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逸材の生命  作者: 郁祈
第六章 偽りの因果編
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記憶を取り戻す鍵

 時刻は放課後。いよいよバイトの時間だった。

 命もその言葉忘れずに覚えていており、俺はこうして再び記憶を失った命と二人きりとなる。


 「お互いに頑張ろうね。境川くん」


 「ああ」


 修行を兼ねているが今の俺にはどうでもいいことだった。

 俺が待つのはこの後の時間。それだけだ。

 それにこの店はあまり混雑もしないので集中することを特訓としている俺には持って来いでもあるが達成感はない。

 でもやるとなった以上頑張りますかね。










 



 バイトは難なく終わった。命も昨日よりも手際がよく、俺も極地の状態を維持していたからスムーズに動くことができた。

 店長から「このまま正社員になる?」って本気で聞かれたけど丁重に俺と命は断った。


 「疲れたね境川くん」


 「そうだな」


 「私はこのまま家に帰るけど境川くんの家はどこなの?」


 やはり覚えいないか。お前の家の隣だよと言ってやりたかったけど、俺は寄っていくところがあるため


 「こっちの方だな」


 あえて反対側の方角に向けて指をさした。


 「そうなんだ・・・それじゃまた明日だね」


 「ああ」


 命ば暗い夜の中俺の姿が見えなくなるまで手を振ってその場を動いていなかった。

 善意なのだろうが、俺には辛い感じだった。


 命とも別れて俺は暗い夜道を一人で歩いていた。家と反対の方を歩けば街灯もない暗くて誰も近づかない道がある。

 そこを抜けると一つのお墓が存在する。

 トコトコと俺は歩きそのお墓のところにやってきた。

 いくつか存在している墓石。俺は暗くて見えないはずなのに迷うこともなく一つの墓石の前に立っていた。

 墓石に書かれている名前は「黒羽」と書かれている。

 そうこれは"Mr.K"のお墓だ。彼の本名はK・・・つまり黒羽だ。


 「死者のもとに来るのはおこがましいかもしれないが、同族──未来を見通せるのは貴方を除いて他ない」


 墓石に手を当てて俺はそう言う。


 「多少の無礼。お許しを」


 そして俺は禁忌の技≪残留思念≫を使った。

 墓に手を当てて俺は問いかける。そうするとボワアと小さな光が墓石の上に集まってくる。

 そしてその光はやがて一つの姿となった。


 「久しぶりですね・・・K・・・いや黒羽」


 「・・・・・」


 俺の目の前にはKの姿がある。墓に残された黒羽の残された姿だ。


 「境川生か。・・・死したこの私に会おうとするか。禁忌を使ってまで愚かなものよ」


 「愚かで構いません。ですが、どうしても貴方に聞きたいことがあります」


 「よかろう。許可する」


 「未来視の代償・・・命を奪われず記憶を消された場合、いかような方法で対処すればよろしいですか?」


 「・・・・・」


 黒羽は答えようとしない。ただ単に沈黙が続いた。

 数秒してようやく口を開くと


 「未来視に記憶を奪われることはない。それは恐らくは別の力が働いていよう」


 「別の力・・・?」


 「そうだ。逸材者が無数の力を持つことは異例なこと。本来は一人一力。貴様のようにマルチタイプもいようが常識ではこうなのだ──だが、稀に目覚めが遅いマルチも存在する。恐らくはそれが原因であろう」


 別の力・・・それが命の記憶を消した原因だと言った。


 「なぜ別の力の可能性だと思う」


 「私は未来が見える。死してもこの残された欠片で姿を維持しようと力は使える。お主の未来から見た結果。そういうことと判断したのだ」


 それはつまり命が今後新たな力に目覚めるというのか。


 「だが、皮肉なものだ。その力に完全に目覚めたとき、取り返しはつかないことになる」


 「ッ・・・!」


 「急ぐがいい。境川生。刻限は近い。記憶を戻す鍵それは──」


 黒羽がそう言いかけた時、


 ザザザ──残留思念の黒羽が消えようとしていた。


 「ムぅ・・・もう終わりか」


 「待て!!鍵!?それはなんだ!!」


 「記憶を取り戻す鍵──それは貴様......」


 バシュゥゥゥ・・・・大きな光とともに黒羽は消えてしまった。

 消える間際に言い放った一言。鍵は俺だというのだ。


 (しかし命に新しい力が・・・)


 それが原因だというのだ。刻限は近い。つまり残された時間はもうわずかだという。

 失われた記憶を取り戻す。どうにかしなくてはな。


 「感謝しますよ黒羽・・・いえMr.K」


 最後にお墓に両手を合わせて俺はお辞儀をするのだった。

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