幻林間〈4〉―タクト―
僕は、バースさんにとっては、お荷物だ。何しても、結局は裏目に出るように彼是と、迷惑をかけてしまう。
隊員のみんなにもそうだ。アルマさんにだって、勿論だ。
背の高さは、魚を食べて解決するかと思ったけど、駄目だった。
バースさんみたいに、強くならないと、やはり、無理だ。で、ないと〈あの時〉や〈あんな時〉みたいに いざ、難関に遭遇した場合に―――。
……?なんだろう、この感触。
タクト、おそるおそる、瞼を開く。
――――え?―――何で?
「この、馬鹿息子め!」
目の前、顔面すれすれで、アルマがか細い声で、そう、言い放す。
「アルマさん、馬乗りなんかしてたら、僕がバースさんに怒られてしまいます」
「馬鹿隊長なら、スキップしながらキャンプに戻った!」
「いや、そうじゃなくて――」
僕、確か森に入って……えーと。
ぶっ倒れていた!其処で“力”を使ってまで何をしていたのだ!
「――。で、また?」
「軽い〈反動病〉の症状が出てた。今度は少しだけ横になっていれば、いいっ!」
「でも、アルマさん。この状態、どうみても――」
口実は、幾らでもつけられる――。
タクトの両腕を掌で押さえ、アルマの顔が、更に近づく。
――アルマさん、困ります。
乗る唇の感触。タクト、身体を微動させる。
――どうした?呼吸法を忘れたのか。
「僕をどうするつもりですか?」
「おまえにその気があれば、だ……」
――無理に、決まってます。
なら、今一度……。
再び、唇がタクトの口に塞がれる。
「止しましょう。だから、僕から降りて下さい」
アルマ、タクトよりその身体を離し、指先滑らせ、手を握る。
「 個室に移って、寝るのだ。無理して動けば、また、あの状態になる。出鱈目では、ない」
「はい………」
タクト、個室のベッドに横になり、アルマにシーツを被せられる。
「私は、ロウスの病の治療法を、ハケンラットと探す。ちゃんと、寝とくのだ。また、様子を見に来る」
室内の灯り消え、扉が閉まる音が響き渡る。
静寂。
危なかった。僕、踏ん張ってなかったら――。
想像して、赤面。そして、ため息。
興奮して、眠れない。
ああっ!今日のご飯、まだ食べてなかった。
後でこっそり、食堂車に行こう。
タクトの腹の虫。秋を彷彿させる夜、鳴き続ける。




