8
シンがボスの攻撃を受け止めユウハとサユリが横から切りつける。ただそれだけのことを繰り返すだけでボスのHPは猛スピードで減っていく。シンの回復をしているユウキもシンの防御力が上がったので仕事が減っている。ミフネに至ってはユウキの横で立ってタケメバが戦闘に参加しているのでタケメバの回復をして【神聖】のLv上げをしている。
「暇だな。ユウキはいつもこんなことしてたんだな」
「このPTだとそうですね。野良に行くともっと忙しいですよ」
「野良か行ったことないな」
「先輩は行かないでしょうね」
「この格好だとまず誰も組んでくれないだろうな」
「ぱっと見PKプレイヤーですからね」
「PKか私はあったことないな」
このゲームも一応PKはできるがプレイヤー側の設定次第である。PvPをonにするとon同士で戦闘が可能だ。
offにしているプレイヤーはonのプレイヤーに干渉できないが干渉もされない。onにしなくてもPvP系のイベントには参加は可能なので対人戦が苦手なプレイヤーはoffを推奨している。
「私も一応onにはしている」
「先輩を襲ったら酷いことになりそうですけどね」
「それじゃあ私が化物みたいじゃないか」
「実際九尾状態の先輩をみんな化物って呼んでましたよ」
「本当に言ってたんだな」
ユウキはシン達を回復させながらどういう意味か聞いてきた。
「あのイベントでお前たちが化物、化物言うから私の称号に【化物】がある」
「このゲーム二つ名とか呼び続けると呼ばれてるプレイヤーに称号付きますからね」
「現在確認している称号で取得人数が多いのは【ロリコン】や【ショタコン】ばかりなのだが」
「ゲームでしかできない事ですからね....」
「シンもあと少しで【ロリコン】の称号を取りそうだぞ」
「それ、先輩のせいでしょう。俺も乗りましたけど」
慣れない回復役をしながらユウキと話しているとタケメバのHPが減っていたので回復を使った。
「あ、回復させすぎた。こっち向いたな」
「おい!そっち行ったぞ」
「走ってきてますね」
「面倒だな。シンの方に飛ばすか」
「任せます」
「シン、そっち飛ばすぞ【黒炎】」
「おう」
真黒の炎弾は鼠に直撃し鼠はシン達の方へ飛んで行った。鼠を飛ばすために【狐火】を使ったがやはりMPの消費が激しい。妖狐の固有スキルは強力なものが多いがすべてMPの消費量が多いのだ。今のMPでは7発も打てばMPが空っぽになる。まあその分威力も絶大なわけだが。
「えげつない一撃でしたね」
「今ので最小限なんだがな」
「先輩本当に剣士ですか....」
「気持ちは剣士なんだが力より魔の方が高いんだ私」
「魔法に特化しろって事じゃないですか?だから鎧も装備できなかったのでは」
魔法に特化すると妖狐のスキル【妖刀】使用時にその魔法が一切使えなくなる。かと言って【妖刀】を使わないと言うことは最強の武器を捨てる事と同じだ。それにすでに力にかなりのポイントを振っているのだ。これから魔法職になるのは中途半端だ。
「やはり面倒だ、それに私は生産職だからな。このまま行くとしよう」
「先輩未だに生産スキル取ってないでしょうに」
「採取関係は取ったが生産系はまだだな二ノ街についたら始める」
「先輩ならすぐにほかの生産職の方々に追いつきそうですね」
「どうだろうな。今の生産職のトップの事はよく知らん」
「情報交換は大切ですよ。新しい素材などの情報がないと困りますよ」
「その素材を追加しているのは私なんだが....」
「でしたね...」
「技術面でもプレイヤーが新しい技術を見つけると私に報告がくるからな」
ゲーム進行に不具合を起こすような製法が見つかった場合すぐに対応できるように新しい製法はすべて私のところにアリンから報告が上がってくる。プレイヤーには悪いが新しい製法にバグや不正がない事を確認するのも仕事なので仕方ないのだ。
「正直どうでもいい技術まで報告が来るのでうんざりしているんだがな。なんだ新しい女性下着の製法って。なんで女限定なんだ作ったお前は男だろが」
「面白い物を作る人いるんですね」
「私がお前用に作ってやろうか女物で。一応私が本気で作れば神具になると思うぞ」
「いらないです。それにそんなものに本気出さないでください」
「いいと思ったんだがな」
「戦闘もうすぐ終わりそうですよ!」
ユウキがシン達のほうを指差して話を変えた。指差している方を見てみるとボロボロの鼠とそれを囲むシン達がいた。シンが鼠の攻撃を盾で弾き剣でとどめを刺した。
《西のエリアボスを討伐しました》
《鼠の皮x2を入手しました》
《毒のナイフを入手しました》
《銀貨20枚を入手しました》
《二ノ街に行けるようになりました》
「皆お疲れさん」
「「「「「お疲れ様」」」」」
「余裕そうだな」
「まあ西のボスだからな」
「経験値が全く美味しくない」
「そうですか?普通にいい経験値だったんですが」
「此奴ずっと北にいるから感覚狂ってんだろ」
「スキル取得したら北の方面を進めるかな」
先日レベル上げをした北のモンスターはすでに経験値が全く入らないだろう。北の次のフィールドは敵のLvが35~55なので私の適正MAPなのだ。北にも街はあるが現在は物語に関係するクエストは一切存在しない。強いモンスターが大量にいるフィールドだ。レア素材などは豊富だがその分難易度は東西南北中トップである。それに北の街中にはダンジョンが存在する。現在50層までしか実装されていないが100層までは完成している。生産の素材を集めるのにダンジョンは最適なので早めに到着しておきたい。
「北になんかあんのか?」
「あるぞ。ダンジョンやクラン。ダンジョンは他の方角にもあるが」
「クラン作れるんですか?」
「ああ、北の街にギルドの本部があるからなそこで結成できる」
「北の街か....ちなみに適正Lvは?」
「80だったかな。結成には金貨10枚必要だ。入会には銀貨15枚」
「あとLv55上げないといけないのか」
「お金は80になる頃には貯まってるでしょうね」
「まぁクラン結成金は5人で出し合えばいいがな」
「一人金貨2枚...そんなお金持ってません!」
「サユリさんなんでそんなにお金ないんですか...」
「どうせ服とかの買いすぎだろ。街での服毎回違うからな」
.
.
.
.
.
「さて、そろそろ体力も回復したな。二ノ街に向かうか」
「そうだな」
6人は移動し始めた。道中の敵もすべてシンとサユリが倒していくのでミフネを含めた4人は暇なので二ノ街の話を始めた。
「職人の街楽しみだわ」
「「だな」」
「生産職はやっぱり二ノ街を拠点にするんですか?」
「自分の店を持ちたいわね」
「大通りだと土地だけだと金貨5枚だな端の方などは金貨1~3枚だな。建物を購入などになってくると10枚を軽く超えてくる」
「へえよく知ってるわね。私は大通りにお店を構える予定よ」
「俺は少し静かなところがいいな」
「端の方だな。私と同じだ」
「ミフネは戦闘職でしょ?なんでお店?」
ミフネがお店を持つことに疑問を持ったタケメバが聞いてきた。
「何を言っているんだ、私も生産職だぞ?」
「貴方剣持ってて魔法使えるんだからどう見ても戦闘職でしょう」
「まぁ先輩はまだ生産スキル何も持ってませんけどね....」
「二ノ街についたら【調薬】の職人に弟子入りする予定だ」
「ならスキル覚えたらお店を出すの?」
「一応出すが知り合い以外には一切売るつもりはないな」
ミフネの作るものはステータスの高さと知識で破格な効果のものしかできないだろう。かといって低効果の物を作るのは経験値が美味しくない。常にその素材で出来る最高の品質にするつもりだ。だがそんな物を一般販売すると面倒事に巻き込まれるのは必至。委託販売には流すがそちらも何らかの制限をかけて出すつもりだ。
「売るにしてもシン達くらいだな」
「ミフネ先輩が作るポーションか...怖いな」
「一体いくらするんでしょう」
「素材を渡してくれれば無料でもいいぞ」
「おーい!街が見えてきたぞ」
ミフネ達が会話をしている内にもう街の門が見える場所まで来ていた。あと1時間もすれば日が沈むので6人は急いで門に向かった。
「βテストの時と街自体は同じみたいだな」
「私はこれから調薬師のところへ向かうのでPTを出るぞ」
この世界の時間で17時40分調薬師が店を閉める前に弟子入りだけでもしておきたいのだ。簡単に挨拶を終えメニューを操作してPTから脱退した。ミフネは急いで調薬師の店に向かった。今日中に弟子入りする事を伝えておかなければこの世界で三日経過してしまうのだ。何とか店に到着するとまだ開いていた。入店して店主に自分が職人見習いであり調薬師の店主に弟子入りしたい趣旨を伝えると店主は快く引き受けてくれた。三日後から修業を始めることになり今日は宿に泊まることにした。




