第23話【海の怪物】
「さて……行こう。海へ! 」
イージス達は宿から出発した。
漁港へ着くとフラットが既に準備を整えていた。
そして昨日行った霧の場所まで来た。
「ザヴァラム、 船周辺の警戒を頼む。俺はミーナとヒューゴを守る」
「承知致しました」
ザヴァラムは船上空へ飛び、 巡回した。
昨日より霧が濃い……それに何だろう、 この感じ……妙だ。まるで何か吸い込まれるような……
するとジースが話した。
(報告、 霧に魔力妨害の結界が張られています。)
魔力妨害か……魔法の威力を半減させる結界だな……だが俺にはスキルがある!
(スキル、 広範囲探知が発動します。)
イージスは海の中を探知した。
……! ? これは!
海の中には無数の魔物の反応があった。
これは……二種類の魔物が重なってる? 半魚人と……サメ……みたいな……
(メガロドンライダーです。)
ジースが教えてくれた。
「メガロドンライダー? 」
イージスがそう呟くとフラットが驚いた。
「まさか、 あのメガロドンがいるってのかよ! 噂でしかなかったのに! 」
「噂? 」
するとミーナが説明してくれた。
「カロスナの漁師さんの間では有名な話らしいですよ、 メガロドンはサメの魔物で釣り上げた漁師は海の王と呼ばれる程らしいです」
へぇ、 そんなのが……ってそんな場合じゃない!
超結界魔法、 魔法無効、 物理無効……
イージスは船の周りに結界を張った……が……
「……やっぱりだめかぁ……」
結界が若干脆くなってる……この数の魔物の攻撃に耐えられるかどうか分からないな。仕方ない!
(スキル、 水中適応・極が発動します。)
スキルを発動させるとイージスは海の中に飛び込んだ。
「えっ、 イージスさん! ? 」
「兄ちゃん無茶だ! ! 」
海の中に入るとイージスの目の前にはメガロドンライダーの大群が押し寄せて来ていた。
(ラム、 上空からの援護を頼む! )
イージスは思念会話のスキルでザヴァラムに連絡した。
(承知致しました! )
すると次の瞬間、 水面から光の槍の雨が降ってきた。槍は次々とメガロドンライダー達を串刺しにしていく。
ラムの魔法は結界の中でも威力は関係無しか……よぅし、 俺も!
(スキル、 魔法超強化、 結界破壊・極が発動します。)
結界破壊できたんかーい!
まぁいいや、 これで本来の力を出しきれる!
超水属性魔法……ウォーターブラスト……
するとメガロドンライダーの大群の中にいくつもの水の玉のような物が現れた。次の瞬間……
「ガボゴボ! ! 」(破ぜろ! ! )
水の玉は大爆発を起こし、 メガロドンライダー達を粉々にしていった。爆発が終わる頃にはメガロドンライダーは全滅していた。
よし、 これで安全は確保された……けど……
イージスは何か引っ掛かっていた。
不自然過ぎる……あのメガロドンライダー達、 何かに指示されたかのように俺達を攻撃してきた。昨日のセイレーン達だってそうだ……この霧の元凶も他にいる、 そしてそいつが海の怪物だ……
イージスが考察しているとジースから報告が来た。
(報告、 謎の生命反応が移動しています。)
何っ! ? どこに向かってる!
(座標特定しました。行き先はカロスナ漁港です。)
ヤバい……!
イージスは急いで船に戻るとフラットに事情を話し漁港へ戻るように言った。
「何だって! ? 何なら急いで戻るぞ! 」
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イージス達が漁港に着くとそこには驚く光景が広がっていた。
港町上空全体を覆うように広がる渦を巻いた黒い雲、 荒れに荒れる黒く染まった海……そして……
「何だ……あれ……! 」
漁港の目の前に突如として現れた巨大な龍がいた。その鱗は青く煌めき、 周りを囲う竜巻はまるで従える兵士のよう……
……ジースさん……
(スキル、 能力透視が発動します。)
透かさずイージスは龍のステータスを見た。
……あれが……
「……リヴァイアサン……永命の海竜……レベル754……! 」
強い……確かに怪物の名にふさわしい……
『許すまじ人間共……海は……私が守る……! 』
喋った! 思念会話ではなく、 普通に!
するとザヴァラムが船の甲板に降りてきた。
「イージス様、 あの馬鹿を私に任せて頂けますでしょうか? 」
「えっ、 あ……うん……」
「ありがとうございます」
あの馬鹿って……もしかしてラムとリヴァイアサンって知り合いなのか?
そしてザヴァラムはリヴァイアサンの元に向かった。
「随分とまた怒ってるみたいね」
『誰だ…………』
リヴァイアサンはザヴァラムの方を向いた。
「あら……忘れたとは言わせんぞ……』
ザヴァラムは黒い炎に包まれ、 ドラゴンへと変身した。
『覇王龍 ザヴァラムだ……』
しかしリヴァイアサンは何も動じない。次の瞬間、 リヴァイアサンは水の光線を吐き出してきた。それをザヴァラムは片手で受け止めた。
『……何かに洗脳されている……』
ザヴァラムは黒い炎の塊をリヴァイアサンに飛ばした。しかしリヴァイアサンに当たる手前で竜巻がかき消した。
『やはり海では奴は無敵か……ならいつもの方法で……』
そう言うとザヴァラムは空高く飛び上がった。それを追撃するようにリヴァイアサンは水の光線をいくつも放った。しかしザヴァラムにはかすりもしなかった。そしてザヴァラムは雲の上まで来てそこで止まった。
『行くぞ……覇龍魔法……』
ザヴァラムは片手を天に掲げた。するとザヴァラムの上に巨大な魔方陣が現れた。次の瞬間……
『アースオブデストロイヤー……』
魔方陣から強烈な光が放たれ、 雲を避けさせ地上に降り注いだ。するとリヴァイアサンの周辺の海が蒸発した。漁港の地面もめくれ上がった。
「うっひょぉ~、 ラムすげぇなぁ……」
イージスは船から戦いを見ていた。
そしてリヴァイアサンは光を浴びるとカラカラに干からびてしまった。それと同時にリヴァイアサンから何かのオーラが抜けていった。海も空も元に戻った。
『……フム……洗脳が解けたか。』
ザヴァラムは手を降ろすと魔方陣は消え、 地上も海も元に戻った。
ザヴァラムが下へ降りるとリヴァイアサンが復活して水面に上がってきた。
『うぅん……私は何を……あれ、 ザ、 ザヴァラム様! ? 』
するとザヴァラムはリヴァイアサンの頭に強烈な拳骨をかました。
『い、 痛ぁ~い! いきなり酷いですよザヴァラム様ぁ! 』
『酷いのはどっちだ、 全く……覇龍族の恥を知れ! この馬鹿者! 』
遠くから見ていたイージスは思った。
あっ……これはラムの部下みたいな感じだな……
『とにかく、 話を聞かせろ。』
『え……い、 一体何が? 』
船に戻ろうとしたザヴァラムは振り返りリヴァイアサンを睨み付けた。
『聞きたいのはこっちなんだよ……! 』
『ヒィィ! ! 』
そしてラムは再び人の姿に戻り、 イージスの前に降りてきた。
「イージス様、 大変ご迷惑を……この馬鹿はイルヴェムと言う私の後輩なのです……」
あー……やっぱりかぁ……
するとイルヴェムも人の姿になり、 イージスの前に降りてきた。
「な、 何が何だか分かりませんが……大変なことをしたのは理解しました。イージス様……ごめんなさい! 」
あれ、 俺のことを知ってる? ラムから聞いたのか……にしても……
イージスは人の姿になったイルヴェムを見た。
……ほほぉ……青い長髪に瑠璃色の瞳かぁ……体つきはロリっ娘……服は白いワンピース姿……一部のオタクにはたまらないだろうなぁ……
イージスがまじまじと見ているのに気付いたイルヴェムは顔を赤くして
「あ、 あの……そんなに見つめられると……///」
「あぁすまん! つい……っで、 君が今回の事件の犯人かな? 」
「は、 はい……恐らく……」
恐らく? 記憶が無いのか……だとしたら何かに操られていた、 ということか……
「イルヴェム、 最後に何があったのか覚えているか? 」
「その……えっと……翼の生えた……人が……」
翼の生えた人……天使か……まさか……レフィナスの仲間? いや、 魔王の手下の可能性もあるが……そうでないとしたら……まさか……
まぁとにかく、 最後にあった記憶も曖昧なら仕方ない。この事件の被害者もいなかったんだし、 一応一件落着ということで……
「とりあえずもうイルヴェムが暴れるようなことは無いだろうし、 これで─」
イージスが終わらせようとしたその時
「ま、 待ってください! ……その……お願いします、 私達の海を助けて下さい! 」
イルヴェムがイージスに土下座して頼んできた。
えぇ……まだ何かありそうなんだけど……
イージスはイルヴェムの話を聞くことにした。
「実は最近、 この海に瘴気が溜まってきてまして……その瘴気を浄化してくれる魚達がいるんですが……その数が減ってきて……」
「うーんなるほど……つまりその瘴気を取り除いて、 かつその魚をあまり獲らないように言いたい訳だ」
「はい……」
そういうことか、 これで洗脳されていた時にも海は守るとか言ってた理由が分かった。
「分かった、 じゃあ早速瘴気を払いに行こう。フラットさん、 お願いできますか? 」
「よしきた! 嬢ちゃん、 その場所を教えてくれねぇか? 」
フラットはイルヴェムに瘴気が溜まった場所を聞き、 その場に向かった。
「うひゃあ……これは酷い……」
着いた先には黒いモヤがそこらじゅうに広がった場所があった。
これが瘴気……ジースさん、 払う方法はある?
(はい、 浄化魔法で浄化できます。もしくは主様が体内に取り込み、 新たな召喚獣を作成することで除去できます。)
ほほぉ、 召喚獣を作れるのか……じゃあそれにしよう。
「じゃあ皆、 離れてて」
(スキル、 超吸収が発動します。)
するとイージスの体の中へ瘴気がどんどん入っていった。
数分後、 海からは瘴気が完全に消え去った。
(瘴気の吸収が完了しました。続いて召喚獣の作成作業に取り掛かります。所要時間、 約6時間。)
6時間も掛かるのかよ! ……まぁ仕方ないか、 結構あったしなぁ……強力な召喚獣を期待してるよ。
「イージス様、 ありがとうございます! 」
イルヴェムはイージスに頭を下げた。
「いいっていいって、 仕事なんだし! 」
さて、 お次は……
その後イージスはフラットに魚の水揚げ量を減らしてもらうように交渉し、 メゾロクスで獲れた魚を交易することを条件に承諾してもらった。
イルヴェムは自分のいた海に帰っていった。
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「さぁて、 これで一応クエスト完了だな」
するとミーナとヒューゴが
「結局私達、 何もできなかった……」
「はぁ、 イージスさんとザヴァラムさん強すぎるからよぉ……」
「あ、 あはは……」
確かに……二人共全然活躍できてなかったな……二人がもっと強ければ戦えるんだけど……
そうだ、 明日から簡単なクエストでもやってレベル上げを手伝うか!
「じゃあ二人共、 明日からレベル上げをしよう。そうすればミーナもヒューゴも強くなれて今回みたいな強敵でも戦えるだろ? 」
「本当かよイージスさん! 」
「よーし、 明日から頑張ってレベル上げるぞぉ! 」
二人がやる気を取り戻してくれて良かった。
イージス達の冒険はまだまだ続く。
続く……




