表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逸材の生命  作者: 郁祈
第二章 破滅の逸材編
19/130

人間は見えないものほど疎かにしがち

 キーンコーンカンコーン

 一時限目が終わるチャイムが鳴る。それと同時に俺たちは動き始めた。

 "棗と命"、"御神槌(みかづち)(くすのき)"そして"俺"という三手に別れ俺たちはこの馬鹿広い学園ないから数学の教師を見つけだす。


 御神槌と楠は一階から二階、命と棗は三階から四階、俺は五階から六階の担当となっている。

 

 

 ──御神槌と楠は、


 「ったく、どこだ数学の教師はッ」


 「・・・見当たりませんね。一階は保健室とかがあるだけで二階は先輩方の教室・・・探すのは容易じゃないみたいですね」


 一年生である人が三年の教室にフロアに足を運んでいる。だから御神槌と楠は注目を浴びてしまっている。


 「御神槌、ここに長居するのはおすすめしませんね」


 「奇遇だな。俺もだ」


 二人はこのフロアの危険性を感じ取ったみたいで、即効でこの場を離れることにした。




 ──棗と命、


 「いるかなぁ・・・」


 「一年の教室にはいなかったぜ命ちゃん」


 二人の担当区域は二年の教室と一年の教室のフロア。御神槌たちは違い少しだけ空気が軽いところだ。

 だが、肝心の数学の教師は見当たらなかった。


 「楠さんたちの方にいたのかなぁ・・・」


 一生懸命探すが、姿は見当たらなかった。




 

 ──残されたフロアは俺の担当区域だけ、

 

 「境川一時限目をサボってこんなところで何をしている」


 不意に後ろから声をかけられ俺は振り向いた。

 そこには俺のクラスの担任と数学の教師が二人で立っていた。


 「・・・まるで俺が探しているのを知っているみたいですね」


 「知っているさ。お前は知らないかもしれないだろうが、この学園は屋上、そしてトイレ・・・そう言った所以外にはある程度監視カメラが設置されている。もちろん・・・食堂にもな」


 なるほど、俺たちの行動そして目的は知られているというわけか。


 「──まさか沢渡のやつが問題用紙に答えを書いているとはな・・・」


 「その言い方。点数を塗り替えたことを認めるということであっていますか?」


 「ふっ、認めやしないさ。認めたら沢渡の退学はなかったことになってしまう」


 「なぜそこまでして棗を退学に陥れるんです?」


 純粋に気になったこと。俺や命を潰すんだったら直接俺たちにくればいい。だが、あろう事か棗を狙った。これはどういう意図なのか。


 「境川、お前はこの学園で動きすぎなんだ。学園には学園のルールが存在する。ましてや一生徒が変えようなど言語両断、あってはならないのだ」


 「だから棗を退学にし、俺たちを封じるってこと・・・ですか」


 「理解が早い子は嫌いじゃないよ、だが、私たち教師だって生徒をそう簡単に退学にはしない。これはMr.Kがお決めになったこと」


 「ッ・・・」

 

 俺は先生から放たれた人物に驚きを隠せなかった。やはりこの学園には彼奴が絡んでいる・・・それを確信した。


 「Mr.Kはお前たちをよく思っていない、だから一人ずつ消していくことをお決めになった」


 その為に送り込まれたのが御神槌と楠だ。でもあの二人は考えを改め俺たちの味方になることを選んでくれた。


 「沢渡はお前たちのように力でねじ伏せるのは少々難しいだろうからな。ここで一発切ったほうが楽なんだ」


 棗は俺や御神槌に匹敵する筋力を隠し持っている。努力して身につけた力が・・・。それを分かっているから棗には刺客が来なかったわけか。


 「俺は棗を退学なんかさせませんよ」


 「戦える武器もないのによくいうよ」


 「確かに俺は先生方に勝つ道具は用いていません。でも"俺達"ならなんとか足掻いてみせます」


 こっちには同じ逸材者の御神槌だっている。負けるわけがない・・・。


 「クックック・・・面白いやつだよお前は。Mr.Kがお前を気にかけるのも理解できるよ」

 

 先生は高らかに笑いこう言った。


 「いいだろう。放課後までに私たち教師陣を説得してみせよ、全員が沢渡の赤点回避を納得できる理由を提示するのであれば考えてやる」


 「・・・・・」


 「待っているぞ」


 そう言って先生たちは職員室に戻っていった。


 期限は放課後・・・・それまでに証拠や根拠を集め教師陣を全員納得させなければならない。

 それは簡単なことではない。結局俺はテストの用紙を受け取ることができなかったのだから。


 「分は悪い・・・・か」


 だけど負けるつもりはない。棗の退学がかかっているんだ。退学だけれならまだしも生きていられる保証は何一つないんだから・・・。


 ──俺は全員にメールをしある場所に集合させた。



 「それで、ここに来たというわけか」


 メガネをクイッと上げいつものように生徒会長は言う。


 そう俺は生徒会室に来ていた。ここならば誰にも邪魔されることなく会議することができるからだ。


 「会長これは一体・・・・」


 会計である愛桜(あいさか)はこの異色な光景に戸惑ってた

 

 「愛桜、悪いがこの場は耐えてくれ。これは一生徒の退学をかけた問題らしいからな」


 「退学・・・ですか」


 その言葉を聞いて愛桜はあまりいい顔をしていなかった。まるで過去に退学者を見たことあるかのような。



 「──で、どうするつもりなの」


 楠が喋りだす。


 「期限は放課後までだ。それまでに棗の赤点を否定する材料を導き出さなければならない」

 

 「放課後って・・・あと三時間くらい」


 命が時計をみる。そう残された時間はあとわずか。だから昼休みにこうして俺たちは集まっているのだ。


 「ってもよ、証拠ないんだろ?」


 御神槌が机に足をおきそう言う。


 「御神槌、行儀悪いですよ」


 ワリイィと御神槌は足を下ろす。


 「ですが、御神槌の言うとおりです。テストの用紙を返してもらえなかった以上、これ以上の証拠は難しいんじゃないですか?」


 「そうだよなぁ・・・」


 棗は考える。自分の退学がかかっているのか結構真剣に取り組んでいた。


 「だが、教師陣が点数を塗り替えるのは異例ではあるな」


 生徒会長が愛桜の方を見て言った。


 「そうですね、会長のおっしゃるとおり、教師が嘘をつくなんてことは社会的にありえないかと思います。それに教師は生徒を見捨てない。でもそれがありえてしまうのはこの学園だからなのかもしれません」


 「この恋桜学園は社会的に見捨てられた学園だからな・・・仕方ないことなのかもしれないな」


 生徒会二人は二人で難しい話を繰り広げている。一応会話に参加してくれるだけありがたいか。


 「生は何か考えない?」


 命が俺に聞いてくる。一応考えているんだが決定的なことがなあ・・・・。

 俺は今日の会話からのヒントを探し出してみる・・・。


 「・・・・・・」


 考える・・・・何かあるはずだ・・・・。


 愛桜会計が言った言葉、教師は生徒を見捨てない。だとするなら何か・・・あるはず・・・。


 学園、教室・・・何か棗を見ていたものがあれば・・・・。


 「ッ!!」


 「どうしたの生!?」


 「何かあったのか!!」


 棗と命が俺の前に顔を近づける。


 「あった・・・かもしれない」


 俺は確認のため、生徒会室を飛び出し、教室に向かって走った。


 


 「はぁ・・・はぁ・・・」


 階段が結構きつかったものの、俺は教室にやってきた。


 辺りを見渡し俺は確信を得る。


 「あった・・・か」


 そう、先生は言った、


 

 『知っているさ。お前は知らないかもしれないだろうが、この学園は屋上、そしてトイレ・・・そう言った所以外にはある程度監視カメラが設置されている。もちろん・・・食堂にもな』



 

 この言葉から察するにある程度のところには監視カメラが存在している。その予想どおり、教室には前と後ろで二台の監視カメラが存在していた。


 「もし、この映像に映っているというのなら・・・」


 だけど確認する方法が無い。監視カメラって誰に言えば映像を見せてもらえるんだ・・・?

 とりあえず、生徒会室に戻るか。





 「──大きな手がかりは発見した」


 俺の言葉に全員が俺の方に視線をやる。


 「本当か!?生!」


 「ああ、本当だ。学園にはいくつか監視カメラが設置してある。もちろんそれは教室にもあった。つまりこのカメラの映像を辿れば」


 「沢渡くんのテストの本来の解答が分かるとういうわけね」


 「なるほどな」


 楠と御神槌はなるほどと理解した。


 「でも生、どうやってカメラの映像を確認するの?」

 

 命が俺が思っていることを的確に聞いてきた。


 「それは、俺も今考えているところだ」


 「どこかに管理している部屋があるはずよね」


 楠がそう言う。だが、管理している部屋なんて存在していたか・・・。

 この学園は馬鹿広いが、回数を整理してみるとわかるがそんな部屋は存在しない。


 「会長知りませんか?」


 「知らんな。むしろ今まで監視カメラということに観点を置いたことがまずない」


 「そうですか・・・」


 「──人間は見えないものほどおろそかにしがちだ。そう、地球や人生がいい例だろう」


 生徒会長はいきなり難しいことを言ってきた。


 「おろそかにしがち・・・・?」


 「そうだ。お前はたちはカメラのことばかりに気を取られすぎた。もっと視野を広く見ることだな」


 「視野を広く・・・」


 そこ言葉に全員が考え込む。


 視野を広くする・・・。それはまるで俺の目の力みたいな言い方・・・。まさか、


 俺は意識を集中させ目を閉じた。

 目で俺は教室にたどり着く。そしてカメラを確認する・・・・。視野を広く・・・もっと広く。

 カメラの外見だけではない。中を・・・見るんだ!!


 「──・・・見えた」


 俺は逸材の力である遠くを見ることができる力をもっと視点を広げ、カメラに映し出される映像を見ることに成功した。

 だが、それは俺が確認できることであって、この映像はみんなが見れるものではない。


 「でもこれじゃ・・・」


 会長の方をみる。新しい使いからがわかったのはいいがこれではまるで役に立たない。


 「映像が見えたか、ならあとは逆探知でどこにその映像が映し出されているか分かるだろ?」


 会長はニヤリと笑い、そう言った。


 「場所は・・・職員室・・・!」


 俺がそう言うと全員が反応した。


 「カメラの映像は職員室か」


 「教師も生徒の行動を随時確信ているわけね」


 「退学取り消せるかな・・・」


 「大丈夫よ棗くん・・・生が何とかしてくれるから」


 カメラの映像を確認する場所はわかった。でもそれは敵陣に乗り込むと同じこと・・・。

 でもそれを手に入れることができれば俺たちは一気に勝率が上がる。だから乗り込むしかない。

 残された時間は僅か。でも俺は諦めない。やっと証拠が見つかったんだ。こんなところで諦められるかよ。



 やっと見つけた証拠をどう入手するか考えるために俺たちは残された時間を使って全員で協力し合うのだった。

生徒会長・・・・謎が多い人物ですね

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ