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逸材の生命  作者: 郁祈
第四章 アメリカの才女編
59/130

最強の逸材者

 超高層の建物・・・アメリカロサンゼルスに存在するライブラリータワー。

 そこにシャルルは存在している。

 ようやくだ。俺とルナはその建物の目の前にやって来た。


 「ここに....シャルルが」


 「ええ。私たちの倒すべき相手」


 俺とルナはタワーの上を見てそう言った。

 すると目の前から誰かが歩いてきた。


 「──ようこそ。お待ちしていましたよ。ルナ様、そして日本の逸材者殿」


 丁寧な言葉使いの男は俺たちを出向けるように出てくる。


 「俺の名は境川生だ。その呼び方は気に入らねえな」


 これまであってきた奴ら全員俺の本名使わねえんだからよ。全く失礼な奴らだぜ。


 「これはこれは失礼・・・。では境川様と」


 シルバーやカトリックと言った奴らとは圧倒的に異なる態度の男だ。

 正直一番思考が読めねえ相手だな。


 「私の名は"フェン・ブリューガルト"・・・ルナ様ならご存知ですよね」


 フェンがそう言うとルナは


 「フェン・ブリューガルト・・・・ですって・・・」


 「知ってるのか?」


 「ええ。フェン・ブリューガルト。カトリック同様アメリカでは名の知れている逸材者。しかも今まで会ってきた逸材者と異なるのはフェンには功績があるのよ」


 「功績・・・?」


 「フェンは逸材者が持っている膨大な知性を使ってこれまでに様々なことをしてきたの。例えば生は見てないだろうけど、地下鉄の設計や戦争の戦術・・・ありとあらゆることを彼は考えてきた男」


 つまりこれまで会ってきた逸材者とは違いルナ同様知略型の逸材者ってことか。

 日本でも知略型の逸材者は珍しい。俺の知る限り当てはまるのは有田と愛桜(あいさか)先輩くらいだろう。


 「その通り。私は知略型、ですが・・・侮ってはいけませんよ。知性に注いでいただけで力が無いなんてことはありませんから」


 不敵にも笑みを浮かべながらフェンはそう言った。


 

 「──相変わらずねフェン」


 フェンの背後から今度は女の人物が歩き出てきた。

 銀色で長い髪をしており、二つのお団子結びをしている女。身長は俺やフェンと同じくらいだ。


 「遅いですよ、アリス(・・)


 「ごめんごめん。ちょっと準備に手間取っちゃって」


 軽い感じの性格をしているアリスと呼ばれた人物。だが、ここにいるということは逸材者ということだ。油断はできない。


 「あら?向こうも丁度二人じゃない。こっちも二人なんだしいい感じね」


 

 「ルナ。あっちは誰か知っているか?」


 俺はアリスの方を見てルナに聞いてみる。


 「いえ・・・知らないわね。フェンと同等の逸材者かそれ以下か....どちらにしても油断は禁物よ、生」


 油断はできない。どうやら俺と同じ意見のようだな。


 「どうする。お前ならどっちと闘いたい」


 「正直フェンかしらね。情報がある異常対策が取れるのはフェンの方だし・・・でも生にアリスをぶつけるのは危険な気がする」


 「大丈夫だ。負けやしねえよ」

 

 ルナに心配されたが俺は負けない。ここで負けたら意味がないからなッ。


 「話し合いは済みましたか?」


 律儀に俺とルナの会話が終わるのを待っていてくれた。この性格は損な性格だな。全く。


 「勝つぞ・・・ルナ」


 「ええ。勝つわ!」


 そう言って俺とルナは別々の方へと歩いた。



 「──おや、私の相手はルナ様ですか」


 「貴方の逸材者としての情報は功績で上がってるからね。それを知っている私が相手するのが一番いいのよ」

 

 「なるほど。では行きますか」


 そう言ってルナとフェンの方は戦闘が開始された。



 

 「向こうは始まったようだぜ」


 俺はアリスの方に到着しそう言った。

 アリスはその場を動かず俺の方をまじまじと見てくる。


 「ふーん・・・結構イケてる顔ね。こんな人が相手だなんて手加減しちゃいそう」


 「手加減ならいらねえぜ?」


 俺はこいよと手で仕草をする。

 だが、次の瞬間俺は驚きを隠せなかった....。




 

 ──フェンとルナはタッタッタと走りながら双方様子を伺っている。


 「アリスと言ったわねあの女の子。あれは私も知らないわ。一体どんな人物なの」


 「闘いの最中にそれを聞くのは野暮ですが、彼女(アリス)は強い逸材者と言っておきましょう。私が知性なら向こうは力、即ち力生です」


 力・・・それはつまりどういうことだろうか。

 私とフェンはふっと移動をやめてお互い向かい合って立ち尽くす。


 「境川様は強いそうで、カトリックを倒したという報告は聞いています。超強力な耳を持っている彼でも敵わない相手、それが境川様でした。ですが、アリスには勝てませんよ。彼に勝てるのは相当な実力者だけです」


 「──ッ、生」


 私は生を方を見る。その時目にした光景は明らかに恐ろしいものだった。



 

 

 ──俺が極限に集中することで最大限の力を引き出すことのできる技、それが「極限の境地(パーフェクトリミット)」だ。

 アメリカに着いた直後 対シルバー戦で俺が使った大技だ。

 カトリックの時は不発だったが、発動してしまえばある程度の相手は翻弄できる。

 

 バチバチバチ....と音がする。


 仮に俺が極限の境地を使えば似た音がしただろう。

 だが、この音は俺ではない。


 「おいおいおいおい....嘘だろ」


 冗談きついぜ。俺の目の前に立つアリスはどういうことか自力(・・)で俺の極限の境地と同じ事をやってのけたのだ。

 

 「あははははは!!驚いた?ねえ驚いた?」


 アリスは高笑いをしている。その動作に俺は驚きを隠せない。

 極限の境地は最大まで集中することで潜在能力を引き出せる。しかし、今のアリスはさっきと様子が変わらない。

 完璧にあの力をコントロールしているということだ。


 「これが私の逸材──さあ、行くわよォ!!」


 ドンッ、アリスは一瞬で俺の背後に移動した。

 その速さは俺の目で追えるスピードではなく、まるで時間跳躍のように時が飛んだように見えた。


 ドッ、ドゴドゴボゴォッ・・・!

 そしてアリスは目にも止まらぬ早さで俺に数発攻撃を喰らわしてきた。


 「あら?反応できてないみたいね。フフ、その程度ってわけね。日本の逸材くん」


 ザザザ、俺は大きく吹き飛ばされるが体制は立ったままだ。

 だが、思いのほかダメージは大きい。これは下手したら速攻で負ける・・・。

 勝つにはこちらも極限の境地で行くしかない。だが、俺が使うにはそれそうに集中する必要がある。

 この場面においてそんな時間と余裕はない。ルナに時間を稼いでもらいたいが、ルナは今フェンと交戦しているため無理だった。

 

 「フフフ・・・」


 向こうは余裕の笑みだ。

 だが、あの状態でいられるのも時間があるはず。


 「今、貴方はこう考えましたね。『時間でこの状態は解除される』」


 「ッ・・・」


 「その思考は正常です。ですが、私のこの力は逸材の力そのもの・・・。解除するのも私の意志、つまりリミットなんてありませんよ」


 俺の考えを読み、先に説明をしてきた。どうやら頭脳の方も潜在開放しているみたいだな。

 こりゃ、勝目なんてねえわな。


 「だけど・・・・負けられねえなぁ」


 俺は足を強化し一気にアリスの元まで走り抜ける。

 

 「へえ、早さは相当ですか」


 だが、早さでは追いついても攻撃は全て避けられてしまう。

 俺が拳を振り下ろす前にアリスは既に回避のモーションに入っている。俺の動きを事前に察知し行動しているのだ。

 

 「足掻きますねえ・・・ならこれならどうです!」


 アリスは体制を崩しながら猫背になっていく。

 左足をゆっくりと前に出す動作に入る。

 

 ──パッ


 「なにッ!!」


 だが、瞬間アリスは俺の前から姿を消した。

 これは視線誘導・・・いやそんな程度じゃねえ。これは早さを生かしたフェイクだ。

 

 俺は視界からアリスを見失ってしまう。

 

 ボゴォォォ!!

 背後から強烈な痛みが走る。


 「後ろか....」


 「フフ見事に引っかかりましたね。このまま身体を貫いてあげましょうか」


 グググとアリスの腕は押し込まれる感覚が走る。

 同時に強烈な痛みが俺を襲う。


 「ガッ・・・ああ...」


 一撃くらわしたいがアリスは俺の背後、しかも体制が下に重心がかかっているため位置が下側に居る状態。これでは攻撃するにもできやしない。

 つまりアリスは一気に俺に止め差しに来ているってことだ。


 パァン!!


 ──遠くから光の弾丸が飛んでくる。


 「ッちぃ!!」


 アリスに向かって放たれたその弾丸のおかげでアリスは俺に攻撃をやめ後ろに後退した。

 弾丸を飛んできた方向を見ると右手を前にだし左出て右手を抑えているルナの姿があった。


 

 「──生!大丈...きゃあ!?」


 心配してこちらに加勢をしたが、よそ見をしていたためフェンの攻撃をまともに喰らってしまった。

 

 「ルナ・・・!!」


 間一髪で俺は生きたが、もはやアリスに勝つ方法はない。

 だがルナが生かしてくれたこの機会だ。負けるわけにはいかない。

 フェンはまだルナと闘っている。ルナが負ける前に俺はアリスに勝たなくてはならない。

 

 「・・・その目まだ闘うきなのね。諦めることも肝心よ逸材くん」


 ──はっ、諦めるもんかよ。このチャンス絶対に活かしきってみせる。

 負けらんねえ。その気持ちが俺の中からこみ上げてくる。


 「どうしても闘うってんならやってあげるけど、もう加減はしないわよ」


 「──加減(・・)?んなもんする余裕があるならしてもいいぜ。だが、こっからが本番だ」


 ──バチバチ....右目から稲妻のようなオーラが飛び出る。

 まさかこんな形で集中できているとはな。

 だが絶好の機会だぜ。『極限の境地』・・・入れたんだからな!!!


 「私と同じ力・・・!」


 「お前ごときに時間はかけられない。俺一人で一気に終わらせてくれる!!」


 時間が無限大にあるアリスとタイムリミットはもって5分の俺、遊んでる余裕なんてない。 

 ましてや俺とアリスでは状態が同じでも感情は全くに違う。でも負けることはない。そんな気がしたのだ。


 「全開で──行くぜ!!!!」

【キャラ説明】

■アリス・フレアクレス

性別:女

能力:「極限の逸材」

説明:シャルルにより境川たちの抹殺を図るために立ちふさがった逸材者。自分の意志で最大限力を解放できる才能を持ち、実質最強の逸材者である。

容姿:銀色の長い髪をしており、お団子結びが特徴的である

学校:──

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