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好きに生きていいって?  作者: クレバニ
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1話:あん時のじいさんが神様?

 目が覚めると知らない部屋にいた。

 壁も床も天井も真っ白でベッドすらない。

 あ、これ夢だわ。


「夢じゃないぞ」


 ほら、何か空耳聞こえるし。


「空耳でもないぞ」


 声に出して無いのに会話してるし。


「お主の思考を読み取っているのじゃ」


 電波発言繰り出してきやがったぞこの空耳!


「じゃから空耳ではないと言うのに。今姿を見せるから待っておれ」


 すると目の前が急に光だし、中からじいさんがでてきた。

 ほら、夢じゃん。



「久し振りじゃの。塔道矢太郎とうどうやたろう


 光の中から出て来たじじいが俺の名前を呼んだ。


「じいさんからじじいにランクダウンしておるぞ。これは夢ではない。ここは白の部屋。生と死の狭間の世界じゃ。矢太郎よ、わしに見覚えがあるじゃろう?」


 いいんだよ、電波なじいさんはじじい呼ばわりで。

 しかも生と死の狭間?白の部屋?わけわからんし。

 大体光の中から現れるような髭ながじじいに知り合いなんている筈…あっ!


「思い出したか?あの時は世話になったの」

「確か前に横断歩道橋で背負った?」

「そうじゃ。あの時は急に持病のぎっくり腰がきての。往生したわい」


 そう。俺はこのじいさんに見覚えがあった。


 2ヶ月ほど前、横断歩道橋の前で老人がしゃがんで腰をさすっていたのだ。

 丁度向こうに用事もあったし、何かそのじいさんが気になったので声をかけた。


「じいちゃん。大丈夫か?」

「おぉ、すまんのう。ちょいと腰が痛くての。階段がきつうて休んでおるんじゃ。」

「そうか。よかったら背負って登ろうか?俺も丁度向こうに渡るからさ。」

「なんと!よいのか?助かるのう。」

「おう!任せとけって!」


 そうして俺はじいさんを背負って階段を上がった。

 今思えば不自然な位軽かったな。


「お主、名は何という?」

「お主って、じいさん面白い言葉使うんだな。塔道矢太郎っていうんだ。」

「あぁ、これは昔からの癖での、気にせんでくれ。そうか、矢太郎か。しかし矢太郎は親切な人物じゃのう。わざわざ老人を背負ってくれる者なぞなかなかおらんぞ。」

「何となく気になったんだよ。俺も不思議でさ。いつもなら気にせず通りすぎるんだけどなー。」


 確かにそうだった。

 俺は別に親切な人間じゃない。

 デパートで迷子を見つけても無視するし、電車で席を譲ったことも1度位しかない。

 なのになぜかその時は声をかける気になったんだよな。


「そうか。しかしそれでいいと思うぞ。人間は聖者でもなんでもない。気が向いた時にする親切くらいで十分じゃろう。現にわしは助かったておるのじゃしのう。」

「また面白い事言うなーじいさん。まぁ、なんだが分かる気がするよ。っとここでいい?」


 階段を降りたところでじいさんを下ろした。

 改めて顔を見ると、最初は気づかなかったけど、このじいさん髭がスゲー立派だ。

 なんか仙人みたいに長くて白い髭が生えてる。


「うむ。大丈夫じゃ。腰もどうにかもどったようじゃしのう。助かったぞ。矢太郎よ。」

「ならよかった。じゃ俺はもう行くわ!じいさん元気でな!」

「あぁ、矢太郎も達者での」


 そう言って歩きだすと後ろから「お主が死せし時にはわしが面倒をみてやるかの」とか聞こえてきたので気になって振り返ると、そこにもうじいさんはいなかった。



 そして改めて白い部屋にいるじいさんを見た。

 確かにあのじいさんだ。

 服装はあん時の小汚いのと違って、「小汚いは余計じゃ!」今は真っ白なローブみたいなのをきていて、手には身長くらいあるこれまた白い杖を持っている。


「確かにあん時のじいさんだなー。で?一体これはどういうことなの?」

「うむ。簡単に言うとな、お主は死んだのじゃ。そして死後、魂の選別を受ける前にわしが特別に白の部屋によんだのじゃ。神としての。」


 。。。はい?え?死んだ?神?


「混乱するのも無理はないがの。思い出してみよ。お主は昨晩、信号無視のトラックにひかれたのじゃ。」

「昨晩?」



 混乱する頭をどうにか抑えて思い出してみる。

 昨日はいつも通り会社に行って、上司のパワハラに耐えながら仕事して、サービス残業して会社をでたのが日付けがかわる直前だったな。(因みにくそったれ上司は定時で帰った。)

 あのカス上司、無能のくせに言うことだけは一人前だからな。

 社長の縁故だか何だかで偉そうにしやがってよ!

 俺も別に有能ってわけじゃなかったけど、あのクズ程無能じゃなかったぞ!自分のミスは人のせい、人の手柄は自分のもの、とんでもないゴミ野郎だぜ。

 あー、思い出したら腹立ってきた!もう絶対辞めてやるぜ!「おーい、考えが逸れておるぞ?」


 ハッ!そうだったそうだった。

 今はあのタコのことは置いとかなくちゃな。

 で、会社をでて横断歩道を渡って駅に…あれ?駅に着いたっけ?

 そうだ!横断歩道の途中で左から何か光のが近づてきたと思たら、体が宙を舞ってたんだ。

 そして、歩行者信号の青い点滅を見ながら気が遠くなって……


「あの光はトラックのライトだったのか。。で俺は跳ね飛ばされて、死んだってこと?」

「そうじゃ!やっと思い出したか。どうやら居眠り運転だったようじゃの。何とも不運なことよ」

「そうか…俺、死んだのか…。」



 マジか…。齢22にして天命を知るとは。。



「俺が死んだのは何となく理解したよ。あの時の衝撃も思い出したし。で?これからどうなるの?」

「そこでわしがでてくるわけじゃ!わしが気づいた時にはすでにお主は死んだ後での。流石に神たるわしでも、死んだ人間を生き返らせることはできん。しかし、死後の魂ならわしにできんことはない!」

「神?えっ何、じいさん神様なの?」

「そうじゃ。さっき言ったであろう?」


 言ってたか?

 そういや生と死の狭間だとか言ってた時にはチョロっと聞いたか。


「あー、じいさんが神様なのは何となく理解したよ。人の考え読めるみたいだし、いかにもそれっぽい格好してるもんなー。」

「ようやく理解してくれたか。」

「でも、じいさんが神様だとすると一つ疑問があるんだけど」

「疑問?なんじゃ?」

「何で神様が階段の前でぎっくり腰になってたんだ?そもそも何で日本にいたの?」


 そうだよ!神様なら腰痛めたりしないだろ!

 しかし、急に現れた神様の存在にもう納得してる俺って、物分りよすぎだよな?


「あぁ、あれか。あの時はの、人間として下界に降りておったんじゃよ。下界に降りると、体も人に近くなるおかけであまり自由がきかんのじゃ。まぁそもそもぎっくり腰は持病じゃ。今も少し痛いわい。」


 神様なのに持病かよ!恐ろしいな、ぎっくり腰。俺も腰には気を付けよう。あっ、もう死んでたか。。


「下界へはたまに観光に行っておるんじゃ。あの日はたまたま日本におったがの。他の国にも良く行くぞ。なんせわしは地球の神、どこでも行きたい放題なのじゃ!」

「へー、そうだったんだ。神様って他にもいるの?」

「地球の神はわし一人じゃ。太陽や他の星はおるが、まぁ、まず会うことはないの。」



 どうやら神様ってのは割と自由らしい。

 しかし他の他の星にも神がいんのか。

 でも地球以外に生物っていないよな?何やってるんだ?



「他星の神は何もしておらん。神の主な役割は生命の管理じゃ。じゃからお主の考えの通り、生命の存在しない星の神はすることがない。いわゆるニートじゃ。」



 なんと。神様ですらニートになるのか。そりゃ人間にもニートが多くなるはずだよ。



「地球の神は一番忙しいが、一番楽しくもあるのじゃ。しかし、神も持ち回りじゃからの。あと500年もすればわしも火星へ行かねばならん。はー、嫌じゃのう。まぁ、今はそんな事はよい。大事なのお主のこれからよ」



 衝撃的な神様事情を聞いたところで、話を本筋に戻す。



「いや、これからって、俺はもう死んだんだろ?それとも何?生き返れるとか?」

「先程も言った通り、いくら神でも1度死んだ生命を蘇らすことはできん。そんな事をすれば色々問題が起きるからの。」



 そりゃそうか。

 死んだ人間が蘇ったりしたら周りがびっくりするよな。

 そのあと普通に暮らしていけるはずもないし。


「問題はそれだけではないがの。まぁよい。とにかくそういうわけでお主をもとの塔道弥太郎として蘇らすことはできん。じゃから新しい生命として地球に誕生するか、別の次元へ転移させてやろうと思うての。こうしてわし自ら白の部屋へ呼んだのじゃ!」


 そういいながらじいさんは胸をそらした。


「いろいろ聞きたいんだけど、まず最初に、さっきの言い方からすると、死んだ人間がみんなここに来るわけじゃないってこと?」

「そうじゃ。さっきも言った通り地球の神は一人。とても全部の魂の面倒は見きれん。じゃから死んだ者の魂は選別場へ送られ、そこで行き先がランダムに決まるのじゃ。新しい生命として人間に生まれ変わる者。人間以外の生命に生まれる者。基本はこの二通りじゃな。」



 成る程。所謂輪廻転生というやつか。


「例外なく前世の記憶は残らんがの。」じいさんはそう続けた。


 しかし人間以外に生まれるって例えば犬とか?


「1番多いのは虫じゃの」


 一寸の虫にも五分の魂とは良くいったものだ。

 うわー、いくら記憶がないとは言っても虫はきつい。

 1度生まれれば何の疑問も抱かず虫として行きていくのか。


「安心せい。お主が生まれ変わる時にはちゃんと人間として、しかも高スペックのイケメンとして転生させてやるわ。記憶はなくなるがの。」



 何とも魅力的な言葉が聞こえてきた。

 俺こと、塔道弥太郎は普通だった。

 不満もなかっただ、自分を誇れるようなものなかったからな。


「でもいいのか?神様がそんな贔屓みたいなことして。ランダムなんだろ?」


 さっき言っていたからな。行き先はランダムだって。



「よいのじゃ。わしは神じゃからな。これくらいのことはどうとでもなるわい!それにわしがお主を気に入ったからの。気にせんでよい。」


 うーむ。なんとも人間臭い神様もいたもんだ。

 そういやもう一つの道があったな。

 よくわからなかったから流してたが。


「なぁ、さっき言ってたもう一つの別の次元へ転移ってなんなの?」

「言葉の通り、異次元にある異世界への転移じゃ。これは地球での転生とはまた違っての。記憶をもって今姿のまま行くことができる。」

「なんだそれ!?そんなすげーことできるの?」

「神じゃからな?送る先はクラドールという世界での。昔他の神といっしょに遊びで作ったのじゃ。今は誰も管理しておらんが、おかしなことにはなっておらんじゃろう。」



 遊びで世界をつくるとか、神様ってのはぶっ飛んでやがる!



「まぁわしらも若かったたからの。そしてこのクラドールは剣と魔法ある、地球で言うところのゲームなような世界じゃ。人間以外にもいろんな知的生命体がいるぞ。」



 それは何とも楽しそうだな。俺も男だから多少はそういうのに憧れてた。

 でもそんな世界で自他共に認める普通人の俺が生きていけるのか?


「そこは安心せい。わし自ら転移さすのじゃ、向こうで不自由なく暮らせるようにしてやるわい。しかも普通の輪廻転生ではクラドールに行っても記憶がなくなり赤子からのスタートじゃが、さっきも言ったように矢太郎はそのまま転移させてやるからの」



 神様のフォローがつくなら安心だな。

 いやわからんけどなんか大丈夫な気がする。

 さすが神様。

 なんだかんだでこの体も22年生きてきて愛着もあるしな!このまま行けるにこしたことはない。


「じゃあ折角だし、異世界に行ってみるよ!」

「そうか!では早速お主に向こうで役立つ能力を幾つか授けよう。なぁに任せておけ、ばっちし大丈夫じゃ!」



 そういうと神様は右手を俺にむけて何やら唱え出した。

 そして神様の手が光だしたと思ったら、俺の体が光に包まれる。

 しばらくすると光が消えた。

 特に違和感はないな。


「よし!できたぞい!まずステータスをだしてみるのじゃ。少し念じればよい。」



 言われるがまま俺はステータスと念じた。



 名前:塔道矢太郎とうどうやたろう

 年齢:20

 レベル:1

 種族:人間

 職業:異世界人

 スキル:念動力(神特製)

 見抜く目(神特製)

 アイテム倉庫(神特製)

 HP:500

 筋力:100

 体力:100

 敏捷:100

 魅力:100

 運:100


「おっ!」


 なんか視界にでてきた。


「でたようじゃの。さて、説明してやるとしよう。」












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