冥帝、親切な人?と出会う
説明回。
……私の書く文ってもうセリフだけでいいんじゃないかなって。(格ゲーのストーリーモード感)
「……お腹減ったなあ…」
楽しく空を飛び回っていたミカドであったが、ついに腹が減ってきてしまっていた。
しかし、見渡す限りに荒野と山が続くこの冥界で、いまだ町は確認していなかった。
「お腹が減るのは死活問題、なんとかして、食べられるものを探さないと」
かくして、ミカドの食料を求める珍道中が始まって…………
「もうだめ…」
終わった。
一時間ほど食料を探してあちこちを見て回っていたミカドであったが、ついに大きな町を発見した。
これ幸いとその町に向かって突き進んでいたが、ついに限界がきたのである。
体はまだ動く、この腹が減るというミカドに今起こっている現象は、ミカドがまだこの体と『魂』に慣れていないからだ。
完全に馴染めば腹が減る事もなくなるが、馴染む前にダメになりそうである。
ここで次回作にご期待くださいな事態になるかと思われたのだが……。
運命は彼女がここで退場するのを許さなかった。
「…あんた、大丈夫か?」
道端に倒れ込んでいたミカドに話しかけてきたのは、顔の一部の骨格がむき出しになっている男だった。
その男はミカドの様子を見ると、空腹で倒れたのだと見当をつけ、食べ物を与えた。
「ほれ、食べろ。怪しいもんではないからな。」
「ありがとう、恩にきる」
「いいってことよ、俺も好きでやったんだし、それよりもっと食うか?」
「ん」
ミカドはすっかり男に懐いた。
その後、いろいろと話をして情報を得たのだが、そこには衝撃的な内容も含まれていた。
「そんで俺の名前はジンノっつーんだ、よろし…」
「まって、さっきなんて…?」
「え?ああ、『冥帝』の話か?この冥界でも恐れられている…」
「そうだ、それでその冥帝の姿は…?」
「ああ、今のあんたに結構似てるな。鏡で確認してみるか?しかし見れば見るほど似てるな…まさか本人だったりしてな!て、そりゃねえか!だっはははは!」
「はは、は……はあ」
ジンノと名乗った男の話を聞いて、ミカドは思い出した、この世界に来た時、確かに自分はジンノの話に出てきた戦場を見ていると。
しかし、なぜその百年後に自分がきているかわからない。それに、なぜ自分が『魂』を食うなんて真似をしたのかも。
「ジンノさん、その『人魔戦争』についての資料はどこにありますか?」
「ここ冥界にならば、あのでかい町に、地上になら、都市図書館という場所にある。最終決戦の場所ならヒノモトの国という場所にある、地上への出口もそこに、ある。…でも、地上に出るための出口は開かないんだよ。」
「開かない?」
「ああ、人魔戦争の時設置された『門』……それが邪魔をしていてな、それに次元回廊からの侵略者の問題もある」
「門?次元回廊?」
「…ああ、知らないのか、じゃあ教えよう。まず、門の名前は冥界門という。ま、簡単に言えばこの冥界と地上とを繋ぐものだと思っておけばいいさ。まあ開かないから、地上に行くには次元回廊とかの空間事態を越える事ができるようなルートを通らなければならないんだ。危険だから俺みたいに強くなきゃダメだけど、そんな俺でも時々死にかけるから、間違っても嬢ちゃんみたいな子が地上に行こうとするなよ?あと、次元回廊っていうのは他の世界と繋がってる道の事で、こっちの方はいつでも通れるんだが、ちょっと危険でな」
「危険?」
「ああ、マキナと呼ばれている兵器が時たま出て来るんだ。こいつらがやっかいでな。人魔戦争の時に冥界が地上に出張れなかったのは、冥界の奴らがバラバラだったつーことや、危険なルートでしか地上に行けなかったって事もあるが、マキナが大量にこっちの世界に来たのも原因なんだ。俺たち冥界人の間じゃ、地上人達が人魔戦争と呼んでる千年間は『マキナ戦争』と呼ばれているほどさ。…っと、人魔戦争の資料がある場所の話だったな」
「はい、あの町にあるという話でしたけど…」
「ああ、あの町の名前はセントエルモというんだが、マキナ戦争についての資料が蔵書局に一通り集められているんだ、その中に人魔戦争についての資料もある。ただ…あの町を今治めている奴がやっかいでな。名をデュッカというんだが、とんでもなく暴力的な奴でな、この冥界では強いヤツがルールっていうところがあるんだが、その点では奴はある意味、この冥界を象徴するような奴だ。嬢ちゃんみたいに綺麗な子が人魔戦争についての資料を見ようとすれば、間違いなく体を要求してくるだろうな」
「…そうですか、いろいろと、ありがとうございました」
「ああ、行くのか。まぁ町に滞在するだけなら大丈夫だ。あいつも暇なはずはないからな。……元気でな、嬢ちゃん。縁があったらまた会おう」
「はい、ではまた…」
ミカドは次の目的地を決めた。
セントエルモにあるという蔵書局、そこに忍びこむ事を決めたのであった。
ちなみに、今の自分の姿はジンノの持っていた鏡で確認している。
なんというか………十二単を動きやすくしたような感じの、華やかな格好だった。
「この服装じゃ潜入なんてできないな……よし、なら正面突破しよう。どうせ一度は死んだ身、いろいろと無茶をしてもいいだろう」
次元回廊とかの設定はとりあえず考えてたやつをロボットだしてえなあ…………と思ってたらいつの間にか書いてました。