表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逸材の生命  作者: 郁祈
第六章 偽りの因果編
125/130

電弔

 「・・・なんてこと....」


 ルナから発された言葉はとんでもなく恐ろしいものだ。

 境川の動きを得意とした模倣、それはもはや勝ち目が難しいと言っているのと同意義だった。


 「フフ、驚いた?でも、もう遅いわよ。貴方の動き・・・紫電は既に私も使えるようになった」


 美月は確かに驚きはした。だが、それと同時にあることに気がついていた。


 「ルナ・・・だったかしら?模倣と言うけど、割と長くは続かないでしょ?こんな序盤から無茶をして大丈夫なのかしら?」


 そう、それはルナの模倣の欠点だった。

 単純に一流のスポーツ選手や並外れた人種といった人間の努力での過程ならルナも負担なく真似をすることができる。

 しかし、生まれついて、または急変と言った逸材者──それらは違う。

 いくら慣れている境川の動きだろうと身体への負担は大いにかかってしまう。

 例えば伊吹の「跳弾」の模倣もそうだ。伊吹はどんな位置、体制だろうと確実に的に命中させることのできる"位置範囲処理能力"を持っている。

 言わば瞬時に弾の軌道を予測できる彼ならではの逸材・・・。彼にしかできない特技なのだ。

 それを模倣したルナは伊吹の"位置範囲処理能力"は持ち合わせていない。ましてや肉体的な力を真似することはできない。

 だからアレンジを加え、伊吹の動きに似せたのだ。

 そう。ルナの跳弾は限られたポイントでしか発動できない。どんなところからも狙えるという点は、超強力な集中状態に陥れば可能かもしれないが、軌道を変化させる跳弾は岩や壁、障害物があるポイントでしか使うことができない。

 それに気づくことができればどうってことないのだが、あえてそれに気づかせないため、ルナは最も得意とする境川の技である「視線誘導シソーラス」を兼用して跳弾を行っているのだ。

 狙う相手の視線を景色や別の場所に向けさせず、己・・・ルナ自身に視線を誘導し、跳弾を発動する。そうすることで、あたかも何もない場所でルナの放った弾が自分の方に跳ね返ったということにすることができる。

 それがルナのアレンジが入った逸材者の模倣なのだ。


 「・・・・・・」


 つまりは身体への負担は相当大きい。おまけに美月や新規の模倣は余計に負荷がかかる。

 

 「でも、ここでやらなきゃいけないのよ──ここで貴方に勝ち私は勝ち残る・・・・。だから出し惜しみはしない」


 「どうやらアメリカは貴方を片付ければ割と余裕ってことかしらね」


 「どうかしら?」


 美月はチラッとルナの取り巻きに視線をやる。体つきは良さそうだが、決して逸材者ではない。つまりはなんとかはなるということだ。


 「よそ見してる場合!?」


 わずかなタイミングをルナは見逃さなかった。

 ビュンッ──とブーストをかけ突進してくる。


 「くっ」


 ドンッ!!!

 美月は両手でルナの一撃を防ぎ、そのまま互いに攻撃をしかけあう。


 ドガガガガガアガガガッッッッーーーーーー!!!!!!!!

 ドゴォ!!!フォン!!!ビュシュン!!!バンッ!!!!!!!


 互いに一歩も譲らない。

 それもそうだ。ルナは美月の動きを再現し続けている。互いに動きは同じとなる。

 

 (やりずらいわね・・・・!)


 ダンッと美月はルナを吹き飛ばし後ろに交代する。


 「喰らいなさい!!──暗義『電弔でんちょう』」


 ブゥゥンと身にまとっている紫色のオーラ「紫電」を美月は腕に強くまとわせて地面に手を置く。

 すると地面に入った割れ目を伝わり紫電のオーラがルナに向かって放たれた。


 「これは──」


 ルナがその電弔を防ごうと身構えたが、


 バゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!


 想像以上の爆発音が響き渡った。

 

 「・・・・・・」


 大きな煙がわき立つ。

 

 「貴方の模倣した紫電....それがアダとなったわね。電弔は紫電の一部。紫電を取り込めば更に飛躍した強さに化けるのよ」


 電弔が放たれた先はルナがまとった擬似的な紫電。言わば塊を取り込んだのだ。

 この爆発はそれが原因となり発生した。


 「油断した貴方の負け・・・模倣だけでは勝てないってことよ」


 美月はクルッと煙の方に背を向けてそう言った。

 そしてその場から立ち去ろうとしたときだった・・・・


 ビュォオオオオオオと煙が大きな風で吹き飛んだ。


 「ッ──」


 その異変にいち早く察知し美月はバッと振り返る。

 カツカツカツ・・・と大きな足音が聞こえる。

 黒いタキシードを着た男性、その隣にはプラチナブロンドのメガネをかけた女の姿。

 

 「派手にやったもんだな」


 「何やら凄まじい音がしたんんで来てみましたが、もう終わったあとでしたか」


 「ジャンヌさん。お下がりください。どうやら主犯は目の前にいるようで」


 「あら?本当だわ」


 

 「・・・皇....紫翠」


 どうやら美月はとんでもない相手と遭遇してしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ