逸材者の底力
俺は禁忌を犯してまで命を救う手立てを探していた。
禁忌を使い過去の亡霊となった『黒羽』という男に聞いたところ、原因は新しい力の目覚め……予兆だという。
もし万が一にもその力が完全に目覚めてしまえば救いようのない結果となってしまう。それは最悪の可能性。
「刻限は近い…か」
刻限──それは命の力の目覚めの時。
未来を見れる力の他にまたひとつ逸材を使えるようなろうとする命。確信はある。あいつは紛れもない逸材者だと。
マルチの逸材能力。俺と同じくしてのタイプとなる。だが、命の場合は身体が耐えきれず今のように記憶に障害…身体に影響を及ぼすことになってしまう。
時間がない。全ては現在進行形で進んでいる。
「しかし……どうすれば」
力の封印──いや、難しいか。俺の力の消滅は使えない。やはり力そのものを奪い取るしかないのか。
あるいは…
「無理だよな」
俺はクスッと笑ってしまった。
なぜならそれはありえない事だから。
命のケースは身体が耐えきれないから。それ即ち命が克服すれば早いのだ。しかし耐えきれないのに克服など矛盾がある。だから無理なのだ。
「……」
考えてもダメか。でも可能性はある。まだ残されている。
命が無事に戻ってオレたちは大会に望むんだ。
「なぁ、神様」
俺は空を見上げる。
「──見てろよ。これが逸材者の底力だ」
腕をグッと空に上げ俺はそう言った。




