表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逸材の生命  作者: 郁祈
第六章 偽りの因果編
112/130

表裏一体

 「いるんだろ──影?」


 静かな声で俺はそう言った。


 「ッ・・・どうして・・・なんで・・・」


 命は驚いていた。なぜ俺が影のことを知っているのかと。

 そりゃあそうだよな。何せ命から見れば俺はただの一般人。そこらじゅうにうんと沢山いる人間に過ぎないのだから。

 

 「悪いな東雲。俺はお前と"同類"だ」


 同類──それは同じ力・・・異能とも呼べる力「逸材」のことだ。


 「そうだったんだ・・・驚いたよ。まさか名前まで当ててくるなんてね」


 命は納得したかのように胸を撫で下ろしホッと安心した感じでそういった。

 

 「俺はそれだけを伝えに来たわけじゃない。影──お前に話があるんだ。出て来いよ」


 強く、そういう。すると命の髪の毛がフワアアっと上に逆立ちいつものポニーテルもただのロングとなり髪色が黒から赤色に染まっていった。

 命の瞳が開くとそのルビーのような綺麗な紅き瞳をこちらに向けていた。


 「影だな」


 「ええ、そうよ。私は東雲影しののめえい。まさか私を知るものがこんな近くに居たなんてね」


 ニヤリと笑いそう言う。

 その口調からしておそらく俺のことは覚えていないのだろう。


 「それで?なに用かしら。まさか私を倒そうだなんて思ってるの?」


 「それも面白そうだが、遠慮させもらうよ。俺の要件はたった一つ。お前の"代償"──教えてもらおうか」


 「代償?なにを言ってるの」


 まるで自分の力には何も代価がない。そんな顔をしている。


 「とぼけてるのか?それとも無自覚か?」


 「後者のほうが近いわね」


 「知らないか」


 「何かあったのかしら?」


 「ああ」


 俺は即答をする。だけど言ったとしても信じてもらえないだろうな。


 「そう。それは残念なことがあったわね──しょう


 最後の方のみ何故か協調をして放たれた一言。

 俺はその言葉に反応してしまった。


 「・・・・・ッ」


 いや、まさかな。

 まるで覚えていたかのような口ぶり。そんなものを感じさせる言い方だった。だけど命と記憶がリンクしている以上、影は俺を覚えることはないはずだ。


 「私は影。もう一人は命。かげは光がなければ生きることはできない。光を失えば当然影かげは失われる」


 「何が言いたい」


 「表裏一体。それが私たちよ。私の逸材。未来視の代価。知っているとも」


 じゃあさっきの言葉は何だったんだよ。


 「いや、単刀直入に聞いてくるかと思ったまでよ。それに"今喋っている私"は過去のバックアップ。もうじき貴方の記憶は消えるわ」


 「なら教えてくれ。記憶を戻す方法を」


 「失った記憶は戻らない。それが未来を見てしまった代価ならね。だけど本来未来視の代償はいのちそのものよ。稀なケースに陥った私はどうすることもできない」


 徐々に影の声が掠れていく。


 「ただ──同族。同じくして未来を見通せる者にあいな・・・さ・・・い・・・・」


 そういうとフッと髪の色が黒に戻った。


 「あ、あれ?私・・・・」


 そこにはいつもの命がいた。もちろん俺に対しての記憶は一切持っていない。数分前の命の姿だった。

 だけど影は言った。命のケースは稀なもの。本来は命を持っていく危険な力。そして記憶を戻すことは不可能だと。

 光を与えず闇だけを残していったその言葉。だけど俺にはまだ望みは存在していた。


 "表裏一体""光とかげ"


 あれはただ単に口ずさんだのではない。えいは俺に闇・・・絶望を言い放った。それは嫌がらせではなく。誰かに悟られないよう。

 闇があるのなら光が存在する。表裏一体。それがキーだ。

 同じくして未来を見通せる人物。俺はある男の姿を思い浮かべた。


 「話は終わったぜ東雲・・・教室に帰ろう」


 ピースは揃った。あとは実行するだけ。

 実行は──今夜開始だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ