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カオスワールド  作者: 天地 優介
第一章 冥帝降臨
7/8

黒き獣のゼロ

新主人公のゼロ君登場

ミカドがこの世界に降臨する一カ月ほど前ーー。



「……ゼロ=ヴァニティー?誰それ?」


フリーの賞金首であるアユン=ルーツは、いつも懇意にしているギルド支部のカウンターのお姉さんに、いつもどおり賞金首の首を渡していた。

その後に世間話をしていたのだが、いつもの結婚できないというお姉さんの愚痴を聞く予定が、今日は違う話題を切り出されたのだ。

それは、最近名をあげてきている賞金首、ゼロ=ヴァニティーという男の話だった。


「いやぁねぇ?最近、世界統制機構の施設が次々と襲われてるでしょ?その犯人みたいで、最近賞金が爆あがりしていて、いろんな人がその首を狙ってるんだけどね?けっこう有名な人もいたんだけど、皆返り討ちにされちゃってるのよ。怖いわよね〜」

「返り討ちって……いったいどんな人達が?」

「聞いたところによると、あの聖剣使いジーク=ライトニングもやられたって話よ?」

「ええ!?ジークさんが⁉︎大丈夫だったんですか?」

「なんとか無事だったみたいね。というか、やられた人達は皆生きてるわよ、一部の「悪い噂」のある人達以外。どうも人を選んで手加減しているみたいね」

「……その人の手配書、あります?」

「あるわよ、はい、これ」

「……不細工」

「遠目からみたものみたいだけどね。それより、もしかして挑む気になった?」

「なりませんよ。ジークさんが負けたなら、僕に勝てるはずありませんから、もし会っても、下手に戦わないようにです。さっきの話だと、勝負を挑まなければなにもしてこないんでしょう?」

「ええ、一般人のふりして近づいて、後ろからズブリとやろうとしたヤツもいたみたいよ?バレてやられたみたいだけど。でも、あなたの可愛さなら近づけるかもね〜?」

「そうですか……じゃ、僕はこれで」

「ああん。つれないわね」


報酬金を受け取り、懇意にしている宿へと帰るアユン。今回は長い依頼をこなしてきたので、かなり疲れている、早く帰りたいところだが……。

現実、そうはいかないものである。


「ちょっと君、いい?お兄さんとイイコトしない?」

「嫌です」

「そんなこと言わずにさあ〜」

「………」


アユンの見た目だが、十八歳という年齢なのに身長は百六十以下と、かなり小さい。それに武器である改造ヨーヨーを腰に下げていたり、短めのスカートを履いていたりと、服装も少し幼い印象と同時にそこはかとない色香を感じさせるものが多い。

そのため、こういう誘いが多い。

もう今月で八回目である。

とりあえず、これ以上つきまとわれるのも嫌なので、この男の仲間ごと一網打尽にすることをアユンは決定した。いたら、の話であるが、こういう輩は大抵は自分の思い通りにならなければ、大人数でなんとかしようとするヤツが多い。

そのため、アユンはあえて誘いに乗ることにした。

一度で引いてくれれば良かったのだが…お互いに。


「……いいですよ、いきましょう」

「お、素直じゃん。じゃ、お兄さん達と…ね?」

(やっぱり、お仲間がいましたか……)


軽薄そうな見た目の男に案内され、裏路地へと入り込むアユン。そこには十人ほどの男達が待ち構えていた。


「お、上玉を連れてきたじゃねえか」

「へへへ……じゃご褒美を」

「そう焦んなって」


男達はみな何かを吸っていた。

アユンはそれに見覚えがあった。

最近流通している新種の麻薬、『クインシー』である。

アユンはこれを流通させている男を仕留める依頼を受けていたのだが、もうこの町にまで流通していた。

アユンの予想を超えるスピードである。

男達から麻薬についての情報を聞き出そうとするアユン。

しかし。


「おい、テメェら。そこで何してやがる」


その男の第一印象は、赤と黒。

それだけである、ぶっちゃけ、アユンにはいいカッコをしようとする偽善者にしか見えなかった。

ーーその男が、思わず息を呑んでしまうほどの、威圧感を放っていなければ、だが。


「う、うおおお!」


麻薬を吸っていた男達のうちの一人が、隠し持っていたらしいナイフで、赤黒の男を刺そうとする。

しかし、赤黒の男はあっさりと男のナイフを叩き落とし、その首筋に手刀を叩きこんで気絶させる。

そしてそのまま近場にいたアユンを案内してきた男を掴んで、他の男達が密集している地点に投げつける。

男達は避けようとするが、スピードが早く、八人のうち三人程が投げられた男の下敷きとなってしまう。

突然のことに呆然としていたアユンが、赤黒の男の姿を追いかけようと目線を動かした時には、すでに男達は全員気絶していた。


「大丈夫か?」


赤黒の男が声をかけてくる。


「あ、はい」

「……ほんとに大丈夫みてぇだな、じゃあな」

「あ、ちょっと待って!」


アユンはその男に見覚えがあった。

ベルトが幾つもつけられた赤色の奇抜なデザインのコートに、黒い袴のようなズボン。

髪はトゲトゲした黒い髪が後ろの方に伸びている。

これらの特徴が、ゼロ=ヴァニティーと一致していたのだ。

ただ一つ違う点といえば……イケメンなところだろう。


「悪いが、女装(・・)趣味(・・)のやつとじっくり話す趣味はねえんだよ」

「……あなた、もしかして、ゼロ=ヴァニティーっていう賞金首?」


とある事情から女装していることをあっさりと見抜かれたことに驚きつつも、ゼロ=ヴァニティーかどうか、確認を取ろうとしたが。

赤黒の男が振り返った瞬間、意識を刈り取られた。










「……………ハッ!?」


ーーーー目が覚めたのは、宿屋だった。

あれから町の人が自分を発見して、保護してくれたらしい。

その事に感謝しつつもしアユンの心はあの赤黒の男のことで占められていた。


「アイツ……絶対に捕まえてやる!」


こうして、アユンの運命を変える旅が、始まってしまったのである。












「今晩、宿どうしようかな……」


ちなみに、ゼロは個人の賞金首なので、基本根無し草である。

アユンはこの後そんなに出番は無い。

正直GGの鰤を想像してもらうとわかると思う。

あと、ゼロの外見は髪の黒いBBのラグナ。

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