、その人が強制隷属魔法とか使っていた人?」

「顔も名前も知らないけど、デルゴリアの側にいたなら、そうかも……」

「そっか……」

「うん……」

「その魔法師が強制隷属魔法を使っていたかもしれないって、ロイド様たちにも伝えておくね」

「うん」



 これで、ルー兄たちは本当に自由になれると思うのだけど……。

 何だか、浮かない顔?

 嬉しくないのかな……とか、どうしたのだろう……と思い、ルー兄の顔を見ながら、何と声をかければいいかと思いあぐねる。

 


「あっけないと言うか……、うん、余りにあっけなさ過ぎて、実感が湧かないだけだよ。でも、ありがとう」

「うん……」



 私の戸惑いを感じたのか、ルー兄が答えをくれた。

 まぁ、何年も自分たちを縛っていた相手が、思った以上にアッサリ捕縛された上に、デルゴリラたちが捕縛された姿を見ていないのだ。だから、余計に実感が湧かないのかもしれない。

 だけど……。



「デルゴリラたちが、処罰されずに解放されるなんてことは、絶対にないからね!」

「――っ! うん。……うん」



 思わず……と言った感じで、ルー兄の頬に涙が伝った。

 それに気付かなったフリをして、スタスタと簡易小屋の中へと入る。



「ルー! これ、あげるにゃ~」

「…………ん? 何?」

「『だんご』にゃ~よ!」



 後ろからロックくんとルー兄の声が聞こえる。

 ロックくんも手に団子を持っているなと思っていたけれど、どうやら、ルー兄にあげるためだったようだ。

 微笑ましいなと思いつつ簡易小屋の中を見れば、ルー兄のお仲間さんたちは、全員キレイにおねんねしていた。

 もしかして、ルー兄が全員を気絶させたのだろうか?

 この人たちだって、ルー兄と同じようなことをさせられていたのなら、身体能力は高いと思うんだけど……。

 気配遮断のスキルを使ったから?

 それにしたって、ルー兄、強過ぎなんじゃないだろうか……。

 だって、1,2,3、4……、全員で15人もいるよ?

 きっと、魔法じゃなくて、物理で意識刈りしてるよね?



 ――ルー兄、恐るべし!



 それはさておき、まだ強制隷属状態の人たちを解放するとしよう。

 


「〈解除〉!」



 これで、強制隷属状態の人はいなくなった。

 今日、この時をもって『傀儡人形(マリオネット)部隊』は消滅したのだ。

 そして、永遠にこんな部隊が組織されないことを願おう――。



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