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逸材の生命  作者: 郁祈
第六章 偽りの因果編
117/130

「冗談」と「本気」

 ──ドゴン!!!

 強烈な音を立てて境川は建物に入った。


 「お前か・・・み・・・東雲をさらった奴は」


 煙が引き相手の姿がおもむろに見えるようになる。


 「よくぞたどり着いたな境川生」


 「怪しい建物だったんでな」


 「なるほどな」


 「命を返せ」


 「構わんよ」


 制服の男がそう言うと境川は一歩、歩き出す。


 「おっと、待ちな。俺は別段構わない。だが、少しは彼女の意見も聞いたらどうかな?」


 「なんだと?」


 「ほら東雲命、何か言えよ」


 男がそう言うと命は顔を上げた。


 「境川・・・くん・・・?」


 「東雲、助けに来たぞ」


 救いの言葉。境川はそれを言い放った。

 しかし、


 「なんで来たの?」


 返されたのは予期せぬ言葉だった。


 「私のことは気にしなくていいのよ。この人から聞いたわ。私は記憶を失っているって。その前のことを一部聞いた。だからね境川くん・・・もう無理はしないで。私のことは忘れて」


 「何を言って・・・」


 珍しくも戸惑う様子となる境川。それを見た制服の男は


 「はっはっは。傑作だな。これは!どうだ境川!!愛する人物に突き放された心境は」


 高らかに笑っている。

 声が反響するくらい大きな声。


 「所詮はその程度なんだよ。記憶を失っているからこそ東雲はお前のことを改めて理解した。その結果がこれなんだ」


 「それだけか?」


 「あん?」


 空気がピリッと豹変する。


 「言いたいことはそれだけか?」


 「境川・・・くん?」


 「怒っているか?はっ──いいぜ、やってや...」


 ──ボゴォォォッ!!!!!

 強烈な拳の一撃が男の顔面を貫くかのごとくヒットする。そして少し吹き飛ばさされた。

 そう、境川は一瞬で男の顔面に拳を当てたのだ。


 「怒り・・・そうだな。それもあるか。だが、俺は怒っているんじゃない。確かに辛かった。だが、俺は決して諦めることはしない。どれほど突き放されようが俺は東雲を助ける──そう誓ったんだ」


 「て、テメエ・・・・俺を怒らせたな」


 男の左腕がバチバチと雷をまとい始める。


 「貴様──逸材者か!?」

 

 「喰らえ!!!」


 男が手を前にかざすと雷のビームが放出される。


 「ちい!!」


 条件反射で境川は宙に飛んでかわした。


 「空中では身動きがとれないなぁ!!トドメだ!!」


 すかさず男は雷を出す。


 「──!!」


 境川はクルッと身体をねじり直撃は回避したが、バチバチと右の手に攻撃がかすり当たってしまった。その衝撃で着地に失敗し境川はしゃがんだ状態になる。


 「境川くん!」


 「問題ないぜ」


 「もういいの!!私があの人についていけばこの場は収まる・・・・だからもう・・・・もう・・・・」


 命の瞳から再び涙がこぼれ落ちる。


 「もういいの・・・お願い・・・」


 「東雲....」


 境川は命の言葉を受け止め辛そうな目で見つめる。

 

 「隙だらけだぜ!!」


 制服の男ではないもう一人の男が金属の棒をもって殴りかかる。

 だが、


 「う、ああ!!」

 

 痺れた右手を無理やり振りかざし男を吹き飛ばした。


 「はあ・・・・」


 「お、おま・・・あの攻撃を喰らってなおまだ動く気か」


 制服の男は今の一撃を見て驚きを隠せていなかった。


 「少し反応は鈍いがまだ動くか」


 そう言うと境川は命のところに歩き命のもとでしゃがみこむ。


 「・・・なあ東雲」


 「・・・・なんで・・・なんで私なんかを」


 「俺はお前が好きだ」


 「ッ・・・・」


 「だからどんなことがあっても俺はお前を見捨てない。だが、お前がもし俺をみすてるというのなら俺はそれを受け入れる。だけどこれは覚えていてくれ」


 ポンと命の頭に左手を乗せてこう言った。


 「境川生は──俺はここにいるってことをな」


 命は何を言っているのかわからない顔をしていた。

 いや、これでいい。伝えることはもうない。

 境川はスッと立ち上がる。その間際に地面に置いているひとつの金属棒を手にする。


 「さ、境川・・・・わ、悪かったって。こ、これはそう・・・冗談なんだ。悪ふざけが過ぎた。謝るから」


 「侘びはいらないぜ」


 「冗談なんだよ・・・許してくれって」


 「冗談?」


 境川は一旦目を閉じる。そして目を開けこう強く言い放った。


 「──悪い方はいつだって冗談だ。だが、それを受ける方は常に本気だ!!!!」


 金属の棒を右手に持ち替え、それをクルッと回転させて地面に突き刺す。


 「くっそーーーーー!!」


 男はヤケになって境川に突っ込んでくる。


 バチバチバチ・・・境川は痺れた右手を無理やりに動かす。

 

 「身体が壊れるかも知れない。だが、報いは受けてもらうぜ!!喰らえ!!」


 故意でなく雷をまとった右手を境川は大きく振りかざした。

 その振りかざした一撃は放出されたエネルギー波の如くこの建物すべてを飲み込んだ。

 

 ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!


 大きな光に包まれ辺は見えなかった。

 だが、その光もやがて消え去り世界は再び映り始めた。

 そこに映っていたのはあちこちに見える住宅地の光景。そう、この建物自体は吹き飛んだのだ。


 「はは、我ながら恐ろしい威力だ」


 制服の男たちは死んではいない。だが、気を失っていた。

 命は境川の後ろいたので攻撃は当たっていなかった。


 「嘘でしょ・・・・」


 「どうだ東雲・・・俺はこういう男だ」


 絶句している命に境川はそう言った。


 「すごい・・わ・・・ね」

 

 バタン。

 命は安心したのかそのまま意識を失わせ倒れた。


 「──命!!」


 境川はすぐさま駆けつける。


 「大丈夫か!?おい!!」


 

 「──大丈夫よ。その子は気を失っているだけ」


 「ッ誰だ!?」

 

 聞いたことのない声をきき境川はすぐさま振り返る。

 そこに立っていたのはプラチナブロンドの長い髪をした見たことのない女性だった。


 「・・・いや、本当に誰だ」


 「フフ、どうやら私の駒は倒したのね」


 その言葉で理解する。こいつは親玉だと。


 「そう怖い顔をしないで。私は"ジャンヌ・ダージックアスロック"態々日本にやってきたのだから感謝しなさい」


 「・・・あんたが親玉ならここで一発殴っておきたいが?」


 「できるのならご自由に」


 「そうかい」


 そう言うと境川は残された力を振り絞る。

 だが──

 ガシッ。その腕は掴まれた。


 「そこまでにしておくんですね。これ以上ジャンヌさんに歯向かうのなら腕をへし折りますよ」


 今度は男。タキシードを来ている日本人顔の男だった。


 「よしなさい紫翠しすい。彼にはもうそんな力もないわよ」


 「・・・・そのようで」


 そう言うと男はパッと手を離す。


 「境川・・・くんだっけ?私は今度行われるサバイバルゲームに参加するのよ。イタリア代表としてね」


 「・・・なるほどな」


 「分かってもらえたかな。ちなみに彼女を痛めつけたのは丁度お願いした彼にもそのような動機があったから助言したの」


 「それだけの理由でか?」


 「ええ」


 「・・・それだけの理由で命を・・・貴様」


 「あらやだ怖いわね」


 「ジャンヌさん。ここは私が」


 「・・・・いや、やめておくわ紫翠。彼の実力は既に見たも当然。期待はずれだもの」


 クルッとジャンヌは方向を転換させる。


 「ま、待て・・・」


 「ジャンヌさんは貴方に興味がないようですね。まっ、そういうことで」


 紫翠もそのまま立ち去ろうとする。

 だが、ジャンヌと紫翠の行く手を阻むものが新たにこの場に立っているのだった。


 「あら貴方は・・・」


 「織田樹ってもんだ──この騒ぎは一体何ごとかな。気になってきてみれば酷い有様だ」


 樹だった。刀を袋に入れて立っている。

 あれほど激しい爆発があったのだ。学校に行っていない樹は当然駆けつけるわけか。気になってな。


 「ジャンヌさん。彼は少々危険な匂いがします」


 「そう...紫翠が言うのなら間違いないわね。きっと逸材者よ」


 「やり合いますか?」


 「・・・任せるわ」


 「だ、そうだ。織田樹といったな。お前はどうする?」


 紫翠の言葉樹は


 「さなあ。好きにしろ」


 そう言った。


 ウーウーとサイレンの音が聞こえ始める。


 「・・・どうやら引き時のようですね」


 ジャンヌがそう言った。


 「あなた方も早めにいなくなることです。じゃないと面倒になりますよ」


 ジャンヌはそういい立ち去っていった。

 紫翠も結局戦わずそのまま立ち去るのだった。


 「なんだったんだ・・・あいつら」


 樹は立ち去るジャンヌたちをみてそういうのだった。



 ジャンヌに紫翠。また新たな人物が現れた。

 これは新たな前兆かそれとも因果か。着々と逸材者たちが一点に集まり始める。決戦の日はもうすぐだということを知らせる。

 境川たちは生き残れるのか。それとも待つのはただの敗北か。

 

 





 「──ん・・・」





 あれから命や制服の男たちは病院に運ばれた。

 俺・・・境川は重賞だったが割とすぐに完治し、普通に生活している。

 命が目を覚ました時き俺はすぐさま病院に向かっている。


 そして病院につく。

 もしかしたら記憶が戻っているかもと少しだけドキドキしながら俺はドアをノックした。


 「どうぞ」


 向こうから声が聞こえる。

 ガラガラとドアを開け俺は病室に入った。


 「待っていたわ境川くん」


 そこにいたのはいつもと変わらない記憶を失ったままの彼女だった。

 だけどその瞳はどこか悲しい表情を感じさせるものだった。


 「ここじゃ何だから屋上に・・・ね」


 その優しい口調の彼女の言葉のまま俺は屋上に歩いた。

 そう、この時の俺は既に悟っていたのかもしれない。


 ──これから起こることを 

【キャラ説明】

■ジャンヌ・ダージックアスロック

性別:女

能力:「???」

説明:外見に口調 全てがお嬢さまと言い表す人物。

容姿:プラチナブロンドの髪の毛をしておりメガネをかけている。

学校:──


すめらぎ 紫翠しすい

性別:男

能力:「???」

説明:ジャンヌをジャンヌさんと呼び彼女を慕っている。また鋭い洞察力を持っておりかなりの強敵の匂いがする。

容姿:黒髪で常にタキシードを着用している。

学校:──

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