学園の陰謀
逸材者 境川生は入学時に色々とやらかし、目立ってしまった。
学園長とも知り合いになり、色々と彼の周りには変化を伴い始めた。
しかし、季節は6月 生、命、棗・・・一年生全体に学園の裏側が.....ッ
──とまあ、俺の入学時はこんなもんだ。
入学時に色々やらかさなければ今の俺はきっと幸せだったんだろうよ。
「──でもさぁ、生もよく満点とれるよなぁ」
「・・・棗くんは逆によくそんな点数とれるわね」
はぁ・・・と命はため息をつく。
棗はクソほど勉強ができないからな。でも、俺とは逆の頭をしているからこそ、俺は棗と友達に慣れたんだろう。
「でも生って昔は勉強出来てなかったわよね。ホント何があったんだか」
「やっぱアレか!勉強したのか。ガリ勉か?」
棗がグイグイ聞いてくる。こいつ頭が良くなりたいのか?
「いや、俺は今のままでいいかな。この学園は頭のよさあまり関係ないみたいだし」
「・・・お気楽なものだ。そんなんじゃ将来困るぞ」
「一年で将来の事出すとか早すぎるわ!」
そーなのかな。高校は入った時から既に将来のことに励むって聞いていたけど、ここは違うのかな。
まあ、どちらにせよ俺には関係ないか。でも命はどうするんだろう。これから先は・・・・。
チラッと命の方をみる。・・・が、まださほど悩んでいる様子ではなかった。
「命ちゃんはあれでしょ。生のお嫁さんとか」
棗がそういった瞬間、命の顔は一気に赤くなり、
「えっ、ちょ・・・棗くん!?何を言って!!??」
滅茶苦茶動揺していた。
「えっ、何二人って付き合ってないの?」
「なんでそうなる。俺と命はただの幼馴染だぞ」
何か命が少しガッカリそうにしていたが知らねーわ。
「うーん、二人はどう見ても付き合ってると思ったけどなぁ」
「根拠はなんだ」
俺がそう問い詰めると棗は、
「朝起こしに行くとか、ご飯一緒に食べたり、一緒に登校してくるから?」
なるほどな。まあ確かに第三者から見れば付き合っていてもおかしくはないか。
だが、俺と命は幼馴染なだけだから、それ以上は何もないんだよな。
「そーいや命ちゃん、さっきから喋ってないけどどうしたのかな」
そういえばそうだな。
「おい命・・・?」
「──は・・・生は私の事・・・嫌い?」
突然良くわからないことを聞いてきた。
嫌い・・・それはどういった意味で嫌いなのだろうか。幼馴染としてか、それとも人柄としてなのか。
「ほほぉ・・・生にその気はなくても向こうは・・・・なるほどなるほど」
棗が一人でブツブツ言っているが、気にしないでおいたほうが良さそうだな。
「えーとな、命。別に嫌いじゃないんだが・・・」
「本当!?」
命がグイっと近づいて聞いてくる。
「ち、近い・・・・」
命の柔らかいものが少し当たっている。これは・・・何とも言えない。うん・・・。
少し見ないうちに命も成長しているんだなと思い知らされたよ。
「ッ!・・・」
命もそれに気がついたのか、バッと離れ、次席に戻った。
「ま、まあ嫌いじゃないんだからよしとします」
「・・・・?」
今時の女は難しいなぁ。
そう思っていると後ろから、
「まあ、頑張りな」
棗がわからんことを言ってきた。
──二時限目からは特に何もなく、俺は授業を普通に受けていた。
これぞまさしく、学園生活・・・!
そして時刻は昼休み。
この恋桜学園は購買と食堂が存在している。
大体の生徒はお弁当などを持参しているので購買や自販機で飲み物を買う程度なので食堂は比較的空いている。
ちなみに俺はというと弁当もないし、購買も人が多いからという理由でよく食堂にいる。
命は女子の友達と食べることが多く、棗は昼休み中は
『俺は寝るぜ~!!』
といい、毎回寝ているのでぼっち飯さ。
「まあ、一人だと気楽だよな」
食券を買い、空いている席へと着く。
今日の昼は比較的に安いAランチだ。
この学園はやたらと広い。食堂もあり、購買も存在し、尚且つ六階建て・・・だが、偏差値は底辺よりもず~~~っと下の位置に存在している。
確かに俺みたいに満点を取る人物がくる所ではないけど、"何を目的"にこの学園はあるのか。それだけが気になる。
進学率、就職率だってそこまであるわけではない。言ってしまえばこの学園は落ちこぼれの集まるところだ。
「──君が境川生・・・だな」
声の方・・・つまり上を向くと、メガネをかけた身長180センチくらいの男が立っていた。
「・・・・どちら様かな?」
男はメガネをクイッとやり、
「私はこの恋桜学園の生徒会長、恋桜 祐春という。もう一度聞く、お前が境川生だな?」
「さあな。もしそうだとしたらなんのようだ」
生意気にも生徒会長はニヤリと笑い、
「大方、要件は理解しているだろう、"逸材"よ」
・・・なるほど、逸材と呼んできたか。これはおそらくだが、俺の噂を聞き、俺も利用しに来た感じだな。
「生徒会長ともなればな、今年の新入生のデータを確認する必要があったのだ。
そこでお前という人物が俺の目に入った。」
「──聞けば入学時のテスト、"絶対に満点とれない"テストを、満点で入学した人物が居る」
やっぱ、あそこで手を抜いておくべきだったか・・・・?
「フッ、さすがの私でもあのテストは99点だった。だが、なぜ一高校生のお前が、あのテストの問題を解くことができた?」
生徒会長、99点・・・こいつもすげえだろ。逸材者とまではいかないけど天才に入る部類だぞ。
どちらかというとこいつもこの学園にいる意味ねえだろ。
「テストなんて運だって左右しますよ。俺が満点とれたのも偶然です」
「フム・・・あくまで実力と認めないか。つくづく理解しがたい男だな。お前」
「褒め言葉として受け取っておきますよ」
「だが、果然お前に興味を抱いた。なぜ、お前のような逸材者がこの学園に入学したかは知らない。お前が何を企んでいるかもわからない」
「企みなんてないですよ」
「どうだか?」
コイツはめんどくさいな。こうthe生徒会長ってキャラをしている。
生徒会長と話しながらも食事をしていたため、俺はちょうどランチを食べ終えた。
箸をトレイにおこうとしたが、
突然前から、
──ビュン──
フォークが飛んできた。
「うお、あぶね」
当たる寸前で交わすことができたが、あたっていたら危なかったぞアレ。
フォークを投げたのは当然、俺の前にいる生徒会長だった。
「ほぉ、お前、その反射神経・・・何か習っていたか?」
スタスタと歩き、投げたフォークを拾いながらそう言った。
「何もやってないですよ。まぐれです」
「まぐれ・・・か」
フォークを俺のトレイに置き、
「今日はここまでだ。お前の実力・・・色々試させてもらった」
そう言って、食堂から奴は消えていった。
「・・・・なんだったんだろうか」
俺は席から立ち上げり、トレイを片付けた。
──廊下をスタスタと歩く音がする。
生徒会長である祐春は廊下を歩いていた。
「あれが・・・逸材者か」
この世の中に位置するもっとも賢い人物の事。
それがこんななんの特徴のない学園に存在していた。
「フフフ・・・面白い」
窓から校庭を見渡し、生徒会長はそういった。
「今年は面白い奴がたくさんいるな」
不敵な笑みを浮かべ、廊下をただ歩いていくだけであった。
──昼休みも終わり、大体眠くなる午後の授業。
後ろの席にいる棗はもう爆睡状態だ。
棗だけでなく、クラスの大半はウトウト気分みたいだな。
ホントこの学園大丈夫かよ。
先生も注意しないし、義務教育じゃなくなるとそういうものなのかねえ・・・。
チャイムが鳴り、あとはHRもして今日の学校は終わりだ。
「あーーやっと帰れるぜ」
チャイムが鳴ると同時に棗は睡眠から目を覚ましていた。
「なんでチャイムの音で起きれるのかね」
「なんでだろうな。人間の心理かも」
「・・・・バカバカしい」
などくだらない話をしていると先生が前のドアから入ってきた。
しかし、先生の様子がどこかおかしかった。
「・・・・?」
この違和感はクラス全員が感じとれたものだった。
「さて、お前たちが一年になってちょうど二ヶ月くらいだな。この学園生活にも十分に慣れた頃だろ」
先生の話し方には何かがいつもと違う。そう感じ取れた。
「この恋桜学園。なぜ偏差値が低いと思う?それなのになぜここまで校舎が大きいと思う?」
「──答えは簡単だ "成果を出せないものは切られる"からだ」
先生の放った言葉にクラスは凍りつく。
「先生!おっしゃる意味がわかりません」
クラスの何人かが先生に向かってそういった。
「明日、小テストを行う。教科は勿論、私が担当する「科学」
ちなみに、赤点を取ったものは即退学とする」
「!!」
「ッ!!?」
この言葉でクラスは動揺と同時に混乱を招くことになる。
「おいおいおい・・・赤点取ったら退学って・・・やばいよ」
棗もまんざらではない。こいつは赤点候補の一人だからな。
「生・・・これって」
命は動揺しているけど混乱はしていない。冷静っちゃ冷静みたいだ。
「ああ、少しこの学園について疑問は抱いていた。
まず偏差値と伴わない学園の広さ。そして生徒の自由性・・・加え、入学方法」
入学で点数の関係ないテストをやらせたのは特に意味はないが、そこで生徒の実力を計るというのは大体普通のことだ。
だがなぜこの学園は広いのに偏差値は低いのか。
それは"誰でも簡単に入れてしまう"からだ。
入学さえしてしまえば入学金は支払われる。そして、この時期に一気に生徒を切ってしまう。これがこの学園の方式だ。
「なるほど・・・人を成長させるところでなく、落とすところなのかここは・・・」
この学園の意味も少しは理解してきたぜ。
生徒会長の頭が良かったのは必然だったということ。
この学園に生き残るには天才または秀才になるしかない。馬鹿は皆退学・・・。そういった学校なんだここは
「さあ、明日が楽しみだな。お前たち・・・」
先生はニヤリと笑い。教室を後にした。
先生が去り、クラス一同はこの学園の真の姿を知り、絶望したであろう。
──生き残るには、足掻くしかない──
「この学園に俺はふさわしくないとか言っていたな。それは大きく違うじゃねえか」
──勝者は全てが肯定され、敗者は全て否定される──
「この学園に関わっているんだな・・・・・"彼奴が"」
──この学園で生き残る、戦うしかない この学園と──
「生・・・どうするの」
命が不安そうに聞いてくる。
俺は命の頭をポンと撫で、
「大丈夫だ、お前と俺なら大丈夫・・・」
優しい言葉で、命にそういった。
──俺は変わったんだ、守るために──
「俺が・・・お前を絶対に守るから」
──・・・逸材になったんだ──
学園の秘密も明らかになり、色々と進行中です。
テストの点数で赤点を取ったら退学・・・・色々厳しそうに見えて意外と一般的だったりするんですかね。
とにもかくにも逸材者である生はともかく、幼馴染の命や友達の棗はどうするのか