ソラノハジマリ〈2〉
「子供たちを頼むぞ」
「だんなたちも、気いつけてはいよ」
転送装置のエネルギーチャージ、完了してます。
「…… 嫁さんの“転送の力”をもらっただろ?ニケメズロ」
ご心配は要りませんよ?私の“力”は―――。
「〈太陽の光〉が、源なのですから」
「特殊だよ。体内に〈それ〉を吸わせることができるのは【国】の民のみと、俺の親父が、言っていた」
「言い伝えです」
口を閉ざすエターナ。
「アルマ」
バース、その名を呼び、視線を向ける。
「私は知らない」
バース、微笑。
「いくぞ!今度こそ〈あれ〉にぶちかます」
“陽の光”で、俺達の目指すものがどんなことか、と思い知らせてやる!
“光”隊員一同に輪を被せ、柱となり、空を目指す。
「マシュ。あたはいつでも、列車ば走らせらるっごつ、しとかなんばいた」
「 別に、くつろいどくなんて考えはしてない!」
「―――。自分でばらしてどきゃんすっと?」
みなさん、どうか、この地に風を―――。
エターナ、陽の方角に向け、そう、呟いた。
錆び付いた櫓。崩れて風化進むレンガの壁。閑散とする設備跡。そして、散らばる黒色の塊。
【センダ坑遺跡】陽光隊は、その場所の地に羽を止める鳥の如く舞い降りる。
――トキニミミスマセ――――!
バース、瞼を強く縛り、更に唇を噛む。
「―――。此処、なんでこんなに酷く倒壊してらのだ?」
「ああ、タイマンが調子に乗ってほいほいと、登って、足の踏み場を外した勢いで、これ、もろとも落ちていったのさ」
鉄骨無惨に砕け、機械の部品も区別なく、埋めつくされてるその場所、一同、目視する。
さらに建物内に進み、広場に出ると、左方向の施設跡に、タクト、視線を向ける。
「お風呂場、ですか?」
「炭坑夫が、ひとっ風呂。いや、みっ風呂するんだ」
バースのその言葉に、タクト、怪訝な形相をする。
「掘る石炭の成分が半端じゃないのだ。一度では煤は洗いきれない。二度めに再び洗い落とし、三度めでようやく『いい湯だな!』と、言うことだ」
この、四角いものは?
発電機だ。炭坑夫一人一人にあてがってる。その明かりがまさに、掘るための灯だったのだ。
このばかでかい、容器は?
石炭を詰めるものだ。
「ここが、その入口だ」
バースが、指差す方向に、一同、注目する。
「〈やつ〉は、その奥にいる!」
柵で囲む空洞、地に深く。
「足場がない。タイマン、頼む」
“光”再び、輪を描き、被る隊員、其処にめがけ、羽ばたいていく。