表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
となりの慈英さん  作者: 芥川先生
4/8

202号室 ロリコンとバンパイア

「て、てめぇ! 朝はよくも!」


変態が吼える。

変態の頰は綺麗に晴れ上がり、アンパン○ンのようになっている。


「まさか露出狂の変態と同じアパートとは…」

「露出はしてねぇよ⁉︎」


思ったことが口から出てしまった。

変態だってことは否定しないんだな…



頰をさすりながら、男はぶつぶつと文句を言って部屋に戻る。


「何してんだよ? 入れよ。」


あまりの出来事に頭がショートしていたぼくに、男が言う。


この男に対するミジンコ程度の良心が痛み、その言葉に従うことにした。


………………………

男がソファに踏ん反り帰って座っている。

ぼくは、男の言うままに2人分の茶を淹れる。


やっぱり、何か言い訳を考えて帰るか…

(祖母が危篤で、すぐ帰らないと!)

よし、これだな!


「帰れると思うなよ?」


コイツ、エスパーかよ…



「名前、なんだっけ?」


「と、徳井ですけど…」


「徳井くんね… ふ〜ん、なんかふつうの人間って感じだな?」


普通の人間? どういう意味だ?


「オレは、吸血鬼の番場(ばんば)ってんだ。 よろしくな。」



今、コイツなんて言った?

キュウケツキ?


頭の中で緊急会議、もう大パニック。


「ったく、人の食事を邪魔しやがってよぅ…

もうやんなよ!」


置いてきぼりのぼくを無視して、番場は続けた。


「あの…吸血鬼ってことは、人の血を…

その…吸うんですか?」

「吸うよ。 まぁ、別に必要でもないんだけどな」


吸う必要ないんかい!


しかし、初対面のぼくを部屋にあげたということは…


「ひ、ひょっとして…ぼくの血を…」

「はぁ⁉︎ ありえねぇ!」


番場は吐き気を催したような表情でこっちを睨んだ。


「おっさんの血なんか吸えるかよ… オレは、ロリ

の血しか吸わん!」


うわぁ、真性の変態だ…

ぼくは無意識に110番を押す。


「通報、ダメ、ゼッタイ」


番場は、物凄い速さでぼくのスマホを奪った。


「と、とにかく! ぼくの目が黒いうちは、番場さんを犯罪者にはさせませんから!」



怪魔荘から犯罪者が出たとなれば、住人のぼくらがどうなるか分かったものじゃない…


そうなれば、慈英さんがまた居場所を失ってしまう…


そんなことはさせない!



「しゃあねぇな、月1で我慢するか。」

「月1もダメです!」


番場さんは吸血鬼だった。

じゃあ、慈英さんももしかして…


いや、そんなことはないだろう。


そもそも吸血鬼って、馬鹿らしい。


番場の部屋を出て、改めて思う。


変態の戯言は忘れて、挨拶周りを続けよう。


そう、思っていた…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ