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また明日

 未練のまま彼の、黒谷亮の今生は終わったのだった。そう、彼の「今生」は…


可笑しい事ではあるが彼は、暫くすると自分に感覚があることに気付く。


 「まさか、救急車が間に合ったのか…」


 彼は最初にそう思う、まさかあの店長のお陰で助かったのかと。しかし、全てが変だった。


 感覚があると言っても、五感で表現出来ないような、気味の悪さがあった。内側から触られているような、圧力とも高揚感とも言い難い感覚。


 眼は光では無い光を捉えていた。ここに光は無いが灯りは在る、と言うより明るいにも関わらず眼が暗いと認識するような。


 面倒くさくなってきたので彼は考える事を諦めた。


しかし思考は止まっても事実の方は津波のように押し寄せてくる。


 気がついたら感覚は、女神を捉えていた。すぐ女神だと分かるのはおかしな話だが、場所がそう認識しろと言っているような気がする。しかし、何処かの素晴らしい世界みたいに抜けている可愛らしいモノならよかったのだが、感覚が最初に恐怖を提示してきた。

焦燥感なんてモノでは無い、まるでサメが襲ってきたと同時に火山が爆発して宇宙人が攻めてきたような、B級サメ映画の主人公の気持ちが分かる恐怖感。

彼女は観えていないのにハッキリと見える。


「…もしかしてデカルトが言ってたのってこの感覚なのかな」


 黒谷はそう思った、しかし彼のイマジナリーゴッドなら良かったのだが、生憎にして、幻聴まで聴こえてきた。この女神、腰に青龍刀の様なものを巻き付け、長髪の髪は途中まで茶色く、先端に行くにつれ血の赤の様になっていくソイツは、予想外に美しい声で話しかけてきた、ハープの様な声で


 「我のことが…分かる様だな」


 「……認識…できてます」


 尤も、美しいと言っても薔薇に感じるそれではなく、薔薇の棘の方に感じるそれである。基本職務柄でも無い限り敬語を使わない黒谷だったが、この時ばかりは口調が震えていた。


 「人間よ、恐れる事はない。貴様に一つ好機をやろうと言っているのだ」


 「好機…ですか?」


 「そうだ」


 神は、貪るような笑みで述べた。


 「国を、滅ぼして来い」


 「………?」


 国、そのまま国のことだろうか。例えば日本やアメリカとか、サントメプリンシペとか、そんな感じだろうか…そう黒谷が頭に疑問符を浮かべていると、それに無理はないと言わんばかりに女神が続ける。


 「説明は必要だな。先ず貴様に滅ぼさせようとしている国は我が『半分』支配している世界の国の事だ。

名を『ポラニア連合王国』と言う」


 「そうですか…どんな国でどんな世界なのですか?」


 「この国はな、さる大陸で唯一、我を信仰せず。多神教の邪神どもを信仰しておるのだ…此処さえ滅び去れば、世界は我が物なのだ」


 「そこまで強大な貴方様なら…自力で滅ぼせば良いのでは…」


 「出来たらやっているのだが…根性だけは本物でな。奴等我を信仰する『帝国』の攻撃を凌ぎ切っているのだ…我としても信心深き正しき者達の命は無下にできん。

 それで思いついたのだ、内側から破壊すれば良いとな…お前に命ずる、『王を殺せ、姫を殺せ、民を殺せ』…とな」


 厨二病を拗らせた少女が言っているなら幸いなのだが、最悪な事に力を持っている神が言っている事である。真面目に聞くしかない


 「何故…僕にその仕事を…」


 「何故か貴様は、我が声を常時聴けているからな、適任だ…我を信奉する帝国の信徒でも、我の声を常に聴けるものなどおらぬ、つまり、貴様は唯一無二の使徒だ。喜べ、感涙せよ、神の使徒だ」


 邪神の使徒か…と黒谷はそう思う。しかし、口にする事はできない。が、心の奥底では、おそらく世界一ハズレな世界唯一だろうと、そう思うのであった。


 「それと喜ぶことがもう一つあるぞ、この役割を成したら、貴様を向こうの世界に返してやる…特典付きでな」


 「特典…?」


 「そうだ、幾ら違う世界とはいえ我も神。一人の人生の変更程度簡単にできる。其方の神にも許可とったからな」


 「…つまり」


 「貴様の好きなモノをくれてやって、生き返らせてやろう」


 「……!!」


 そう言われ、彼の中に浮かんできたのは、あの最期だった。もう少し、もう少し生きて、他人に関心を持たなかった人生をやり直してみたい。これ以上は望まなかった。これ以上を望めなかった。


 「それじゃあ…成し遂げたら、僕に…友人を下さい、掛け替えのない。『そいつのお陰で人生が楽しい』そう思える人を…下さい」


 「フフフ…その程度のことで良いのか、無論だ…くれたやろう、成せばな。だが、万が一愚かにも我に歯向かうことアラバ…地獄より酷い地獄に送ってやろう」


 「分かり…ました…やってみます」


 女神は彼に考える余裕など与えず、そう言った瞬間に視界が再び眩み始めた。彼は、救世主に誓いを立てたのか、それとも悪魔に誓いを立ててしまったのか。


 時の流れは事実のみを流し込む。しかし、黒谷の頭の中にあったのは、あの日常を。もう一度でいいから噛み締めたいと言う初めての感情であった。


 眼が再び覚めると、鏡写しのような月が見える、更に光が見えると、そこにあったのは。絵に描いたような、東欧のような、街並みだった。


やっと転生しました…この系統初めてなので雑ですが、ご了承ください。

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