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手繰り寄せられる道〈4〉

【国】は目の前にある。それは、さておき、だ。

頭を捻らせて、浮かぶのは〈あいつ〉が今頃何をしているかだ。

境界線から費やした日時はほんのわずかだった。

〈あいつ〉の手がかりを探る前に、エルマ……アルマのおふくろと合流した。


こいつとは〈師匠〉を通じての接点を絡めたようなものだった。


〈軍〉に入った俺の云わば、世話焼き役みたいなものをやってのけていた。まるで―――。


――今のアルマとタクトみたいな関係だ……。振り返れば、そう、思考が膨らんでしまった――。


エルマ、おまえは旦那に言われるがままに、今日迄、任務を優先にさせたならば、俺からすれば、あまりよくない。


子に必要なのはやっぱり〈母親〉の温もり。もし、俺が〈親〉となる日が来るならば、断固として〈家庭〉を守れと、催促する―――。



――みんな、揃ってるかしら?


エルマ、16名の子供の列の前で、笑みを湛えると、返事の挙手が示される。


「私はエルマ。今からあなた達にお手伝いをして貰いたい事があるの」


子供達、その言葉に一斉に瞳を澄みきらせる。


「あなた達が見てる通り、この干上がった川には道も、橋もないの。其処に、列車を走らせるために、あなた達の“力”が必要としてる……」


エルマ、子供の列から離れ様子を見つめるタクトと視線を合わせる。


「え?」と、タクト、怪訝になると、エルマは更に言葉を紡いでいく。


――タクト、あなたも、道を手繰り寄せる役目をして頂くわ!


バース、渋渋と形相をタクトに剥け「ご指名だ」と、その背中を掌で押す。


「あの……」と、タクトは困惑の面持ちをエルマに剥ける。


「心配は要らないわ。ただ、バースが何だか疑心暗鬼に浸ってるみたいだけどね?」


――お見通し、されていたのですね?


――ふふ、あれも、意外と頑固なところがあるのよ。それで、私もあの人も散々手を妬いたものだわ。


「……なーに、笑ってやがるんだ?」

バース、双方の様子に険相をすると

「バース、よすのだ」と、アルマ、その腕に肘を押し付ける。



エルマ、バースより視線をそらし、瞳、タクトへと向ける。



――あなたが示す“光”を〈あの方〉に届ける目的もあるの――


エルマの言葉にタクトは、驚愕する。


「あの、もう少し、詳しくお話しして貰えますか?」


“蒼い光”を持つ子供と会うことがあれば、是非、導いてと、お会いする度に涙を流されながら、おっしゃっていたわ。あなたは〈その方〉と同じ瞳をしている。間違いなく、あなたは〈その方〉のご子息様………。


「お名前までは、ご存じですか?」と、タクト、瞳を潤ませ、更に声を震わせ、エルマと眼差しを合わせる。



―――ヒメカ……【国】を統一させる《血》を代々に受け継がれた方……です。



タクトの思考、風が吹く如く、掻き回される。


――母さん………。母さん―――。



「タクト“無垢な光”と共に、自身の目と足で、確かめる勇気を振り絞れるかしら?」


タクト、目頭を掌で拭い、姿勢を正し

「勿論です!」

と、エルマに声を高らかに解き放していった。


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