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逸材の生命  作者: 郁祈
第四章 アメリカの才女編
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立ちはだかる手下

 「ん・・・あれ」


 少し経ったらルナが起きた。どうやら無意識のうちに寝ていたみたいだ。


 「よう、お目覚めか」


 寝起きのルナに俺は軽く挨拶をする。

 するとルナは顔がみるみると赤くなり


 「・・・・・もしかしてずっとそこにいたの?」


 そう言ってきた。


 「起こそうと思ったんだけどあまりにも寝つきが良かったんでな。起こすのはやめたんだ」


 事実で返したのだが何が行けなかったのかルナは


 「起こしてくれればよ、良かったのに!!」


 そう言ったのだった。その時のルナは少し慌てているようだった。かと言ってあんなにいいか寝顔だったんだ。起こせるわけないよな。

 

 「そういうルナだって俺に用事があったのなら俺を起こせば良かっただろ?」


 元は言いここはルナが俺に与えた部屋だ。そこにルナがいたという事は考え事をしていていつの間にか寝たしまっていた俺に用事があるということになる。つまりどちらかというとルナが俺を起こすことが正常なのだ。


 「うっ・・・そ、それは」


 俺の反論に対しルナはそれ以上言い返してくることはなかった。


 「それで?何用だ」


 これ以上ルナをからかっても何もないので俺は本題を聞くことにした。


 「えっ、あ、ああ・・・・」


 ルナはコホンとひとつ咳をし、こう言った。


 「シャルルの所在地が判明してようなの」


 「それはどこだ?」


 俺がどういう反応をするかまるで分かったかのようにルナは


 「場所は──ライブラリータワーよ」


 ライブラリータワー・・・聞いたことはある。ダウンタウンに存在する超高層ビルだ。2008年時点でアメリカ合衆国では9番目の高さを誇り設計はアメリカの建築家ヘンリー・N・コブ及び彼も共同経営者となっているペイ・コブ・フリード社だ。

 階数で言えば73階という驚異の高さだ。そこにシャルルは存在するというのか。


 「シャルルはこれまで転々と場所を変えてきた。でもこのライブラリータワーになってからは一度も変わっていないらしいの」


 「つまり俺たちに場所を特定させるのが目的と」


 「その通りね。でもシャルルは恐らく待っていてもこの家に来る。どうする生、迎え撃つかこちらが襲撃に行くか・・・」


 シャルルはルナが帰国してくるのを待っていた。それはルナに対し色々思うところがあるからだろう。

 そのルナが帰ってきている今、シャルルがこちらに来ることは必然、だがそれではここにいる者たちに迷惑がかかってしまう。


 「──こちらから行くしかないだろ。そこにシャルルがいるのなら俺は喜んで行く」


 点火を使う逸材者、その相手を倒すのには相応しい舞台だ。


 「そう・・・。分かったわ。出発はいつにする?」


 「・・・恐らくシャルルはスグに仕掛けてくるとは思っていないだろう。現にルナだってそう思うだろ?」


 「そうね」


 だろな。だが俺はそれを利用させてもらう。


 「今すぐだ」


 今からこの夜に俺とルナはシャルルのいるライブラリータワーに向かうんだ。敵の思考の裏を突きそこで交戦というわけだ。






 外に出ると空はすっかりと暗くなっている。日本に居てもアメリカにいても夜の空模様は変わりない。ただ夜風が少しだけ違うかな。

 

 「ホント・・・生の考えは理解できないわね。まさか今すぐに行動を起こすとは思いもしなかったわ」


 やれやれと言わんばかりに着替えを済ませたルナがそう言ってくる。


 「別に嫌なら嫌って言ってくれてもいいんだぜ?」


 本当に嫌ならルナはさっきの時点で反論をしてきているはず。でもそれをしてこないでルナは俺に着いてきてくれた。

 こんなにも理解を持ってくれて俺はとても助かっている。


 夜道を歩いていると道路の広さなどに驚かされる。日本とは比べ物にもならないくらいの大きな家や道、そしてビルなどが存在している。慣れてくると日本がとても狭く感じてきてしまうかもしれない。

 こうしてルナと一緒に歩いているとこう少しだけだけど意識してしまうところがあった。きっとルナも同じ気持ちなのかなと俺はルナの方を見てみた。


 ──その時、ルナの横にシュッと出された槍が存在した。


 「ッ!ルナ!!」


 俺はルナの頭をグッと掴みガッと下に倒した。


 「きゃ!!」


 ビュンと槍は空を切り空振りに終わった。

 俺はその方向をみる。


 「ほぉ、気づいたか。少しはできるみたいだな日本人」


 そこには暗くてよく見えなかったが、男の人物が立っているのがわかった。


 「シャルルの使い手というわけか」


 「ご名答。私はシャルルの手下である"カトリック"というものだ。日本人よ。お前はどうやら不意を突く予定だったようだが、それは既に読まている」


 なるほどな。どうやら俺の考えはシャルルにとって読むことが出来る範囲だったというわけかよ。現にこうして刺客が送られてきているし困ったぜ。


 「カトリック・・・・生、気をつけてカトリックはアメリカでは名の知れた逸材者よ」


 ルナが俺にそう言ってくる。

 どうやらシャルルは本気で俺たちを潰しに来ているみたいだな。


 「ルナ、奴と闘う前に言っておくことがある」


 「なに?」


 「──これから先、俺はお前を助けることはできないだろう。別にお前が足でまといと言っているわけじゃない。ただ、自分の身は自分で守れ・・・いいな?」


 「・・・わかったわ」


 「話し合いは終わったかな──それでは!!」


 そう言ってカトリックはビュンと手に持っている槍を振るってくる。

 ルナと俺は互いに離れて飛び、それをかわす。

 二手に別れカトリックはまず俺の方に向かってきた。


 「(よし・・・)」


 とりあえずルナが傷つくことはこれでしばらくない。一気に倒してやる。

 ブンブンと振られている槍に対し俺はかわしながらある程度明かりのある電灯の方へと後退していく。

 

 「逃げるか・・・フン!!」


 よし、明かりがあるなら視線誘導がつかえる。その攻撃、逸らさせてもらうぜ!

 カトリックの視線を光のある電灯の方に誘導させる。


 だが、槍の攻撃は機動を変えず、俺の方へと向かってくる一方だった。


 「生!!!」


 「何!!?」


 俺は両手でグっと構え槍を防いだ。

 ザザと数メートル交代したが何とか防ぐことができた。


 「ちぃ、防がれたか。だがいい。次で仕留めるさ」


 そう言ってカトリックは槍を前に突き出し構えの体制に入る。

 視線誘導が通用しなかった。暗かったからかとも一瞬思ったが、俺が居た場所はある程度光のあるところ、それに誘導した対象は俺よりも存在意識のある電灯だ。失敗するはずがない・・・。

 光に照らされたカトリックの顔が俺の視界に入る。


 「ッ・・・」


 「くっくっく。思いのほか策が講じれずに困惑しているようだな。分かるぞその表情が・・・」


 視線誘導が効かない対処は大きく分けて二つ。

 誘導に慣れた人物あるいは目の光を失った人物・・・つまり盲目の人間だ。

 カトリックは後者である人間、盲目だったのだった。


 これは一筋縄ではいかない相手だな。

 シャルルを倒すに行く前に立ちはだかった相手、その相手はこれまでに相手したことのない人物で俺たちは苦戦を強いられるのだった。

【キャラ説明】

■カトリック

性別:男

能力:「???」

説明:シャルルの手下であるアメリカでは名の知れた逸材者。目を失っており誘導や翻弄することが難しい人物。

容姿:アメリカ人/盲目

学校:──

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