チハココカラ〈7〉
振り出しに戻る。
何もかも、パーにされた気分だ。
――事を引っ掻き回すのが特技だ。
納得、したぞ。
ロウスにも呆れた。
いつの間にか、嫁さんと子供がいた。
「反対された」
ロウスは、そう、言って、口を閉じる。
「で、それで?」
瞼を痙攣させるバース、更に顎を突きだす。
「――。妻の父親が厳格でな、あれこれと、口を挟まれてた」
「嫁さん、一人娘か?」
「いや、妹が一人いる」
「〈妹〉は今、何処で何をしてるか、知っているのか?」
「誘導尋問だな?」
「俺はおまえに訊いてるのだ」
アルマさん、こいつ、職業絶対に間違ってますよ。
「私に助けを求めてどうする?ロウス」
鼻から息を荒く吹かせ、アルマ、身体を翻す。
「この人、お話しするの得意ではないのです」
「嫁さん、よく、こんなヘタレに惚れたな?」
「世話が妬きますよ。だから、私は決行致しました」
「ロウス、何を赤面してる?」
「もう、よせ!それより、どうするのだ?バース」
ああ、判ってる!
【国】を目指す為の《鍵》こいつの嫁さんの話では〈子供〉と〈タクト〉ではない、と、言うことだ。
――だったら、何の為に〈子供〉を集めたのだ!
即、激昂した。
――【国】を―――。
――声、ちっこくしたって判るかよ!
――【国】を蝕む《闇》を振り払うのに、必要なのです。でも、それは、間違いでした。
――それ、何処で気づいたのだよ!
――あなたたちが【あの場所】に到着する寸前に、です。
言い返せなかった。
こいつも、手探りで【国】を目指す方法を見つけた。
「誰かに脅されて、言われるがまま。そんな様子だ」
「おっしゃる通りです」
エターナ、顔に両手を被せ、肩を震わせる。
「あんたも、利用されてたのか」
バース、頭髪を掴み、息を大きく吐く。
「こんな、大掛かりな事をさせた、言い出しっぺ。あんたは、知ってるのだな?」
「はい」
「そいつは《闇》に染まってる。それも、判ってるのだな?」
エターナ、無言で頷く。
――――。
「実の娘に《その》頭数として“力”を植えた。それも、はた迷惑な話だが、其処に、持っていかせた経緯を辿れば、こうだ!」
――【国】を滅ぼす。その為に《鍵》とは何かを探らせた。
「それ、絶対〈答〉では、ないと、思います」
――タクト?
「よく、判らないけど【国】何て、関係無しのような気がします」
〈なにか〉を探してる《矢》が刺さった瞬間、そんな気持ちが入り込んだのです。
―――こいつ“同調の力”を?しかも“力”そのものから、読み取ったのか!
俺でも、それは、無理だ。何度か、試したが、身体に負荷があまりにも、掛かりすぎる。
「《血》は存在してる《鍵》と、提示したおまえは、間違ってはいない」
俺の部屋にアルマはいた。ロウスの嫁さんと、その娘を添い寝させたいと、言い出した結果、こうなった。
「ますます、ややこしい」
そっちに、来ていいか?
大歓迎だ。
バース、私は―――。
――――――。
バースの指先、アルマの肌を滑らせる。
吐息、甘く。それは、アルマ。
唇、這わせる。
バースもまた、アルマを深く、腕の中に包み込む。