外国からの来訪者
──何事もなく夏休みが終わった。
あれから特に危ないこともなく俺たちは平和に暮らしていた。
ピリリリリリ、目覚ましがなる。
「ん・・・・」
パチッ、俺は目覚ましを止める。ねみぃ・・・。
「こら生起きなさい」
この感じも懐かしいな。休み中は起こしに来ることはあまりなかったからな。
「あと・・・」
「五分?」
「ご、五年・・・」
「長いわよ!!」
命にツッコミを入れられ俺はムクリと起き上がる。
「もう、今日から二学期なんだからシャキっとしなさいね」
「へーい・・・」
俺は左目だけで命を見て返事をする。
右目はというとやはり回復の見込みがなかったので俺は髪の毛で隠すことにした。眼帯とか付けても良かったのだが大げさすぎるので遠慮したわけよ。
身体を伸ばしボキボキと骨が鳴る。何か夏休み後半は寝ていたなぁ。
制服に着替えて俺は1階に降りる。テーブルには命が作ってくれた朝食(和食)が用意されていた。
「いただきます」
手を合わせてそういい、俺は朝ごはんを食べ始める。
「そういえば通うところが一時期的に変わるんだっけ?」
命が食べながら聞いてくる。
「・・・確かな。人数が多いから数十人で分けるらしいけどどうやって分けるのかは知らねえな」
「生と同じだったらいいなぁ・・・あと場所が近場だと」
「フラグにしか聞こえないよ」
そう言って朝ののどかなご飯の時間を過ごした。
命が学校別けが気になると言い出すのでいつもより早めに家を出る。
「ったく。別に結果は逃げねえだろう」
そう言いつつも俺は命に従う。まあ、色々してくれてるから逆らえないんだよな。
朝早めに出たつもりだったんだけどな・・・・。
目の前には学園の前には生徒がわんさかいた。みんな気になったんだなぁ・・・と俺は思う。
俺は学校別けの書かれた看板の前に人を避けて到着する。命の後ろを着いてきたのだが、この人の多さだ。見えないだろう。
「えっと・・・」
俺は命の代わりに見る。俺の名前はっと・・・。
一番下に書いてあった。
場所はここから5駅ほど先の高校──"緋鍵高校"という場所だった。
「(どこだよ・・・)」
5駅先とか行ったことねえよそんな遠く。そう思って同じ人の名前を確認した。
「──おいおい・・・」
これは誰の仕業か分からなかったが、そこには
御神槌 忍、楠 楓、沢渡 棗、東雲 命・・・あと知らない奴が少しだった。
一年の俺の仲間は全員同じだったのだ。
「よかったな命、同じ高校だ。場所はちょっと遠いけどな」
俺は命にそう言った。
少し学園で待機し、時間になったら学園長が現れ、朝礼台に立ち説明をしてくれた。
今はからみんなは指定された学校にいき、しばらくの間はその学校で生活をするのだと。交通が不便な人は近くのホテルに通学中は泊まらせてくれるとのことらしい。なんとも凄いことだ。
俺は御神槌と楠と棗に場所を話し、これから行くことになった。
「──いや~~5駅ですか・・・遠いよ!!」
棗はノリツッコミのような感じで一人芝居していた。
「まあ、もっと遠い奴らだっているんだ。俺たちは近いほうだろ」
夏休みを明けて御神槌には初めて合うが傷は治っているみたいだ。よかったよかった。
「でも私たち全員が同じところだなんて気が利いてるわね」
電車内で立ちながら本を読んでいた楠が会話に参加する。
「そうだよね!!私御神槌さんと楠さんと同じ学校で嬉しい」
命は二人と同じ学校なことに喜んでいる。まあ、この二人以外は元々一緒だったからあまり嬉しさはないのかな。
そうこう話しているうちに5駅はあっという間に訪れ、目的地である場所にたどり着いた。
駅からすぐそこに緋鍵高校はあった。
「おいおい・・・デケえな」
恋桜学園ところとは少し小さかったが、高校としては比較的大きいところだった。
「そりゃ、外の学生たちを受け入れるところだ。大きくなくちゃ困るぜ」
俺はそう言って高校の中に入っていった。
受け付けて俺達はどこから来たかを説明し、そしたら高校の地図とこれから勉強する教室の場所を教えてくれた。
恋桜学園の生徒はどうやら個別の教室があるらしく、ここの学生とは同じクラスではないらしい。
まあもっともその方がやりやすくていいんだけどな。
案内された教室に着くと、うちの学園の生徒たちは何人かは先に到着をしていた。
黒板を見ると席は自由らしく、
「私はここでいいわ」
楠は窓際の後ろの席を真っ先に座りに行った。
「んじゃ俺は隣で」
「じゃあ俺はここー」
と御神槌も棗も近場に座り、俺と命もこの三人に近いところに座ることにした。
「いやー周りがうちの生徒だからあまり移動した実感ないよ」
棗が突然そう言ってきた。
「まあ確かに、一部は他クラスみたいだけど元々ウチのクラスだったやつらが何人かいるしそう変わらないよな」
どちらにしても俺たちは孤立した団体、周りから話しかけられることもなく話しかけることもない。
教室の外にはここの学生たちが様子を見に来ていた。好奇心がある奴らたちだなと俺は思った。
男目当ての女子生徒、逆に女目当ての女子生徒・・・どれも考えが分かりやすくて助かる。
「しっかし境川よぉ、お前その右目はもう・・・なんていうか隠しきれなかったのか?」
俺は御神槌の隣に座っている。だから必然的に気になったのだろう。
長い前髪で隠しているだけの右目、しかしそれは開くことはなくずっと閉じたまま。
「痛みもないんだ。これでいいだろ」
俺はそう答えた。
前を見ると命はここの学生の男たちに話しかけられていた。相変わらずモテる奴だよ。みんなは小さい身長の女が好きなのか?
「なんだ境川、嫉妬か?」
隣から御神槌がバカみたいなことを言ってくるがこれは無しだ。俺が嫉妬などという感情を生み出すはずがない。ましてや・・・そう。そんなことはない。
「──バカバカしいわね」
楠が本を読みながらボソっとそう言った気がする。
なんだかんだでみんな馴染んでいるんだな。棗も廊下に出て女子と話しているし、御神槌も椅子に座りながら器用に目を閉じて寝てるし、楠は本を読んでいるし・・・・みんな馴染んでる。
「トイレでも行くか」
俺は席を立ち教室を出る。
さっきもらった地図を見て俺はトイレの場所を探す。
その時だった。
「──Excuse me.(ちょっと失礼)」
後ろから何か英語で言われた。
「あん?」
俺は声の方を振り向く。そこには驚いたことに綺麗な髪をした外国の女子生徒が立っていた。
「っと、日本語のほうがわかり易いわね。貴方他校から来た人よね?」
「・・・・そうだけど」
俺はぎこちない形で答える。何かこいつ苦手だなと思った。
「場所は確か・・・」
「恋桜学園だ」
「そうそこ、執事に調べさせたんだけどそこにいるみたいよね。あの"Mr.K"を倒した逸材者がいるって」
俺は予想もしていなかった言葉が出てきた驚く。
「あら?その反応、本当みたいね。それでそいつはここに来ているの?」
まだ俺だということはバレていないみたいだ。なんだって言うんだコイツ。Kの手先だったやつか・・・?
まさかな。
だけど俺は不安になり、
「知らね。噂は聞いたことあるけど俺の知り合いの範疇にはいないよ」
そう言った。
すると女子生徒は、
「そう。おのれを過小評価しているのね。貴方」
見透かされたようにそう言ってきた。
「私の名は──ルナ・ユーフラテス。アメリカから来た、そして《才女》と呼ばれているわ」
ルナと言うこの女子生徒は突然自己紹介をしてきたのだった。
「どういうことだ。過小評価といったな」
「そうよ。私には分かる。貴方は私と同じ"オーラ"を感じるわ」
エメラルド色の瞳をこっちに向け彼女はそう言う。
「Mr.Kと言ったな。そいつの仇討ちか?」
隠しきれないと思い俺は思っていることを聞く。返答次第ではここでやり合う可能性がある。一応警戒をしながら聞いた。
しかしルナは──
「ぷ・・・ハハハ」
突然笑いだした。
なんだ・・・俺おかしなこと言ったかな。
「違うわ。仇討ち、違うの。確かに私の家であるユーフラテス家はMr.Kには色々してもらっていたわ。でもそんなんじゃないの」
ルナは少し瞳をウルウルさせながら、俺の腕を掴みこう言った。
「──ユーフラテス家を守ってください」
【キャラ説明】
■ルナ・ユーフラテス
性別:女
能力:???
説明:才女と言われアメリカから来た少女、日本語を完璧に話すことができる
容姿:金髪(三つ編みを編みこみしている)/エメラルドの瞳
学校:緋鍵高校 1年(転入)




