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逸材の生命  作者: 郁祈
第一章 学園編
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逸材の入学

テストで満点をとる逸材と呼ばれた境川生。

だが、たかがテストで満点をとっただけで逸材と呼ばれるのは少々おかしい。

そんな彼がどうして逸材と呼ばれたのか・・・それは学園に潜む何かが関係して・・・・?

 ──時間は少し遡り、季節は4月 春だ。

 俺、境川生(さかいがわしょう)はこの春から高校生だ。


 俺が通う予定でいる恋桜学園は4月に入学テストを行うシステムとなっている。

 まあ、結果がどんなに悪くても4月に行う関係上、入学はできるみたいだが、結果が悪かった場合、この学園で生き残るには厳しいらしいから、あまり好んで入ってくる人はいないとの噂だ。

 かくいう俺はというと、家から近いってこともあって、この学園に入ろうと決めたのだ。


 「・・・・・寝み」


 俺は元々この街に住んでいたのだが、色々な関係で小学6年生の終わりにかけてから中学3年生の頭まで別のところで過ごしてきていた。

 だから少しわがままを言ってこの街に戻ってきて、高校はこの街を選んだのだ。

 理由はいろいろあるが、幼馴染が少し心配だったからとでも言っておこう。


 幼馴染の東雲命(しののめみこと)、家が隣でうんと小さい頃からの腐れ縁となっている。

 でもちょっとの期間離ればなれになってしまい、今では接し方もあまり分からないでいる。

 だが、命もこの恋桜学園に入学するのでこれを期に関係を戻していけたらなと思っている。


 「テスト・・・か」


 「・・・心配なの、(しょう)


 命は相変わらず俺の心配をしてくれる。まあ、こいつは天才だから、結構いい点数取れるだろう。



 



 学園につき、俺と命は試験会場の教室に案内された。

 中には少し人がおり、まだ全員揃ってはいないみたいだった。


 「・・・・」


 辺りを見回すが、知っている奴はいなかった。

 まあそれもそうだろう。好んで入る奴がいないんだ。知り合いがいるだけ恐ろしいもんよ。


 指定された席につき、俺は試験開始までの時間を待った。









 ──ほどなくして、全員が試験会場についた。

 最後のやつは遅刻ギリギリだったが、間に合ったみたいだ。


 前のドアがガラガラと開き、教師が入ってきた。


 「えー・・・まずは恋桜学園にお越しいただき、ありがとうございます」


 「今回のテストはあくまであなた方の実力をみるだけなので、気難しく考えずにやってください」


 教師の硬い挨拶が終わり、教師はプリントを数枚配り始めた。

 プリントを受け取り、俺は試験をとき始めた。






 「ん・・・・この問題は....」


 結構サクサクと問題を解いていった俺だったが、明らかに数問だが問題の中に"高校レベル"でない問題が入っていた。

 

 「これ、もっと上の問題じゃ」


 そう思ったが、教師も言っていたし気難しく考えずに問題を進めることにした。







 

 ほどなくしてテストは終了した。

 

 「んーー終わったーー」


 となりで命がググーっと手を上にあげながらそういった。

 

 「命、テストどうだった?」


 俺は命の成果が気になり、真っ先に聞いた。


 「どうって言われても、一応書くだけ書いたわよ。分からない問題でも空欄よりかはマシだしね」


 分からない問題は、空欄にするより何かしら書いたほうがいい。これはよく言われることだ。

 採点者はあくまで人間、なので採点ミスなどは当然出る。

 だが、空欄のままでは明らかにバツということがわかってしまうため、何かしらは書いていたほうがいいと言うわけなのだ。


 「そういう生はどうだったのよ。てか生勉強できないんじゃん」


 「いつの俺の話だそりゃ」


 「んーー小学5年くらい」


 命と最後にあったのは大体それくらいだから、まあそうだよな。



 「皆さん、お疲れ様です。本日は入学テストのみなので、本日はこれで解散となります。忘れ物がないようにしてください」



 教師の言葉もあり、今日はこれで終わりみたいだ。

 続々と入学者たちは帰宅を始めていた。


 「あれ、生帰らないの?」


 俺はまだ帰らなかった。


 「少しこの学園を見ていくよ、これから通うんだからな」


 そう言って俺は教室を出て、出口には向かわず、学園探索を始めた。




 ──ほどなくして俺は迷った。

 思っていたよりこの学園広すぎたな。何か同じところをぐるぐるしている感じだよ。

 六階まであるし・・・何なんだこの学園は!


 「ったく広すぎるだろ」


 誰もいやしないのに何か文句を言い始める俺だったが、曲がり角で誰かとぶつかってしまった。


 「おわ!!」


 「む・・・!」


 「あっ、すいません・・・」

 

 ぶつかったのは小柄な男の子だった。どう見ても年下にしか見えない童顔の男の人。


 「むっ、お前は新入生だな?」


 「え、ええ・・・そうですけど君は・・・?」


 「君、僕はこれでも学園長だぞ、子供扱いするなよ」


 ん・・・学園長、嘘だろ!?この小さい男の人が!?学園長!!!?


 「失礼だな君」


 キッっと睨んでくる学園長。あまり迫力ねえなこりゃぁ・・・


 「しかし君、ヒマそうだね」


 「失礼なのはどっちですか・・・まあ確かに暇っちゃ暇なんですけど」


 学園長はニヤリと笑いこう言ってきた、


 「暇なら、少し手伝ってよ」







 ──学園長に案内されるまま、俺は学園長室にやってきていた。

 中は書類やらなんやでとても汚い部屋だが、片せばそこそこいい感じの部屋だなと俺は思った。


 「普段は綺麗なんだけどな・・・ちょっと今忙しくて」


 「んで、俺は何をすればいいんですか?」


 「あーキミはそこの資料を整理しておいてくれないか。こっちはテストの採点で忙しくて」


 学園長が指したのは大量の書類・・・うわ、めんどくせえなこれ。

 てか生徒の隣でさっきのテストの採点って、いいのかよそれで。


 まあこのまま帰るのもなんなので俺は言われたとおりに書類の整理を行った。

 



 「ふぅ・・・・」


 一通り終わったろうか、外を見るとすっかり暗くなっていた。


 「お疲れ様、境川生」


 スっとお茶と菓子を出してそう言ってきた。


 「名前・・・どこで知ったんですか?」


 俺がそう尋ねると学園長は得意げになってテストの用紙を見せてきた。


 学園長が見せたテストは全部満点・・・。


 「これ、凄いっすね。誰ですか?」


 「へえ、とぼけるんだ。これ君だよね?」


 あのテストには明らかに高校生レベルでない問題が存在した。その意図は分からないが、明らかにこの学園は何かが潜んでいる。

 俺は今回のテストでそれを疑い始めた。


 「・・・たまたまですよ」


 ここで俺のことを知られるのは少し厄介。だからここは適当にやり過ごすしか方法はない・・・!


 「なぜ、君ほどの学力の持ち主がここに来たんだい?普通に考えておかしいと思うけど」


 「さあ?何ででしょうね・・・」


 学園長と目を合わせる。向こうの目は本気で聞きに来ている。悟られてはマズイ。


 俺はお茶を一気に飲み干し、


 「お茶、ありがとうございました。俺用事あるんで」


 スタスタとドアを開け半ば強引に退散した。


 「あっ!」


 学園長は追っては来なかったが、今の態度をしたせいで、明日から学校に行くのが辛い・・・・。

 だが、これは自分で()いた種だ。俺自身でどうにかするしかない。









  

 ──学園長室には学園長がまだ残っていた。

 今回のテストの用紙をみる。やはり満点。


 「境川くん・・・キミは一体何者・・・・」


 レベルは高校生を軽く超えた問題。だが、彼の用紙には"消しゴムで消したあとすら"存在していない。

 それは適当に書いたから、いや違う。これは絶対な自身があったからとしか考えられない。

 そもそも、最後の問題は適当であっている問題ではない。それを彼は一瞬で答えることができた。


 入学時に必ず書く書類に目を通すが、これといって特徴はない。だが、気になる点は存在していた。


 「これって・・・・」


 境川生になかったひとつの情報。そうそれは、




 "中学生"の情報だった。









 学校から家が近くて助かったと思うことはこれが初めてなのかというくらいの気分で俺は家に着いた。

 近くなかったら今頃帰るのが面倒になっていたことであろうに・・・。


 「ただいまー」

 

 家には誰もいないが、習慣でこうやって言うことがよくある。

 靴を脱ぎリビングに向かうとそこには夕飯と書置きの手紙が置いてあった。


 「・・・命か」


 大方夕飯を作りに来てくれたんだろうが、俺の帰りが遅くて先に食べちゃった節か。

 

 「でも、作ってくれるだけ有難いか」


 冷めたごはんもレンジでチンすればスグに暖かい飯に戻る。

 誰もいない空間で俺は命の作ってくれた夕飯を一人で食べるのだった。


 



 飯も食べ終え、風呂に入り、俺は部屋に行き布団にダイブした。


 「あー疲れたな・・・」


 思い返せば今日は結構な一日だったと断言できるだろう。

 学園長と知り合いになって、一日手伝いさせられていたんだからな。


 しかし俺の正体がバレてなければいいんだがな。今回のテストで学んだ点はいくつかあった。

 これ以上俺の存在が公になるのは厄介だ。これからはちゃんと手を抜いて学園生活を送らなければ、そう俺は誓った。






 ──こうして俺は、学園生活で友人を作ることなく、影に徹する生活を始めたのだった。

 だが、不運にも学園長には少しだけ俺の存在を知られてしまっている為、度々呼ばれることが出来てしまった。

 授業中に平気で呼んでくる学園長。俺の頭の良さを知られてしまっているためか、こればかりは何もできないのだ。

 

 でも、おかげさまで教室にいる時間が減ったのはありがたい事だった。逆に色々と厄介な噂が出来たりしてしまっているが、名前すらまだ把握されていないからどちらかというと今の状態が一番ベストなのさ。







 



 ──俺の学園生活は決して普通の日常。なんの変哲のない生活がこうして始まっていくのだった・・・・。


【キャラ説明】

東雲(しののめ) (みこと)

性別:女

能力:──

説明:生の幼馴染。料理や家事全般が得意でよく生の世話をしている。

容姿:身長が低くポニーテール

学校:恋桜学園 1年

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