27話
27話
さて、カードの製法の書かれたデータや資料は手に入れたものの、普通の研究員では理解できない物だった。
天才でないと、制作できない。
天才……
「あっ、都合の良さそうなヤツが一人いるじゃん。」
と、俺は知ってる天才を一人思い出した。
数日後、俺は桃子と一緒に翠のお見舞いに行く。
入院当初は桃子たちも心配したが、どうやらクマっぴが魔法で記憶を操作したようだ。
かなり状態は改善したらしいが、しばらく戦闘は無理みたいだ。
もう少し翠や魔法少女たちを苦しめていたかったが、翠が必要になったから仕方ないし丁度いい。
俺たちは街で一番大きな病院にやってきた。
中で案内に従い、翠の入院している病棟に向かう。
翠は病棟の中でも症状が軽いので普通と変わらない病室に移っていた。
翠の病室は一人で個室だった。
窓に鉄格子も無く、ベルトで動きを固定など、されていない。
そういうのも見たかったが……
「博士、元気?」
「桃子……うん、だいぶ良くなったよ……」
以前ほどの元気はないが入院する前に比べれば、かなりマシになったようだ。
記憶を一部失くして混乱しているが、頭のいい翠は簡単に理解してしまう。
自分の身に起こった悲惨な出来事に。
「うん……思い出さない方がいい事なんだろうな……迷惑をかけたね。」
「……」
桃子が言葉に困っていると、桃子のスマホに連絡が入る。
「あっ、お母さんからだ、なんだろう?ちょっと電話をかけてくるね。」
と言って桃子は俺と翠を病室に置いて出て行った。
俺と翠の二人っきりになった。
まあ、このタイミングで桃子に電話するように桜に指示しておいたのだ。
「さてと……」
俺は翠の目の前でベルトを起動し変身する。
「変身‼」
と俺の掛け声と共にベルトから出た黒い帯のようなものに包まれて俺はトリプルSになる。
その姿に驚く翠。
「あなたは……はっ‼」
翠は賢いから俺が、ここで変身したことで全てを悟り理解した。
「あなたは……やはり私たちを利用するだけの敵だったのですね、しかも桃子の母親の桜さんや、クマっぴもグルなんですね。」
「おっ、流石は天才少女だな。」
「朱音に酷いことをしたのも、私にも……最低最悪の男です‼」
「いやいや、なろう小説の主人公と同じくらいだよ……あっ、それだとクズと一緒か、ハハハッ‼」
そう言いながら俺はカードに文字を書き込む。
カードに書かれた文字は、絶対服従の呪い。
カードをベルトにセットしてアビリティを発動させる。
「山田太郎の名において命ずる!!俺に従え!!」
アビリティの発動と同時に、翠の体がビクリと跳ねる。
それと同時に目が虚ろになり……
「イエス、マイロード……」
これで翠は、俺の言いなりだ。
ベルトのカードの補充が可能になるだろう。
どうして、これを朱音に使わないのかって?
嫌がる女の子をイヤイヤ服従させるほうが楽しいからに決まってるじゃん!
続く




