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逸材の生命  作者: 郁祈
第一章 学園編
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もう一人の逸材

小テストを無事にくぐり抜けた三人は棗の提案で駅前にいる逸材者を探すことに決めた

だが、この詮索が再び生たちの日常を脅かすのだった

 学園から数分歩いた先に恋桜駅という駅がある。

 (しょう)(みこと)(なつめ)は三人でこの駅前に来ていた。


 なんできていたかというと、棗が


 ──駅前に逸材者がいる


 などと言ったからである。


 しかも俺と同じ年ということで、俺は気になってこの駅前に来た。


 「でもどうやってその逸材者みつけるの?」


 命が歩きながら聞いてくる。


 「んーー逸材者って案外オーラ纏っているとか」


 棗がアホらしい回答を述べた。

 

 「あっ、でも生がオーラ纏っていないからないね・・・って生に似たやつ見つければ早いんじゃないか」


 棗にしては少しまともな考えが出てきたな。


 「生に似たってもねえ・・・分かりやしないよ」


 

 などと、歩きながら色々考えていたのだが、見つける手段もなく、行き詰ってしまった。


 駅前ともなると人通りが激しく、とてもこの中から一人の人物を見つけるのは難しい。

 

 「私駅前って来たことなかったけど、こんなに人が行き来しているんだね」


 命は本来の目的よりも、駅前の人の多さに感動している。


 「どうだい生?それらしき人は見つかったかい?」


 棗も自分では探しておらず、俺に意見を聞いてくるばかりだった。


 「いや、見つからないな。ヒントは俺たちと同い年ってことしか分からないからな」


 「そうだよねえ・・・放課後の駅前なんて、学生でありふれてるっての」


 俺たちは徒歩で通学しているが、他の人は電車通学とかが当たり前なので放課後の時間は学生がとても多い。


 

 「一応・・・やってみるか」


 肉眼で探すのは少し時間がかかりそうなので、ここは「視力、聴力」を活かし俺は目を閉じた。

 こうすることによって、音で周りを探索でき、視力のおかげで脳内で周りを見渡すことが可能なのだ。

 わかりやすく言えば今の俺はレーダーみたいなもの、これで探せば少しは・・・


 辺りを見渡し、一人の男が視界に入った瞬間、

 

 男はニヤっと笑った。


 「ッ!!」


 気づかれた!

 これは・・・もしや・・・


 「どうした生!?」


 棗がいち早く俺に気が付く。


 「向こうに逸材者っぽい人を見つけた」


 俺は急いでその方向に向かって走った。

 後から棗と命がちゃんと追いかけてくることも確認はした。


 



 たどり着いたところは駅の出口の反対側だった。

 棗も命もなんでこっちにいるのか不思議に思っていたが、俺は「見られていた」と言って誤魔化しておいた。



 「──よく、ここが分かったね」


 髪の色は青っぽい黒をしていて、学生服を来たこの男は俺たちを待っていたかのように駅のベンチに座っていた。


 「お前が・・・逸材者・・・」


 「本当に居たのね」


 「で、お前が逸材者か」


 男は微笑み、


 「そうだ、僕は逸材者だよ。自分でも言うのは少しアレだが、こういう場合は自覚している方がいいと思ってね」


 そういった。

 

 「僕は"有田(ありた) (かき)"って言うんだ。(いん)って書いてかきと言う」


 いきなり自己紹介を始めてきた有田。


 「俺たちを待っていたみたいだが、何が目的だ」


 「フフ・・・君が逸材者か。なるほど」



 「すごい、生を逸材者って見抜いたよ」

 

 「確かに向こうも逸材者ってわけだね」

 

 棗と命は妙な感じで有田を逸材者と認めていた。



 「噂で聞いていてね。逸材者の中の逸材人物・・・境川生(さかいがわしょう)って人物が恋桜学園にいると」


 「俺の噂だと?」


 「普通、逸材の人物はそれそうに学歴の高いところを選ぶ・・・または推薦されるはずだ。だが、君はどうだ?なぜあんな偏差値の低い学園を選んだ」


 理由か・・・・家が近かったからとかじゃダメなのかな。


 「君は感じた通り、ボクの逸材は"頭脳と視力"だ。君のことを少々観察させてもらっていたよ。中々に興味深かった」


 さっき探している時に俺に気がついたのもこれが原因か・・・!

 

 

 「ねえ、棗くん。逸材の視力って何かな?」


 「さあね。こればかりは頭のいい人の会話なのかもしれないな」



 「同じ逸材者でも僕と君では何かが違う。観察していて気がついたさ」


 「お前、生まれ持っての逸材者か?」


 「そうだけど?当たり前だろ」


 やはりそうか。

 こいつは生まれ持っての逸材者・・・つまり生まれた時から、ありえなくらいの知性・記憶力を持ち、尚且つ遠くを見据えることに長けていたのだろう。

 だが、俺は違う。幼い時は普通の人間だった。逸材の力を身につけたのもつい最近、だから有田のように俺はまだ逸材の力を使いこなせていないんだ。

 これが俺と有田の違いだ。


 「悪いが俺が逸材になったのはつい最近だ。だから俺とお前は違うんだ」


 そう言うと有田は、


 「はは・・・おかしなことを言うねキミは。逸材が最近だと?生まれ持ってこその逸材、それを身につけるなど・・・ありえないことを言うもんじゃないよ」


 冗談ばかしと受け止めいた。


 「──俺は逸材者に興味はあったが、生まれ持っての逸材者に興味はない。じゃあな」


 そう言い、俺は後ろを振り返り命と棗の元に向かおうとした。


 「興味がないと言われたのは初めてだよ。境川」


 有田が肩を掴んで俺の動きを止めてきた。


 「なんだ?」


 手をどけようとしたが、離すことはできなかった。

 意外と力が強かったのだ。


 「僕はこれまで生きてきて、みんなから注目を集めていた。なのにキミは僕に興味がないといったな!!」


 「事実だ」


 半ば強引だったが、俺は意地でも有田の手をどかした。


 「命、棗、帰るぞ」


 そう言って俺は家の方に歩いて行った。







 



 ──帰宅最中


 「ねえ生。有田さんと何話していたの?」


 命が俺と有田が何を話していたかを聞いてきた。


 「それは俺も興味があるな」


 棗も命の質問に興味津々だった。


 「──別に、ただ・・・思っていた奴とは違っていた」


 生まれ持っての逸材者・・・それは俺なんかとは性格が違いすぎた。



 「んじゃ、俺こっちだから」


 「おうじゃーな」


 「棗くん。また明日」


 棗と別れ、俺は命と二人っきりになった。


 「今日は色々あったけど、無事に終わったね~」


 「・・・そうだな」


 命と世間話をしながら通学路を歩いて帰っていると、目の前にスーツを着た男が家の前に立っていた。


 「ねえ、生。お客さんかな?」


 命もそれに気がついたらしく、俺に聞いてきた。


 「・・・・・」


 あまりいい感じではなかったが、俺は家の前まで行き、スーツを着た男の前までやってきた。


 「すいません。そこ俺の家なんですけど?」


 「境川生だな」


 その声と同時に、周りから数人のスーツの男が出てきた。


 「し、(しょう)・・・・」


 命は俺の制服を掴み震えていた。


 普通に見たらこの光景は怖いよな。警察に囲まれるよりもずっと・・・どちらかというとヤクザに絡まれている気分だ。


 「少々ご同行お願いします」


 俺の家の前にいたスーツの男がそう言ってきた。


 「断る・・・と言ったら?」


 スーツの男はゆっくりと手を上げた。


 それが合図だった。

 

 周りの男たちは全員胸ポケットから拳銃を突き出してきた。


 「おいおい、銃刀法違反だぞ」


 「ほぉ、余裕だな・・・逸材者」


 「生・・・」

  

 命はもう足に力が入らなくなったのか。座り込んでしまった。

 マズイな・・・命が怖がっている。


 「もう一度言う、ご同行を願う」


 チャキッと銃を引く音が聞こえる。この返答次第で、撃つかが決まるってわけか。


 「(人数は・・・3・・・6・・・9・・・10人か)」


 俺は視力の力で辺りを見渡したが、少し多いと判断した。

 だが、ここで撃たれたら死んでしまう。

 ・・・命には秘密にしておきたかったんだけど、仕方ないか。


 俺は覚悟を決め、


 「命・・・」


 「ふぁ、ふぁい・・・?」


 震えている命はもはや声もまともに出せない状態になっていた。

 

 「いいか、これから起こることは誰にも言わないでくれ。俺との約束だ」


 しゃがみこんで命にそういった。

 さらに安心させるために、頭を撫で俺は立ち上がった。


 「おっさん!悪いが答えはNOだ」


 「なるほど、理解した」


 そういった同時にパァン!!と周りから発射される音が響いた。


 だが、俺は、


 「命!」


 命を抱き抱え、左にズレた。


 「どこに逃げても無駄だ・・・」


 スーツを着た男はそう言っていたが


 放たれた弾丸は10発とも俺と命にかすりもせず、壁に全部当たった。


 「なに・・・!?」


 10人全員が驚いていた。


 「悪いが、こういった計算は得意中の得意でね。放たれる軌道さえ分かれば"どこにいれば当たらないのかも"予測できてしまうんだ」


 これが逸材の頭脳の力。物事の計算が全て一瞬で出てしまう。


 「くソ・・・!!撃て・・・!!撃てーー!!!」


 男はヤケクソになり、連発の命令を下したが、


 「遅い!!」


 俺は命をゆっくり地面に置き、


 地面に落ちた弾丸を拾い上げ、周りに向かって弾いた。


 パァン・・・と弾かれたさっきの弾丸は全て、相手の銃の中に入り、そこから武器破壊となり壊れた。


 「ふぅ・・・あぶない奴らだ」


 「ひ、・・・・化物・・・」


 ちょうど近くにいた男は俺に向かってそう言った。


 「これ以上危ない目に会いたくないならとっとと失せな」


 俺が鋭く睨むと男たちはすぐさま撤退していった。


 

 撤退を確認したら、振り返り命の元に駆け寄った。


 「大丈夫だったか・・・?」


 「──いい」


 「ん?」

 

 なんて言ったんだ?


 「カッコイイ」


 命は俺を見てそういった。


 「大丈夫そうだな・・・・しっかし、なんだったんだあいつら」


 落ちた弾丸を拾い上げ、観察してみる。


 「なるほど、理解したぞ」


 この弾丸の匂い・・・ついさっき感じた匂い



 「──これはお前からの挑戦状ってわけか?」


 俺が感じた匂いは、




 ──有田院の匂いだった

【キャラ説明】

有田(ありた) (かき)

性別:男

能力:「千里の逸材」

説明:生まれついての逸材者であり、高い知性と遠くを見渡せる千里眼を用いる。家柄はとてもいい。

容姿:青髪

学校:他校

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