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ログインしてベッドから起き上がり、装備を整え宿屋をでると朝になったばかりなのか準備をしている住人達が忙しそうに動いていた。。今日は昼頃からシン達と二ノ街に行く予定なのだ。私もそろそろ生産職らしいことをしたいと思っていたのでちょうどよかった。予定が昼なのに何故朝にログインしているかと言うと先日の黒狼の戦闘で手に入れた素材でユウハに新しい武器を作ってもらうためだ。先日もらった武器の修理を頼もうかとも思ったのだが、アリンが作った1番弱いボスであれだったので直せたとしてもまたあのようなボスが出てきた時心もとない。
ユウハとの集合場所に着くとユウハと女性プレイヤーが会話をしていた。良い雰囲気だったので邪魔しないようにしようと思ったのだが、真昼に全身をローブで隠している姿は目立つ。すぐにユウハに見つかった。
「なんでちょっと離れたところから見てたんだ?」
「二人で良い雰囲気だったからな。カップルの邪魔しては悪いと」
女性の方はあたふたしながら、
「ち、違う!ユウハとは同じ生産職なだけ!」
「なんだ、そうなのかつまらん」
「そうだぞ。変なこと言わないでくれ」
「はあ、貴方がミフネさん?」
「そうだが?そういう貴方はユウハの恋人さん?」
「だ・か・ら・違うって言ってるでしょうが!私の名前はタケメバ」
ユウハがため息を吐きながら、
「その人はミフネ先輩が今着てるローブの製作者だ」
「ほお、このローブのか。着ているのがどんな奴か見に来たのか?」
「半分正解ね。確かに誰が着てるのかを見てみたくて付いて来たのもあるけど、今日シンさんのPTに入れてもらうから集合時間まで一緒に行動してるの」
「要するにデート中だったわけか。やはり悪いことをしたな」
「もういいわ、いくら言っても無駄な気がしてきたし」
「で、ミフネ先輩。俺を呼んだ要件は?」
そろそろ本題に入るか。
「武器の制作を頼みたい」
「武器?この前渡したのはどうしたんだ?」
ミフネはアイテム欄から先日ユウハから受け取った剣を取り出し鞘から抜いた。
「どうやったらこんなボロボロになるんだ....」
「ちょっとめんどくさい奴と戦ったんだ。で、新しい武器作ってくれるか?」
ユウハは少し考えると
「この武器より強い武器を作れる素材が北の上位ウルフくらいだが素材がない」、
「素材なら用意している。ちょうどいいのが手に入ったのでな」
「ならいいが、じゃあ生産ギルドに行こうか。設備を借りないと」
「私もついて行っていいかしら?」
「別にかまわない。それに丁度いい貴方にも新しいローブを頼みたい、材料になりそうな素材は持っている」
「いいわよ」
3人は生産ギルドに向かった。
「あの、すみません」
生産ギルドに向かっている途中で若い女性の声が聞こえた。無視して進んで行くと、
「そこの3人組みの方々!」
誰を呼んでいるのだろうか、早く返事してやればいいのに。
「そこのローブで全身隠してる人がいる3人組の方々!」
「私たちの事みたいだな」
「「だな(みたいね)」」
振り返るとそこには冒険者の服を着た女性がこっちを向いていた。
「何の用だ?急いでいるんだが」
「すみません、この辺で私に似ている人を見ませんでしたか?」
人探しか、それに此奴プレイヤーじゃないな。クエストか....あれ?私はこんなクエスト作った記憶はないぞ。
「見てないけれど、家族なの?」
「そうですか....御姉様です。数日前から急に姿を消して今皆で探しているんです」
ん?待て、御姉様?数日前から姿を消した?私の物語にそっくりじゃないか。
その女性をよく見ると目と髪の色は違うがメアそっくりだった。その瞬間なんとなくだが神がいる気がした。いやいや、遅すぎるだろう。もう目の前にいるんだが。
「お姉さんのお名前は?」
「えーっと名前はメルユシナっていうんですけど聞いたことありませんか?」
「どこかでその名前を見たことある気がするが思い出せないな」
「私も知らないな」
久しぶりに聞いたな創造神の名前。自分で考えておいてなんだが適当すぎるだろう。ユウハはどこかで見た気がすると言っていたが恐らくそれは神殿の石造だろう。世界神、創造神、輪廻神の像の下にその神の名前が彫ってあるからな。
「もう用がないなら私達は行くんだが」
早く離れた方がいい。あんまり会話するとばれそうだ。
「お止めしてすみませんでした。貴方方に創造神の加護があらんことを」
そういうと女性はすーっと消えていった。
《創造神を探す輪廻神メアに接触したプレイヤーが現れました》
《新たなスキル【神聖】【威圧】を閃きました》
《自身より下級神の為加護を受けられませんでした。【神聖】に変化しました》
「さっきの人、神様なの!?」
「そうみたいだな、今確認したら加護をもらってた」
「あ、本当ね。輪廻神の加護っていうのが増えてる」
二人はメニューを操作して確認していた。一応ミフネも確認してみるが加護はついていなかった。やはり自分より上の存在には加護は付けれなかったか。恐らく私の物語だろうがまさか直接接触してくるとはな。今後もこのようなことがあるなら気を付けなければ。ばれるとどうなるのか少し気になるが今は生産ギルドに行かなくてはならない。
「今はあまり時間がないギルドに急ごう」
ミフネはそう言ってギルドの方へ歩き出した。
「え?反応薄くない?神様よ神様」
「ここで騒いでいると面倒事になる。話すならギルドに着いてからにしてくれ」
「まあ、ミフネ先輩は興味ないだろうな」
「分かったわよ....」
3人は予定通り生産ギルドに到着し、個室を借りてそこへ向かった。個室に入ると二人は準備を始めた。
「さて、神様の事も気になるけどお仕事しましょうか」
「ミフネ先輩素材ここに出してくれ」
ユウハが机を持ってきたのでその上に黒狼の牙と毛皮と大量に倒したウルフの素材も出した。50匹以上倒したので乗り切るはずもなく机から零れ落ちた。二人は大量に出てきた素材を前に突っ立ていた。
「これですべてだ」
二人の反応はなかった。どうするべきかと考えたミフネは先ほど新しく閃いた【威圧】を10スキルポイント消費して覚えた。そしてミフネは二人に向かって威圧を使った。
「「ッ!?」」
二人は恐怖状態になり震えていた。これが【威圧】の効果、恐怖である。使用者の魔が対象者の精を超えている場合のみ使用できる。差が開けば開くほど効果が変わる。差があまりない場合は少し存在感が強い程度だ。現在は指輪によってステータスは75%下がっているため恐怖程度で済んだが本来のステータスなら恐らく即死とは言わなくてもダメージは与えていただろう。二人の恐怖状態を【神聖】で治すと二人はその場にへたり込む。
「何今の...」
「動けなかった」
「ただの【威圧】だ。時間があまりないと言っているのに二人してぼーっとしていたんでな」
「何処でそんなの覚えたんだ」
「さっき輪廻神メア会った時に覚えた」
私は普通に接していただけのつもりだったのだが相手からすれば威圧されていると感じていたのだろうか。
【威圧】の閃き条件は合計50以上の生命体を怯えさせることである。
同時にではないので比較的簡単に覚えれるのだが、効果がステータスの差の為覚えたとしても実用性はあまりない。
「素材は出したんだ。使う素材を選んでくれ」
「この素材は全部貴方が?」
「そうだが?」
「全部北のモンスターのだな。それもすべて夜のモンスターだ」
それはそうだろう私は北にしかまだ行ったことがないのだから北のモンスターの素材しか持っていない。二人は机に出された素材を選び始めた。
「これは?情報が一切見えないんだけれど」
タケメバが指差したのは黒狼の毛皮だった。どうやら【鑑定】のレベルが足りず素材の詳細が見えないようだ。ミフネも使ってみたが何も見えなかった。
「それは黒狼ガラドラの毛皮だ」
「初めてみる素材ね」
「俺も聞いたことがない」
「私も詳しくは知らんが「我は魔王サタン様の配下」と言っていたぞ」
「そういえば少し前に魔王の配下を討伐したってアナウンス流れてたわね」
「そんなアナウンスもあったな。てことはその配下を倒したのがミフネ先輩だったわけか」
「ウルフ狩りをしていたら現れたのでな。倒したら配下だった」
「配下でも相当強いって噂じゃなかったかしら?」
「何PTが見つけたらしいが配下ですら負けたと掲示板にも上がっていたな」
それもそうだろう。そのモンスター達はミフネを基準で作られた本物の化物達だ。そのために魔王の配下たちから逃げるという選択肢まで用意されているのだ。もし強制戦闘だった場合プレイヤーの大半は進めなくなる。
「よくそんなモンスター倒せたわね。実は貴方βでは有名な人だったり?」
「有名かは知らないな。それに興味もない」
「ある意味ミフネ先輩は有名だな」
「私何か変なことしたか?」
特に、何かしたということはないはずだが。
「β最終日にお面をつけた奴にお面をつけた狐の獣人が引き摺られていくのを見たって掲示板で騒がれてた」
「ああ、あれね。確かにそんな話聞いたことあるわ。え?あれ貴方だったの?確かに今もお面付けてるけど」
そういえばそんなこともあったな。あんなに怒っていたアリンを見たのは数年ぶりだったな。
「そんなこともあったな」
「なんでお面なんてつけているの?」
「私PTメンバーから仏頂面だと言われてな。仮面ならもともと表情が見えないからいいかと」
殆ど嘘だがまあいいだろう。
「声からして女ということは分かるんだけれど。口調が男みたいね」
それはそうだろう。見た目は女だが操作している中身は本当に男なのだから。
「まあいいわ、私はこの黒狼ガラドラの毛皮でローブを作らせてもらうわ」
「俺は牙だな」
二人は使う素材を手に取り作業を開始した。机に残った素材はすべてしまった。
武器とローブが完成したのは集合時間の30分前だった。




