◆12・すーぱーがーる★リリ村花ンヌの決意
誰でもわかる前回のあらすじ!
―――――『リリたん、山ごもりを決意する!』
いや、ホントにシャレにならないレベルで可愛かった、私!
この顔で一人で歩いてたら『四方八方・誘拐の魔の手嵐』に遭ってしまうわ。
エマージェンシー! エマージェンシーでござる!
てか、こんな可愛い子に、私、何言わせてたの!? 「苦情は受け付けません」とか言ってたけど、私がクレーム入れるわ!
まぁ、既に【梅村花】が完全に混合融合フュージョンしちゃってるから、この顔なの忘れてすぐに色々やらかしてしまいそうだけど。え? もうやらかしてる? そうね、この顔で「ござる」とかないね。
ダメだ……【梅村成分】が濃過ぎて、改善の余地が無さげ。もう『リリ村花ンヌ』と生きていくしかないのよ。
それより、花ンヌは今後の家出計画を詰めなければいけないの。
目覚めてすぐの時は『いつかの為にアレコレちまちま準備を調え、身体がもう少し成長したら出てってやる!』って思ってたんだけど、スキルチェックしたら『あれ? もうコレ、イケんじゃね?』状態のテンパイ、ロン待ち状態。え? 「チェックメイト」の方がカッコイイ? そうね、ハナーもそー思う! でもチェスなんて出来ません。
――そして私は山籠もり出来そうな候補地を探るべく〈MAP〉を起動した。
「山、山……。出来ればシフ王国は出たいよねぇ」とつぶやきながら、見やすい縮尺に調整し、山っぽい所を見ていく。人気がなさそうでありながら、人里から離れすぎてもない所とかがいいかなぁ。
「とは言っても、地図見ただけじゃわかんないよねぇ」
〈絶対防御〉をかけて〈浮遊〉で飛んでいくつもりなので、とりあえずいくつか目星をつけて、実際に見てまわるかな……。
目立った山と言えば、大陸の中央で左右に広がる『ティングレー山脈』だ。山脈の南に《魔法の国》とも言われる『マギリア』があり、山脈の北は『テノン』と『カレッタ』という二国に跨って、《不帰の森》と言われる『ティントルの森』がある。
テノンは、シフ王国とカレッタに挟まれた小さな国だ。地図に国名はあっても『~~王国』とか『~~帝国』とか書いてる訳ではないので政治形態は判らない。けど、シフの南にある小国家群を除けば、大陸では一番小さい国だ。なんとなくテノンと小国家群は避ける。
テノンと小国家群は、私が今いるベルツナー領からそんなに離れていないのだ。出来ればもっと離れた所に行きたい。う~ん……とりあえず真ん中のティングレー山脈に向かう? それに山脈の北麓には森がある訳で……山に登らなくても、森の浅い所とかどうだろう?
あ~、でもなぁ……この森『魔物が沢山いて、一度入ると誰も帰ってこられません』っておとぎ話がある所なんだよね、多分。話に森の名前は出てこないけど『大きい山が沢山ある麓に……』って導入なのでティングレー山脈の麓だなって地図見て思ったわけです。
まぁ、あくまでも『おとぎ話』なんだけど、この世界『魔物』はホントにいるんですよ!
リリアンヌは馬車の中で護衛達が対処するのを待ってるだけなので、実際に目にした事はないけど、王都~ベルツナー間の道中では何度か遭遇してるんです。
物語に出てきたり、話に聞いた所によると、基本的には獣型が多く、中には蟲型とか蛇型とかもいるらしい。やだね~! 私の〈絶対防御〉が《絶対》であることを切に願うよ。ホント、マジで!
こんなよく知らない世界で、こんなちっさい身体になってて、家庭環境はカオスなヘルモードで、魔物がいるとか、泣きそうだってぇの……。まぁ、おにぎり食べて泣いたけど。
今思えば、リリアンヌ的には初めてのおにぎりでも、梅村的には普通に数時間ぶりの米になんであんな泣いたのかって、ちょっぴり恥ずかしいけど、所謂『転生・ハイ』とか、そんな感じだったんだろう。……多分。そういうことにしといて。
とにかくまずは、ティングレー山脈とティントルの森がある『カレッタ国』を目指すことにします!
「不帰の森」と言われていようとも、このリリ村花ンヌは地図を見ながら飛べるスーパーガールだからね!
そもそも、最初から帰るつもりなんてないしね!
いつかは魔法の国と言われる『マギリア』とか、大きい湖らしきモノがある『メルトーレ』とかにも行ってみたいな。




