30話
30話
人の余り来ない山の広場。
そこに一人、仁王立ちで待ち構えるアリス木村。
顔は鬼のような形相だった。
朱音たちから少し俺のことについて聞いたからだ。
まあ、俺が喋らせたのだがなw
俺は欠伸をしながら、余裕を持ってアリスの前に現れた。
1対1の対決。
アリスが俺に向かって言う。
「皆ニ、モウ酷イ事シナイデクダサイ‼」
「嫌なこった、あっかんべー‼」
俺はアリスに、舌を出して挑発する。
怒り狂うアリス。
「許サナイ‼」
「別にてめえに許して欲しくもないけどな、てめえも他のヤツと一緒にコレクションにしてやるよ。」
アリスは魔法のアイテムを、俺は変身ベルトを起動させる。
「チェンジ‼」
「変身‼」
アリスは魔法少女のイエローに、俺はスーツでトリプルSになる。
俺はイエローに攻撃しようとしたが……
「いない⁉」
俺はイエローを見失う。
キョロキョロと辺りを見回すが、完全に姿が見えない。
腹に鈍い痛みを感じたと同時に、俺は森まで吹き飛ばされる。
「ぐあっ‼」
イエローにキックされたようだ。
今は足を上げたイエローの姿が見えている。
「クソッ、スーツ着ていても痛いぞ、とんでもない威力の蹴りだな……」
俺は朱音たちから聞いたイエローの情報を思い出す。
イエローの魔法は光や稲妻の魔法を得意とする。
姿が見えなくなるのは、光の屈折でみえないのか、身体に電流を流して反応を強化しているのか、どちらかだろうが……
『どちらにしろ、予想以上にやっかいだな。取り敢えず……』
俺はカードのアビリティで視力を強化する。
追い打ちするために移動していたイエローを発見した。
どうやら電流で反応速度を上げているのは判別できた。
だが……
「セイヤーーーーーー!!」
イエローの攻撃は反応速度だけでなく、筋力も強化しているようだ。
光速のスピードで重い1撃を連続で繰り出す。
こんな無茶な魔法の使い方をすればイエロー自身も反動があるだろう。
怪我もしていないのに腕や足から血が流れている。
それでも、お構いなしに攻撃するイエロー。
「クソがっ!!」
俺は視力強化をキャンセルして目くらましのアビリティを使う。
煙幕を出して、取り敢えず隠れて次の手を考える。
「あのバカ女が!!なりふり構わず攻撃してきやがって、スーツの性能だけじゃ凌ぎきれねえぞ。こっちは複数同時に能力使えないし、こっちも身体能力強化系は使えるけど、あれ使うと後で疲れと筋肉痛が酷いから使いたくないんだが……」
などとボヤいていると、イエローがところ構わず稲妻を落としまくる。
俺を見失っても攻撃しまくって、どれかに当たればいいという考えのようだ。
「クソが、もう試しは辞めだ。こうなったら、どんな汚い手を使ってもアイツに勝ってやる!!」
俺は稲妻を喰らわないように、さらに遠くに逃げるのだった。
続く




