20話
20話
郊外にある切り立った元採掘場。
その広い所に1台のバスが止まっていた。
そこに泣き叫ぶ園児たちと、殴られて大人しくしている保育士と園長が乗せられていた。
バスの周りに一体の怪人と数人の戦闘員。
怪人は馬の顔の形をした、2足歩行の馬怪人だった。
馬怪人はバスを見ながら言う。
「……なんか、いつもの作戦と違わないか、ぴょい。」
なぜか語尾が、ぴょいだった。
どこからか、怒られそうだな。
戦闘員の一人が答える。
「イーッ!一応上層部からのメールで指示が出てます、イーッ‼」
と真面目そうな戦闘員が説明しながら戦闘員の演技をする。
馬怪人はメールを見る、確かに組織の上層部から指示のある、いつものメールに見えた。
だが、いつもと違って指示が、ガバガバだった。
「いつもは、もっと指示が細かいぴょいが……この爆弾って時限爆弾ぴょい?」
「イーッ!さあ?」
二人で組織から支給されたスマホの画面を見ながら考える。
「人質も交換するのか盾にするのか、わからんぴょい。」
「取り敢えずダイナマイトを適当に置いておきますね、イー!!」
と、自主的に準備する戦闘員たち。
その様子を離れた岩陰から見ていた魔法少女たち4人とクマっぴ。
既に4人とも魔法少女に変身していて、いつでも突撃できる状態なのだが……
「朱音さんと連絡取れないのですか?」
とグリーンがクマっぴに尋ねる。
クマっぴは困りつつ返答する。
「何故かマジックアイテムの通信に出ないっぴ。」
「スマホ、モ電源切レテマース。」
とイエローが自分のスマホで連絡してみるが、全く応答がない。
ピンクが泣き叫ぶ子供たちを見る。
そしてグリーンに尋ねる。
「私たち4人だけでも、子供たちを救い出せるかな?」
「……それは問題ない。いつもより纏まりが無いし、戸惑っている様子も見られる。上手く連携すれば無事に全員助けられる。」
「先に人質を救出しよう。子供たちが可哀想だし、それに朱音ちゃんなら大丈夫だよ。私は朱音ちゃんを信じてる。」
「そうだね!」
「ワカリマシタ。」
「行きましょう!」
魔法少女たちは朱音抜きの4人で園児たちの救出を開始した。
朱音が一人でやってきた所は、町中にある廃工場だった。
朱音は指示の通りに廃工場の中に入る。
そこに……
「お姉ちゃん‼」
「勇太‼」
朱音の弟の勇太がロープで椅子に縛られていた。
弟の横にナイフを持った戦闘員がいた。
ナイフを勇太の首に近づけて戦闘員が言う。
「おっと動くなよ、下手に動いたら……わかるよな?」
「くっ!」
朱音は戦闘員を睨みつけて立ち尽くす。
「おおっ、怖い怖い。怖いから……象怪人、ソイツをぶちのめせ!」
「パオーン‼」
象の頭の二足歩行の怪人が朱音の背後から朱音を殴り倒す。
そのまま朱音を掴んで廃工場の壁に投げつける象怪人。
「ぐあっ‼」
変身していない普通の中学生の状態で怪人の攻撃を喰らってしまう朱音。
その攻撃によって、朱音は気を失ってしまうのだった。
続く




