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逸材の生命  作者: 郁祈
第一章 学園編
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プロローグ

 ──人間とは、大きく分けて二つの種類が存在している。

 ひとつは天才と呼ばれる何も努力せずに才能だけで物事をこなす人間。

 ふたつは馬鹿と言われ、努力をせず、何にもできない人間。


 そして、持って生まれた天才のことを人々は「逸材」と呼んだ。









 ──俺には幼馴染がいる。

 名前は"東雲命(しののめみこと)"

 平均より小柄でそれに似合わず長い髪をしていてポニーテールの女の子だ。

 可愛いっちゃ可愛いんだが、まあアレだ。幼馴染ともなると付き合いが長いこと。

 だから、これといってラノベ主人公とかにありがちだが、別段命(みこと)が好きとかそうい言うのは一切ない。

 

 ってなわけで、この物語はなんの変哲のないお話さ。俺と幼馴染のな。





 


 ──眩しすぎる太陽が、オレに向かって直射してくる。・・・朝か。

 ・・・あと5分だけ...。

 そう俺は思っていた。だが、コイツはそんなことはさせてはくれない。


 「こーら!!起きなさい」


 視界に入ったのは幼馴染の東雲命(しののめみこと)。家が隣ってことでよく朝起こしにやってくる。

 親が、出張中の今はこいつが目覚まし時計の代わりになったいる。


 「(しょう)!早く起きないと学校に遅刻すわよ」


 毎度ながらこいつはよくも飽きずに俺を起こしにやってくるわ。逆の立場だったらゴメンだわ。

 あっ、ちなみに(しょう)というのは俺の名前、俺の名は「境川生(さかいがわしょう)

 命と合わせてよく"生命(せいめい)"って呼ばれることもしばしば。

 俺はその呼び方あまり気に入っていないんだが、命は結構気に入っているみたいで、あまり口に出せないのだ。

 てかそろそろ命も本気で怒りそうなので俺はしかたなく布団から起き上がった。

 

 「ふあああ・・・寝みぃ」


 大きな欠伸。別に寝不足じゃないんだが、朝はよく欠伸がでる。酸素が足りてないのかもしれないな。


 「まーた欠伸、生ったらまた夜ふかししたの?」


 「侵害だなそりゃ。俺が夜ふかしするときは大体テスト前くらいだ。昨日は普通に早く寝たわ」


 実際テスト前でも勉強なんかしないんだけどな。何か人ってこう・・・適当な言い訳とかしたくなるよね?なるよね!?


 「ふーん・・・・まあ、起きたし いっか。早く着替えて降りてきなさいよ。朝ごはんあるんだから」


 命はそう言って俺の部屋から出ていった。

 時間を確認するとまだ7時だった。


 「命のやつ・・・遅刻するだと?」

 

 あいつ、遅刻するって言えば俺が起きると思ったな。図られたぜ。

 まあ二度寝するどころか目も冴えちまったし、俺は制服に着替えて、階段をおりてリビングに向かった。


 「いただきます」


 命は料理が上手だった。小さいことは別にこれといって料理はできなかったのに、今じゃ昔の命とは比べられないくらいに上達している。

 昔、俺が冗談で「料理できない女は結婚とかできねーだろな」って言ってからだったな。こいつが料理をし始めたのは。

 こいつは結構簡単な動機で動くことがあるからなぁ・・・。まあ、朝からこんなうまい飯食えるんだから別にどうでもいいか。


 「どう、美味しい?」

 

 朝ごはんを少し食べ始めたところで命は聞いてきた。

 

 「ああ、いつもどおり美味しいよ」


 いつものことなので、俺はいつもどおり、適当に返す。だが、間違ったことは言っていないのでセーフだ。


 「そう、ならよかった」


 ニコニコと俺が飯を食っているところを見てくる命。嬉しそうだな。

 



 ──朝食も食べ終えて時刻は7時30分。まだ少し時間に猶予があるな・・・。

 俺と命が通う"恋桜学園(こいさくらがくえん)"は(うち)から徒歩圏内、むしろ近すぎるくらいなのだ。

 だから、結構遅めの時間に出ても間に合う。


 「しっかし・・・早起きしたせいか、暇だな」


 「いいじゃない。寝坊して遅刻ギリギリよりかは、早起きして待つほうが」


 「でもやることねーし」


 「じゃあさ、私と一緒に登校....」

 

 「さあ、二度寝するか~」


 俺は部屋に行こうと階段の方に向かったが、


 「ねえ生、醤油か毒・・・どっちがいい?」


 何か物騒な二択出されたぞ。てかなに!?毒!?毒ってなに・・・!??!?


 「アホなことするな。ったく、バカバカしい。学校行くぞ」

 

 柄にもなく、カバンを持ち行き先を階段でなく玄関へと変えた。


 「えっ、いつもよりでるの早くない?」


 「・・・気が変わったんだ。それとも何か。俺と一緒は嫌ってか?」

 

 イヤミのように命に俺は聞いた。だが、あまり効果はなかったみたいだ。

 どちらかというと命は目をキラキラさせ


 「一緒に行くわよ!」


 元気な声でそういった。

 






 

 ──(みこと)はよほど機嫌がいいのか鼻歌を歌っていた。いや、いつも一緒に登校はしていないからいつもは分からないんだけど、まあ恐らくいつもこんな感じなんだろう。


 「しっかし、上機嫌だな、命」


 「そう?久々に生と一緒に登校できるからかな」


 「って言っても俺もお前も同じクラスだろうに・・・」


 俺と命は同じ1年、まあ幼馴染だから学年は大体近いはず、だが俺たちは同い年なのだ。


 「それに中学のときは一緒に登校していただろ?」


 俺がそう言うと命は少し暗そうな顔をして


 「でも生・・・中学のとき、3年からだったじゃん。この街からもいなくなっていたし」


 俺は小学6年の終わりにかけてから中学の3年の前半、夏まではこの街ではなく、別のところで暮らしていた。親の仕事関係でもあったのだが、理由は別にも存在していた。

 だから命と再開したのも結構最近だったりする。故にこいつは俺のいなかった頃の話をすると少し暗くなってしまうのだ。


 「ま、まあいろいろあったんだよ・・・」


 ──そう、色々と・・・・


 

 なんて、考えていたら学園のもう目の前まで来ていた。

 

 「おっ、もう学園か」


 「うえええーもう着いちゃったのぉ」


 命は少し名残惜しそうにしていたが、これが家の特権みたいなものだ、ホント家と学園が近くて助かるよ。

 

 「てか、どうせ教室も同じだろうに・・・」


 「そうなんだけど、それとこれは別事情なの」


 よくわからん奴だ。まあ、いいだろう・・・。


 「あっ、ちょっと俺よって行く所があるから先に教室行っていてくれ」


 命を置いて俺は一人で教室に向かわず別の方向に足を運ばせた。







 ──俺たちの教室は二階にあるが、俺は六階の"学園長室"まで来ていた。

 コンコン、二回ノックをし、ドアを開けた。

 

 「もしもーし・・・あれ居ない・・・」


 ノックをしても返事が返ってこなかったからもしやとは思ったが、案の定留守みたいだった。


 「着くのが早かったからかな。まだ来ていないのかも」


 予鈴がなるまであと30分近くはある。学園長ともなるとこれくらいには来ていてもおかしくはないと思うのだが・・・いないんじゃしょうがないか。

 俺はメモを残し、この場を去った。



 ──学園長室に寄ったせいか、俺が教室についたのは予鈴ギリギリとなってしまった。


 「あっ、生!遅い!!どこにいってたの」


 「悪いな命、少し用事があってな」

 

 軽く命に侘びを入れておく、まあもとより謝る理由なんてないが、謝らないとこいつは機嫌が悪くなりそうだからな。ここで誤っておくのがベストなのさ。


 「おーす、生に命ちゃん」


 俺が席につくなり声をかけてきたのは俺の友達である"沢渡(さわたり) (なつめ)"、男だ。

 むしろ名前順出来に席が近いって頃で知り合い、今では友達と呼べるのはコイツくらいしかいない。

 ちなみに俺と命合わせて"生命"ってあだ名をつけたのもこいつだ。


 「おはようございます、棗くん」


 命はちゃんと挨拶を返す。


 「んだよ、生は挨拶なしか~?ったく、薄情なやつだぜ全く」


 「知らねえよ、早く席につけ、先生来るぞ」


 「おっと、それはマズイ・・・」


 席は俺の一個後ろの席だ。故にこれから先、どうしても接する機会が多いと判断をし、棗とは友達になった。


 ガラガラっと教室のドアがあき、先生が入ってきた。


 「ほーい、それじゃ朝のHRを始める。ってもこれといって話すこともないんだけどな。ってなわけで朝のHR終了!」


 ・・・何しに来たんだ、うちの担任と来たら。


 「なーなー、生。1時限目の教科ってなんだっけ」


 後ろからボソボソと話しかけてくる棗。いるよな時間割を把握しないで周りに聞いてくる人。

 

 「知らん。・・・・確か現国じゃねえか」


 「サンキュー、いやーなんだかんだで教えてくれるから助かるよ」

 

 これくらい覚えるの容易いんだから覚えとけよなと思ったが、こいつバカだから言っても覚えんか。

 と朝から棗とくだらない会話などをしているとポケットが震えた。

 メールだ。誰からだろ・・・・。

 メールを確認してみると、学園長からだった。


 「・・・すまん棗、1時限目は俺パスだわ」


 そう言って俺は教室から退散した。


 「えっ、あ、生!?」


 出る間際に命の声が聞こえたが、知ったこっちゃねーや・・・。










 ──学園長室に向かい、俺は要件を済ませた。

 なぜ俺が学園長に呼ばれるかというとそれはいろいろ理由があるからだ。

 詳しくは言えないが、向こうからすれば俺は手際がいいらしく、適度にこうやって呼び出しを食らっている。


 「やれやれ・・・"また授業をさぼちまった"」


 学園長が生徒を授業中呼び出すのもアレな気がする・・・とため息付きながら教室のドアをあけようとしたが、教室からはクラスメイトの声が聞こえた。



 「ねーまた彼奴授業サボっていたよ」


 「アイツの名前なんだっけ?」


 「あれだよ境川」


 「あー境川、いたねそんなやつ」


 「ってか、マジありえなくね?授業サボるとか普通」


 クラスの女子は俺のことで話しが進んでいるみたいだ。言いたい放題言っているが、会話から察するに悪いのは授業を抜け出している俺の方な気がする。

 まあ、学園長に言ってもらえば話は早いんだけど俺は面倒事は嫌いだからな。


 俺は教室のドアを無言で開け、会話していた女子に興味もなく通りすぎ、次席へと戻って至った。


 「よお、今日は早かったな。生」

 

 「生・・・あまり授業サボらない方がいいわよ?」


 こんな俺でも棗と命は友達でいてくれる。棗に至っては少し羨ましそうにもしていた。

 棗よ・・・恐らく学園長室で作業してることを話したらお前絶対サボりたくなくなるぞ。


 「一部の女子や男子はお前のサボりについてで話しがいっぱいだぜ」


 「そりゃそうよ、一ヶ月の授業出席回数なんて指で数えられるくらいしかないんだし」


 「こりゃ、ある意味英雄だよな。サボリの」


 棗はクスクスと笑いながら、命は真剣に会話をしている。


 「でも」

 

 棗が急に真剣になり、


 「クラスの皆が陰口だけなのはお前が"逸材"だからだよ」




 ──"逸材"

 この言葉は真実・・・偽りはなんにひとつ存在しない。

 





 

 ──コンコン、

 「失礼します、学園長」


 「おや、どうしたのかね」


 訪ねてきたのは生のクラスの担任だった。


 「この書類・・・また彼を呼んだのですか?」


 「そうだが、何か問題でも」


 「はあ・・・大アリですよ。学生の本分は勉強です。それなのに、彼は授業に参加せず、貴方の手伝いばかり・・・」


 「だが、しかし・・・彼の入学時の試験のテスト、知っているだろう?」


 この学園に入るにあたって必要な試験、どの学校にも存在する簡単なテストだ。


 「知っています。境川生、彼の点数はこの学園中に広まっているじゃないですか」


 「そう、彼にこの学園は狭すぎたのだよ」


 学園長は窓から外を眺め、木を見た。桜は既に散っており、木は枝だけどなっている。

 今から数ヶ月前、俺は逸材と呼ばれるようになった。



 ──なぜなら、





 






 ──俺、境川生は入学時「全てのテストを満点」という結果を出したのからだった。

【キャラ説明】

境川(さかいがわ) (しょう)

性別:男

能力:──

説明:平和に生きたい人間。

容姿:黒髪

学校:恋桜学園 1年

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