決戦の日
「・・・・・」
オレはゆっくりと目を開ける。
いつもと変わらない世界。目に映っているのは部屋にある天井。
だが、ここ数日とは違う。オレは取り戻した。命を・・・彼女を....。
制服に着替えてオレは部屋を出て階段を降りる。
そしてリビングに目をやるとそこにはリア・・・そして命の姿があった。
「あっ、生。おはよう!」
名前の呼び方──何よりも命がこの場所。オレの家にいることが全てを物語っていた。
屋上で飛び降りた時、あれが記憶を失った命との別れだった。ここにいるのはいつもの命なんだ。
「....ああ。おはよう」
オレは少しだけぎこちなく挨拶を返す。
「そう東雲さんの記憶は戻ったのね」
机に座っている楠は平然とそう答える。
「しっかしオレはアリスっていう逸材者が気になるな」
隣にいる御神槌は別のことに気になっていた。
「すぐに他人を気にするところ。貴方の欠点よ。ここから出てくる逸材者は私たちを遥かに凌駕した人材。敵う相手ではないわ」
「とは言ってもよ楠、そいつらが日本にいるってことはサバイバルゲームに参加するってことなんだろうよ」
「おそらくはね。でも、早計に動くことは得策ではないわ。ゲーム当日までこちらはなるべく動かないほうがいいわ」
好戦的な御神槌の反対で楠は冷静だった。
命はというと一応事情を話したから理解はしているがあまりついていけている顔ではなかった。
「・・・・・」
ジャンヌという女も驚異だがなんといってもその隣にいた紫翠という男・・・。奴はただならぬ強さを持っている。
「どうした境川。何か気になることでもあるのか?」
「....いや、なんでもない」
相手が誰だろうとこちらは多数の逸材をもった実力者で参加するんだ。負けるはずはない。
だというのにどこか不安な気持ちが俺にはあった。
「ゲーム開始は明後日。東雲さんの記憶が戻ったのは幸いよ。彼女の未来視は活用できる」
「・・・頑張ります」
「私は参加しないけど応援はしているから・・・頑張ってね」
楠のその言葉に
「ったりめえよ」
御神槌がそう答え、
「私もサポートは頑張るからね」
命がそう言った。
サバイバルゲーム、こちらの参加するメンバーはこうだ。
オレ──境川生
そして命、御神槌、美月、伊吹、織田そして会長の恋桜だ。
このメンバーで闘う。これほどのメンバーは二度と来ることはない。何が来ようがオレたちはこの最高のメンバーで闘うんだ。
「──ジャンヌさん。外を見ているのですか?」
ホテルの窓からジャンヌは外の景色を眺めている。
「ええ。そうよ紫翠。いよいよだもの・・・」
「ゲームですか?」
「もう世界中からはメンバーがこの日本に来ている頃合、どんな逸材者がいるか楽しみだわ」
「少なくとも日本のいる境川という男は以前見た感じだとそうでもなさそうな人材でしたね」
「いや、侮れないわよ紫翠」
ジャンヌはクルッと回転し紫翠の方をみて、
「彼はあの男──Mr.Kを倒した逸材者。何かを隠している気がします」
「そうですか」
紫翠はフッと笑みを浮かべ、
「それでも我々に敵うものはいない・・・それを証明してみせますよ」
「楽しみにしているわ」
それぞれの戦士は揃ってゆく。
そして訪れた決戦の日──この日はもう二度とやってこない。




