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隠密助走〈前編〉

――その情報知らないぞ?


あれは〈カマ〉だ。


ロウスのやつ、やはり、首を突っ込みやがった。


見てしまったのだ。


あっちこっちと、移動していて、妙な場所にたどり着いた。


ご丁寧に、閲覧できるように、それは開示されていた。


仕組まれている。何もかも、だ。




――尻尾は、必ず、掴んでやる――。




「バース、入るぞ」


「来たな、おまえ達」

個室のベッドから、跳ねる水滴の如く、バースは降りる。


アルマとタクト。滲む感情を堪える形相。


「すまなかったな。俺がいない間、苦労をさせてしまった」


バース、双方を腕に挟み、なおかつ手繰り寄せる。


「タクト、顔、引き締まったな?」

「結構、鍛えられました」

「そうか」

呟く、バース。タクトの頭部に手を乗せ、押し込める。


「何も、個室に呼びつける程でもないだろう?」

アルマ、バースの腕を掴み、握力を注ぐ。


「ちっとぐらい、挨拶させろよ!」

「タクトの前ではしたない!」

「僕、見てないことにします。でも、なるべく、お二人だけの、時でお願いします」



赤面のタクト。鼻を押さえ、更に咳払い。


「間抜けヅラ」

鼻の穴をティッシュペーパーで塞ぐタクトに、バースは苦笑をする。


「其処までにしとけ!でないと――」

アルマ、拳を掲げ、バースに向ける。


「待て」と、それを掴む。そして


「その辺に適当に座れ」と、バースは、促す。


「バースさん。先程、車両の警護を申し出たロウスさんに、何故、厳しいお言葉をかけたのですか?」


バース、険相。



――俺は、バンドを指名したのだ!


あと、わずかで〈軍〉の任務が終わる。あいつに今、例え【仕事】とはいえ、動かせない。


〈ムジナ〉だったら、子供たちの状況が筒抜け〈団体〉或いは〈軍〉に情報だって、垂れ流しだ。




《敵》なのか?ロウス。信じたくないが、探らせて貰うぞ―――。




「9両目は、子供ばかりだ。万が一、何か起きてはあいつだけで対応は困難。そう、解釈するぞ?バース」


「ああ、そう、しとけ。アルマ」



話。


誰だ?本題をそっちのけにさせたのは。


おまえだろう!



「タクト。こいつは、おまえが持っとけ」

バースは、ニヤリと微笑し、デスクの上の長方形の個体を、タクトに差し出す。


「これを、僕に?」

「ああ、おまえだったら、要らぬことには使いはしまい?」

「使う?」


「いいんだよ。意味が呑み込めないくらいが、丁度良いな!」


バース、アルマと目を合わせる。


「こいつは〈天然〉だ。其で、緩い!よく、軍人としてやっていけるものだと、最初は頭を抱えてたものだ」

「でも、役にたってるだろ?」

「こっちが止めるにはいってやらないと、いうくらいに、調子いいところが、ある!」

「だとよ、タクト」

「僕、絶対いじくられてる」

頬を膨らませるタクト。バースの眼差し、じわりと穏やかになる。


「そいつのおかげで、数日間の移動は、楽 をさせて貰った。まあ、専らいじくってたのは、タイマンだったけどな」


「転送装置。列車には持ち込む事を、許されなかった」

アルマ、唇を噛みしめ、タクトが手にする個体を凝視する。



何処で手にいれたのですか?


〈あの時〉だ、タクト。


それが、なかったら、僕たちずっと、バースさんに会えなかった。


その解釈、おまえらしいな?



「そいつを作動させた途端、転送されてしまった」



――〈軍〉の 資料室に、だ。見てくれと、言わんばかりに、資料が丸出しだった。


「バース。いいのか?」

「よかったのだろうな?其処に真っ先に目にとびこんだのが―――」



◎ロウス=アントル【育成プロジェクト】主催関係者の親族。





バースが開く電子手帳に開示される文字を、タクトとアルマは、息を呑み、ひたすら、見つめていた。

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