2話
2話
女の子は人目が無い路地裏にきた。
辺りをキョロキョロと見渡してから、何か道具を天に掲げて叫ぶ。
「マジカルピンク、チェンジ!」
女の子がピンク色の光に包まれて裸になる。
少し体が成長して、道具からピンク色のリボンが出てくる。
それが体に巻き付き、女の子は魔法少女になった。
「まじかよ……」
俺は一部始終をスマホで撮影した。
そして理解する。
敵は組織ではない事。
おそらく全員、中学生くらいの女の子たちが変身していたという事。
ピンク色の魔法少女は、ぬいぐるみと一緒に飛んでいってしまう。
おそらく、幹部たちが今やっている作戦を知ったから、倒しに行ったのだろう。
「うーん……」
中学生だと、お金を持っていないだろうから、退職金代わりにアテしていたが……
他の方法を考えたほうが、いいだろう。
俺は、そこから別の場所に移動する事にした。
ファーストフードの店でコーヒーを飲みながら、さっき撮影した動画を観ている。
さて、これからどうするか。
この映像を手柄にして、組織に戻るか?
いや駄目だろう、データを盗んだ事がバレているだろうから、戻ったら殺されるだろう。
これをネタに魔法少女を脅すか?
いや、それだと●●●な事は出来るだろうが、金が無い俺の生活が問題だな。
中学生だと金は持ってなさそうだし……
俺は動画の魔法少女を見る。
確か戦ってた時は、この子はリーダーみたいだったな。
こういう魔法少女のリーダーの子って、アニメとかだと……
「よし。」
作戦は決まった。
俺はコーヒーを飲み干して、ゴミをゴミ箱に捨てて店を出た。
俺は私立探偵のフリをして、彼女のことを聞き込み調べた。
そして、名前や住所や素性の調べがつく。
彼女の名前は、佐藤桃子13歳の中学1年生。
父親は単身赴任で海外に出張中で、母親と二人暮らしだ。
母親の名前は、佐藤桜。
見た目は若くて、とても中学生の子供が居るとは思えない。
普段は店の花屋の仕事をしている。
俺は桃子の家の近くで、呼んだ奴を待っていた。
「遅れて、すみませーん。」
「おせーぞ。」
待っていたのは、戦闘員の後輩だった。
まあ、俺も後輩も普段は私服なのだが……
「お前は早く戦闘員の服に着替えろ。そして俺を少し痛めつけるんだ。」
「いいですけど今、大変なんですよ。先輩、対魔法少女用の切り札の試作装備、盗んで行くから血眼になって探していますよ、みんな。」
「あれって、そんなに凄い物なのか……」
「何するのか知らないですけど、俺にも分け前くださいよ。」
「わかってるよ。」
秘密基地を出てから、俺はネットカフェで生活していたので、荷物になりそうな物は駅のロッカーに入れていた。
あとで回収して調べるか。
後輩は戦闘員になり、俺を痛めつける。
すると……
「待ちなさい!!」
魔法少女の1人と、ぬいぐるみが現れた。
住んでる家の近くだから当然だろう。
俺は、ニヤリと笑みを零していた。
続く