天と地を繋ぐ
〈マグネット天地団〉ロウスの嫁さんがその、幹部として、所属してる〈団体〉の愛称だ。
医療、エネルギー、教育、と、数を挙げたらきりがない程の様々な分野を手掛けている。
世界の経済の発展はまさに、それが、中心ともいえる。
〔表向き〕は、と、付け加える。
俺は、軍の一員にしか過ぎない。
しかし、何故かその、裏側も、見るきっかけが、今、目指す【国】にあった。
――暮らす人々を欺く、そんな、事にも突っ込んでいるのが、この〈団体〉だった。
大地に境界線を引き《鍵》を探し当てたもの者のみが【国】を目指せると、知ったのは―――。
―――あの、人工自然を管理する親父から受け取った〈あれ〉に、記載されていた―――。
「《鍵》を手にするには〈血〉と〈16〉……か」
バース、タイマンと共に、通信室に備えてある電子機器のディスプレイに並ぶ文字を追って読む。
「隊長、それは【国】に何か隠されてるモノが在るから、やたらに入り込めないように、仕掛けられた、一種の〈パスワード〉だったのだよな?」
「ああ《資源》の乱獲を防ぐのと、あとは……」
かなり、ヤバい事業だよな?
〈あの時〉拝見した、軍事資料の内容があまりにも、非現実的だった。
バース、電子手帳を取りだし、端末を操作する。
「〈団体〉が募集した〈求人〉の業務内容が、何処まで人権に関わることかだよな」
◎〔エネルギー採取業務〕“力”が豊かな暮らしを約束します。
――〈女性〉限定。と、いうのも、怪しさ満点だよ。
――だ、とすれば、今、連れている《宝》も、それを含ませる可能性がある?
――【其処】が実際、どんな処か直接見るしかない!
「隊長?」と、タイマン、席より腰を上げるバースに怪訝な形相を向ける。
「やたらと、寒い。防寒着は、確か倉庫車両に積んでいたよな?」
「そういえば………だよな。原因は―――」
タイマン、車窓の風景を凝視する。
一面の銀世界。塊に近い、降る雪。
紅い列車の行く先を塞ぐように、それは、ひたすら積もり続けていった。




