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幻灯廻廊〈1〉

枯れ果て、根元より倒壊する樹木。乾く大地、風に砂埃を巻き上げる。せせらぎ無く、水面茶褐色と濁る泉。埋まる岩、苔をまんべんなく被せ覆う。


一行、その風景に誰もが息を呑む。


「此処が僕達が目指してた【ヒノサククニ】とても、人がいるなんて景色じゃない」

「タクト、此処は【国】に入る為の関所なの。そろそろ、その〈仕組み〉を理解してもいいはずよ?」


双方のやり取り、遠くで見るバース、唇を噛みしめる。


「なーにをこそこそと、タクトに吹き込んでいるのだろうな!」

「おまえは、どうして、そう、母上に食って掛かるような態度ばかり示すのだ?」


「おまえには、関係ない!」

バース、アルマから離れ、タクト達の側へと歩みよる。


「おい、エルマ。此処にはおまえは足を踏み入れた事があるのか?」


エルマ、鼻をひくつかせ「さあ、どっちかしらね?」と、手を掲げ、翻してアルマと、目を合わせる。

「あの、私に何か?」と、アルマは訊く。

「あなたは、あくまで切り札よ!其処の〈バーカ〉の役割が物凄く、重要になっちゃうけどね!」


――俺の名前、改ざんさせただろう?


――アラ、意外と地獄耳だったのね!


「アルマさん、あの二人、本当は犬猿の仲なんでしょうか?」

「バースがただ世話が妬くだけだ!」

「……でも、エルマさん。あなたに気になる一言をおっしゃってましたね?」


――忘れた……。


――それでは、僕が覚えときます。


「で、その関所の通行手形は、今度は何を使うのだよ?」

「本当に〈バーカ〉ね!道を手繰り寄せた《鍵》と、言うのも思い付かないの?」


するか!


あー、バースさん、みっともないです!


「子供達が必要と、言うことですよね?エルマさん」


ふんふんと、鼻息を荒くするバースを押さえながら、タクトは、そう、言った。



列車より、隊員達に引率され、子供達はバース等と合流する。


――残念ながら、此処からは私達と、子供達のみで入り込んでいくわ。


「なんですと?奥方、それでは、我々は何の為に【国】に赴く事をバースと共に誓ったのか、判らなくなるのではありませんか!」

タッカ険相し、エルマに言う。


「まずは、此処で待機していて!内部を調査して、あなた達が進入できるようなルートを見つける。そして、清風隊も、同じく……ね」


「エルマ、一歩踏み込めば、どんな事が起きるか判らない。それでも、連中を置いて先を進むというのか?」


バースの問い掛けにエルマは頷く。


「同じ事は二度は言わないけど、此だけは、バース、あなたに伝えるわ」


《血》を護るのは、あなたの義務……。あなたの《橙の風》が私に囁いた――。


「俺の何だよ?」


「もっと、判りやすく言う必要があるの?」


エルマの凍る視線、バースに鋭く射し込む。


バース、瞬時に身震いをして、口を閉ざす。


「………関所の入口を開ける。タクト、子供達に促してくれ――」



バース、陽の刻印が彫られる石碑に歩み寄り、言葉静かに、タクトへと、剥けていく。

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