手繰り寄せられる道〈2〉
「走行エネルギーチャージ、完了!」
暁の柱より伸びる管に繋がれる列車。メーターを確認する ニケメズロがそう、報告する。
「バース。この列車には、装甲設備がないのは?」
「子供を乗せてるのだ〈闘い〉の目的なんて、全くもって、持つことはしなかった」
「万全とは、言えないわ。今からでも、施すことも可能よ?」
エルマの提示にバース、首を横に振る。
「子供を守る為に、俺は、宛になる奴しか隊に引き入れない……」
バースの言葉に、エルマ、息を大きく吐く。
「何か不満なのか?」
「“力”を信じるて、ところなのかな?と、思った迄よ」
「判ってるなら、わざわざ促すな」
バースはそう、呟き、空を仰ぐ。
「来たか……」
バース達の目の前に、閃光が迸り、その中より一人の軍服姿の男が現れる。
遅くなって申し訳ありません!私は、清風隊サブリーダー、カン=ファレンスと、申します。以後、カンスと言うことで、是非、お見知りをお願い致します!
「……随分とくそ真面目そうな奴だな?」
バース、敬礼するカンスの掌を押さえ、ニヤリと歯を見せ笑みを湛える。
「隊長、この方が?」
「戸惑うかもしれないけど〈本人〉よ」
あなたが〈英雄〉の申し子と言われてるお方?なんて、光栄なことでしょうか!
「おい、どういうことだ?」
「アラ、知らなかったの?あなた〈軍〉の下層部では、そう、噂されてたのよ」
「……エリート連中からは、目の敵にされてた」
おまえたちのボスを、引き抜く真似をして、すまないな?
いえ、私達で今後出来ることがあれば、なんなりと申し出てください!
「カンス、いいかしら?」
「はい、こちらでございます!」
エルマ、カンスより銀色のケースを受け取る。
「それでは、私は、此にて失礼させて頂きます!」
カンス、敬礼すると、手にする装置を操作して、閃光の中に消えていく。
「……転送装置か。エルマ、あんたも此処までそれで来たのか?」
「私は………」と、エルマは首を横に振る。
無茶もいいところだ……。
機械より速くたどり着けるわ。
双方、列車に乗車して、そして、それは、駆け出していった。




