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手繰り寄せられる道〈1〉

食堂車にて、女性を招き、席に着くバースと、アルマ。

「入れたての紅茶を楽しまれてください」

ロウス、ティーセットをテーブルに並べ、会釈する。


「随分と奥ゆかしい、おもてなしをされるのね?」


「趣味のようなものです……」

それでは、と、ロウス、食堂車を後にする。


扉が閉まる音と同時に「昨日は失礼した」と、バース、深く頭を下げる。


「気にしないで。それにしても、驚いたわ。バース、あなたが、この地に踏み込んでくるとはね?」


あんたの、旦那に根回しされたようなものだよ。


「……あの人らしいわ。そして、アルマ。あなたも、こうして、バースの側にいる。不思議な気持ちよ」


「その事は……その……」

アルマ、頬を淡い紅色に染め、女性から視線を逸らす。


「バース。アルマには、よく、してくださってる様子ね?感謝をするわ」


「意外な言葉だな?」


「私の勘は外れたことないの!」


母上、雑談はもう、それくらいにしてください。


「はいはい、それでは、この地での私からの見解を述べさせて貰うわ」


「頼む、エルマ」と、バース、女性の名を呼ぶ。


――あなた達も既に理解しているでしょうけど【サンレッド】に境界線を引いたのは【ヒノサククニ】に入り込んだ〈団体〉目的は【国】の資源を独占する為。そして、極秘の計画を其処で、進めさせている――。


「エルマ、其れは〈軍〉の要請で、おまえを隊長として、遠征と、赴いたのだな?」


「《血》を《鍵》に、ね………」


バース、瞼を縛り、息を大きく吐く。


「あんたのその“力”が濃かった。それは、何の意味を含めてるのか、教えてほしい」


――【国】の民の生き残り、と、言えば理解できるかしら?


「………十分だ」


ついでに、だ。この周辺では【国】を争奪するための〈闘い〉は繰り広げられてるのか?


〈停戦〉は表向き。この大地では、数多の民族が暮らしていた。でも、みんな、姿を消してしまった。


「神隠しか?」


「確かな情報ではないけど【国】にはもうひとつ、時が流れてる。其処に、おそらく、追放された」


その、入口を開く為に《宝》を集わせた?


……それは、どういうこと?バース。


「あんたのもう一人の娘が〈団体〉に、便乗してその《宝》を俺達に護衛させたのだ!」


「エターナ……が?」

エルマ、目頭を押さえ、肩を震わしていく。


――まるで、運命に手繰り寄せられるように、私達も、こうして、会うことが出来た……。なんて、奇蹟を、私は、目にすることが出来たのでしょう。



「バース、アルマ。あなた達の隊に是非、私も加えさせて貰えるかしら?」


涙を拭うエルマに「こちらこそ、願おうと、思考を膨らませていた」と、バース、瞳を澄みきらせ、そう、言葉を紡いでいった。

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