1話
前の作品と作風が変わります。
取り敢えず書けるとこまで頑張ります。
第一話
「戦闘員65535号、貴様はクビだ!」
と戦闘員の隊長が俺にいう。
いきなりクビと言われても納得できない。
俺は隊長に理由を問いただす。
「どうしてですか?」
「貴様、戦闘の時サボっているのがバレていないと思っていたのか?」
俺はギクッとした。
敵との戦闘の時、痛いのが嫌なので、やられたフリをして地面に倒れたり、別の場所に逃げて終わるまで隠れていた。
他の怪人や戦闘員に比べて怪我が少なすぎるのでバレたのだろう。
「ちっ。」
俺は舌打ちする。
これは追放不可避だろう。
ならば……
「あのー、退職金は……?」
「お前、処刑されないだけマシだろうが……」
退職金無しで組織を追い出される俺。
俺は最後に……
「俺をクビにしたこと、絶対に後悔させてやるからなあ!」
と、言いながら俺は秘密基地から飛び出した……と見せかけて、まだ基地の内部をうろついていた。
俺の名前は山田太郎。
普通すぎる名前なので、戦闘員65535号のほうが気に入っている。
年齢は20歳。
就職浪人をしていて、スマホの怪しい広告の仕事に応募したら、悪の組織の戦闘員の募集だった。
組織の名は、ダーククロウ。
悪の組織なので、適当な仕事で金を貰えると思っていたのだが……
ブラックなうえに、ルールに厳しかった。
色々な悪事をやっていたが、よく謎の美少女たちに邪魔をされた。
彼女たちは、何やら魔法を使うようで、こちらも武器や怪人で応戦するが、まるで勝てなかった。
勝てないのだから、俺は逃げたり隠れたりしていたのだが……
「ったく、このクソ組織は……」
誰もいない幹部の部屋に忍び込む。
今は作戦中なので、しばらく戻ってこないだろう。
俺はPCからデータを抜き取っていた。
組織の戦闘員や怪人など、いろんなデータを、敵の正義の組織に売り付けて、退職金の代わりにするつもりだ。
「よし、奪えた。外からの攻撃には警戒してるけど、内部からだとガバガバだな。」
俺はUSBをポケットに入れながら、他に金目の物はないか、辺りを見渡す。
どこかに隠し金庫がありそうだが、あまり時間を賭けたくない。
「ん?」
テーブルの上に、たくさんの紙の資料とベルトが置いてあった。
開発部が作った試作の装備品のようだ。
「うーん、これも敵の組織に売り付けるかな。体に付けていれば、かさばらないしな。」
俺はベルトを腰につけて、紙の資料を鞄に積める。
それから幹部の部屋にある軽くて高く売れそうな物を鞄に積めて、俺は組織の秘密基地から逃げ出した。
秘密基地から盗んだ物を、盗品でも引き取ってくれる店で売り払った。
あとは、どうやって敵の組織とコンタクトを取るか……
考えながら町を歩いていた。
その時だった。
「ん?」
向かいから走ってくる女の子と一緒に、ぬいぐるみのような生物が側にいた。
そいつは空中で飛んでいる。
しかも、ソイツには見覚えがあった。
俺は、気付かれないように、女の子たちの後を追跡した。
続く