第30話【魔法学園】(前編2)
前回の続き……
コルスターカの王宮から旅立ったイージス達は魔法学園の生徒である一人の少女との出会いをきっかけに魔法学園へ見学、 そして現在は少しの間だけ魔法学園の授業を代行することになった。
「さて皆、 まずは教科書やらノートやらをしまいなさい」
授業を始めたイージスは突然、 生徒達に教科書をしまうように言った。
「えっ……でもそれじゃ授業が……」
「いいかい皆、 魔法というのは想像を形にする自由なものなんだ。教科書なんてものを使っていては新しい魔法の道は開けない……」
この前、 俺のクラスメイト達にもこれと似たことを言ったな……ってかまんまだし……まぁそんなのは気にしないで……
「だが勿論、 基本的な魔方陣の組み方は覚えた方がいい。そこを基盤として新しい魔法を生み出すからな」
するとイージスは生徒達に紙を一斉に配った。それにはこの世界において基本となる基礎魔方陣が描かれていた。
「まぁまずは初歩的な事からだ。その基礎魔方陣に新たに加えられると考えられる魔力回路を描いてみなさい」
すると一人の生徒がイージスに質問してきた。
「あの……イージス様……」
「先生でいいよ、 どうした? 」
「その……基礎魔方陣に加えられる魔力回路を……私達は知らなくて……」
……マジか……これ初歩的なものだと思ってたから生徒達も当然知ってるかと……あっ……
そこでイージスは察した、 自分がおかしいのだと……
何てこったぁ……俺のバカ……自分の普通がおかしいって何で忘れてた! それに相手はまだ魔法が何たるかを知らない子供達じゃないか!
「あぁ……すまん、 皆はまだ知らないよな……俺が一から教えてやるよ」
そしてイージスは黒板を使い、 生徒達に自由に魔方陣を組む方法を教えてあげた。
とここでまた解説……
この世界においての魔方陣、 すなわち魔術というのはいわば半導体のようなものである。組み合わせによって形、 効果、 威力……何から何まで自由に変えられるのだ。イージスが持つスキル、 魔法合成があればもっと幅の広い魔法を作ることができるという訳だ。なおそのスキルを持つ者はこの世界では僅かしか存在しない……
そして魔法を発動させるには当然、 それぞれの陣を組む必要がある。その陣にこそ魔法の自由度を高める重要な役割がある。ここまで来るともう察しが付くだろう。そう、 その陣が持つ魔力回路をどの陣の魔力回路に繋げるかによって作られる魔法が変わるのだ。
しかし繋げられる回路には制限がある。例えば先程イージスが描き出した基礎魔方陣ならば下位魔法の魔方陣の魔力回路しか繋げられない、 繋げられる数も少なく、 威力もそれほど出ない。
逆に言えばイージスが使う超位魔法ならば繋げられる魔方陣の回路に制限がほぼ無い、 数も基礎魔方陣の百倍以上繋げなれる。
しかしながら繋げられると言っても別の属性を組み合わせる事は不可能であり、 もし繋げたとしてもお互いの属性で反発し合い効果が打ち消されてしまうのだ。正しく繋げた回路の例を挙げるならばイージスが以前使った大技、 ゴッド・オブ・ディストラクション……あれに関しては、 超位の火炎魔法と同じく超位の爆破魔法、 そしてさらにその上に無属性を持つ強化系統の魔法を何重にも重ねる。無属性に関してはどの回路にも繋げられる回路となっている。
このように、 火炎魔法と爆破魔法はどちらも火の属性が関わるため、 繋げてもお互い打ち消し合わないという訳だ。
以上がこの世界においての魔術式魔法学の大雑把な説明である。
「……とまぁこんな感じだ。分からない者がいたら遠慮なく聞いてくれ」
「す、 凄い……ここまで分かりやすく……しかも何気無く高等な技術まで……」
ちなみに言い忘れていたがこの世界においての魔術式魔法学は全魔法学の中でもトップレベルで難しい高等な技術とされている。つまりイージスから教わって魔術が上達しているミーナも当然周りから見れば天才同然であろう。
「さてと皆、 ここまでは分かったかな? ではさっきの続きをしよう。この基礎魔方陣に好きな魔力回路を繋げてみなさい」
『はぁーい! 』
生徒達は作業に取り掛かった。
それぞれの魔方陣の魔力回路についてはここの授業で多少は習ってるみたいだし……後は大丈夫そうだな。
イージスはしばらく椅子に座って待った。
「……」
……何か暇だな……そうだ、 皆だって描いてるんだし……俺も……
するとイージスは何か思い立ったように椅子から立ち上がり、 黒板に何か描き始めた。
十数分後……
生徒の一人が魔方陣を完成させた。
「先生、 できま……し……た……」
何かに気付いた生徒達は黒板を見ると……
「おぉ、 終わったか。俺もたった今描き終わったところだ」
そこには複雑に描かれた超位魔法の魔方陣が描かれていた。
「な……何ですかそれ! ? 」
「ちょっとした超防御魔法の魔方陣」
すると後ろで見ていた先生が黒板の前に走ってきた。
「こ……こんな複雑な魔方陣……見たことありません! しかも何もかもが完璧に回路を繋げられている! 」
暇潰しで描いたんだけど……我ながらいい出来だな。
「ま、 まぁ……授業を続けようか」
『いやそれより気になる物があるんですが! ? 』
生徒達は一斉に言った。それと同時にイージスは黒板に描いてある魔方陣を高速で消した。
「君達は何も見ていない……いいね? 」
『は、 はい……』
授業が進まなくなるから流さないとな。
イージスは引き続き授業を続けた。そして生徒達が描いた魔方陣を見た。
……ほぉほぉ……皆中々完成度高いな……初めてにしては回路をしっかり繋げられている……属性も色々……
すると鐘が鳴った。
「よぉし、 それじゃこの授業はここまで! 皆よくできてるじゃないか、 将来期待できるぞぉ? 」
『はい、 ありがとうございました! 』
昼休み、 イージス達は学園の食堂へ向かった。
授業って教える側も腹が減るもんだな……
そしてイージス達はしばらく食堂で食事をしていると生徒達がイージスの周りに集まってきた。
「イージス先生、 この魔法薬学教えて頂けますか? 」
「イージス先生、 私に超位魔法を教えて頂けますか! 」
「あ……え……ちょ……? 」
噂広まるのはっや! ! ! まだ一回目の授業だぞ!
「と、 とりあえず後で! 後でな? 」
「イージス様、 人気者ですね」
全く……元の世界ではこんな人気者になるなんて無かったのに……
そして食後、 イージスは生徒達の話を聞いてあげた。
数分後……
「はぁ……疲れた……いや体は疲れてないけど精神的に……」
くたびれながらもイージスは教室へ戻った。
ザヴァラムは外で行う剣術訓練を見学したいと言って行動を別にすることにした。
ミーナとヒューゴは引き続き授業を受けることにした。
……………………
「さて…………次は……」
『……ゴクリ……』
「…………何しようか! 」
『ズコォーーーー! ! ! 』
授業内容は何でもいいって聞いてるが……何も思い付かない……
するとイージスはある魔法について閃いた。
「そうだ! 皆、 外に出よう」
そしてイージス達は校庭に出た。
この中には将来大魔法使いも夢見ている生徒もいるだろう。なら絶対に覚えておいて損は無い魔法がある! これは絶対に皆食い付くぞぉ……!
「先生、 急に校庭に出て……何をするんです? 」
「ふっふっふ……諸君、 召喚魔法を知っているだろう? 」
「えっ、 はい。図書館の本では見たことはありますが……実際には……」
ビンゴ! この世界では召喚魔法は殆ど浸透してないからな、 生徒達なら尚更触れたことも無い存在だ。
「では今回の授業は……召喚魔法についての授業だ! 」
『えぇ~~~! ? 』
「まぁと言っても実際に召喚してみろとは言わない、 今回は皆に召喚獣をお見せしよう! 」
この子達にはまだ召喚魔法を使える程の技術と知識は備わってない……だが今のうちに召喚獣に触れておけば将来の夢が膨らむしな。実際にどんな召喚獣を呼び出せるのかも知ることもできるし。
すると一人の生徒がイージスに聞いた。
「でも先生、 召喚獣を見せるって言ってもどうやって? 」
「今に分かるさ……目覚めよ、 召喚獣よ! 」
するとイージスの周りに魔方陣が現れた。
(召喚獣収納空間からマキシマムシャドーナイト、 ダークフォーレンエンジェル、 エクリプスアンデットドラゴン、 カオスゴーストを一体ずつ解放します。)
魔方陣からイージスの召喚獣達が現れた。
『おぉーーー! ! 』
「これが召喚獣だ。まぁどれも超位魔物ばかりだから普通じゃお目に掛かれないけどな」
生徒達は一斉にイージスの召喚獣達の周りに集まってきた。
召喚獣達には悪いが生徒達のためなんだ……許せ……
その後、 イージスは召喚獣達の強さを披露したり生徒達と召喚獣達を遊ばせてみたりと授業はかなり充実した。
『先生、 ありがとうございました! 』
「また何かあればいつでも聞きなさい」
そしてこの日のイージスの授業は終わった。
ミーナとヒューゴもイージスの元に戻ってきた。
「お疲れ様です。イージスさん! 」
「いやぁ先生より先生らしかったよイージスさん! 」
「はははっ……意外にも好評で良かったよ」
やっぱり魔法学園最高だなぁ……そういえばラムはどうしてるんだ? もう夕方だし戻ってくると思うんだが……
イージス達はザヴァラムがいる学園の運動場に向かった。するとそのには……
「こら貴様ら! その程度の体力ではデスベアー一頭も狩れないぞ! もっと気合い入れろ! ! 」
『は、 はいぃーー! 』
怒鳴り付けながら生徒達を指導するザヴァラムの姿があった。
……昭和の熱血教師か! ! !
イージスはザヴァラムを止め、 何とか授業も終了した。その日から学園では地獄の覇龍教師の噂が出てきたのだった。
……………………
「……見ぃつけた……」
校庭の木の陰で何者かがイージス達を見ていた。
続く……




