19話
19話
とある保育所。
そこにワゴン車に乗ってきた男たち。
そのうちの一人が園長らしい人物に言う。
「すみません、ガスの点検に来ました。」
「はあ……」
そういう連絡を聞いていない園長だったが、最近老朽化による爆発が頻発していたので園長は信じて男たちを園内に入れる。
まあ、爆発はガスが原因ではなくて、怪人と魔法少女とのバトルが原因なのだが……
男たちの一人がスマホの画像を見ながら周りの園児を見る。
「先輩から送られた画像だと……」
それは桃子から手に入れた、夏休みに魔法少女たちの家族たち全員が揃って山でキャンプした時の画像だった。
そこから調べて魔法少女たちの個人情報などが全てバレてしまっていた。
ここに来た目的は、魔法少女の朱音の弟がここに居るので……
「あっ、いたっす。」
「俺らは大人たちを仕事してるフリしながら注意をひくから、捕獲は任せたぞ。あとバイト代楽しみにしてるんだからな。」
「分かっているっすよ。」
誘拐するために来たのだった。
朱音と葵と桃子が楽しく談笑しながら下校していた。
その途中で朱音のスマホに画像付きのメッセージが届く。
「何かな……!!」
「朱音ちゃん、どうしたの?」
スマホをの画像を見て顔を青ざめた朱音を心配して話しかける桃子。
朱音は慌ててスマホを隠しつつ、
「えっ、だ……大丈夫だよ。」
と返答する。
「そう?」
少し気にする桃子。
慌てつつ言葉を選んで話す朱音。
「ちょっと急用が出来たから、ゴメン先に帰るわ。」
と言い残して朱音は走って行ってしまう。
取り残される葵と桃子。
「……行ってしまわれましたわね。」
「何があったのかな?心配だなあ……」
「心配なのでしたら、こっそり後を付けてみますか?」
「うーん……?!」
どうしようか迷っている桃子の前に、クマっぴが慌てて飛んでくる。
「大変だっぴ、園児を乗せたバスが怪人に攫われてしまったクマー!!」
「「えええっー!!」」
昭和の戦隊モノみたいな展開だな。
クマっぴに先導されて桃子と葵は現場へ向かうのだった。
朱音は二人が見えない場所まで移動して、再びスマホの画面を見て確認する。
メッセージには……
「お前の弟は預かった。無事に返して欲しければ仲間には秘密で指定された場所に一人で来い。もし仲間に知らせたら弟の命は無いと思え。」
メッセージと一緒に泣きわめいている弟の画像が添付されていた。
顔が青ざめて絶望する朱音。
目の前が真っ暗になったようになる。
「どうして……」
なぜ、弟を?
仲間って、相手には私が魔法少女だってバレている?
じゃあ、このメッセージを出したのは敵の組織?
今までの仕返しに家族を狙ってきた?
と色々考えて頭の中と心がぐしゃぐしゃになる朱音。
目に涙が溜まる。
だが……
朱音は泣きたくなる気持ちを抑えて走り出す。
大切な弟を無事に助け出すために。
続く