◇14・わたしはおじょうさま/side:デイジー
わたしは、デイジー。
きぞくのベルツナーけの「おじょうさま」よ。
すこしまえまで「おとうさん」と「おかあさん」とちいさなおうちにすんでいたけど、「おとうさま」がむかえにきてくれたの。
おとうさまがきてくれるまで、わたしのかぞくは「おとうさん」と「おかあさん」だとおもってたけど、ちがったみたい。
だって、おとうさまが「わたしたちはほんとうのかぞくになったんだよ」っていってたし、おにいさまは「デイジーはぼくのほんとうのいもうとだよ」っていってたの。
あたらしいおうちはとってもおおきくて、おはなしできいた「おしろ」みたいなところよ。
おうちには「リリアンヌ」っていう、わたしとおなじ5さいのおんなのこがいて、おなじ5さいなのに、おとうさまが「リリアンヌのことはおねえさまってよぶんだよ」っていったから、しかたなくそうよんであげてるけど、わたしはあのこがとってもきらい。
だって、ほんとうはわたしがベルツナーけの「おじょうさま」なのに、リリアンヌはわたしのかわりに「おじょうさま」をしていたのよ。
なのにリリアンヌは、わたしに「ありがとう」っていわないし、もうわたしがいるんだから「おじょうさま」じゃないのに、まだ「おじょうさま」をしているの。
リリアンヌがもってるものはぜんぶぜんぶ、わたしのものなのにかえしてくれないし、ひどいでしょ?
はやく「おじょうさま」をやめて、わたしがまえにすんでたちいさなおうちにいけばいいのに。
だから、このおうちにいなくてもいいようにしてあげてるのに「どうしてそんなうそをつくの?」なんていうのよ?
ほんとにはやく、いなくなればいいのに。
おかあさまだって、「あんなこ、もうわたくしのむすめだなんておもえない」っていってたもの。