閑話:パートナー契約(クロ視点)
契約の時のクロからの視点となります。
意外と大人びた性格になってしまった・・・。
目を覚ます。
今日も、この草原には心地よい風が吹いている。
目を覚ましたばかりだが、またウトウトして眠くなってくる。
今日もいい1日になりそうだ。
ふと、遠くに目をやると、いつも餌をくれる人間の雄が来た。
餌は美味しい。だけど、餌をくれる雄はどういうわけか気に入らない。
別に何かしてくるわけでもないのに、嫌悪感しかない。
今日は、どうやら人間の雌も来た様だ。
珍しいな~と思いながら、見るが、すぐにどうでもいいかと思い直す。
自分に関係がなかったらどうでもいいと思えるからだ。
うつらうつらと、日向ぼっこをしていると、美味しそうな匂いと嗅いだ事がない匂いが近づいてくる。
そちらを見ると、人間の雌がこちらに向かってくることが分かる。
日向ぼっこで、いい気分になっていたことに不機嫌になり、唸り声を上げる。
すると、人間の雌は餌だけを置いて離れていく。
ご飯を運んできただけなのであろうか。
わからない。
何かしてくるんじゃないかと考え、すぐには手を出さず、様子を見ることにする。
数分待ってみるが、特に動きは見られない。
いい匂いでお腹が空いてくる。
我慢できずに餌を食べることにする。
いつも通りの味はとても美味しく別段味が変わっているとかはなかった。
どうやらただ餌をくれただけのようだ。
餌を全部食べ終わっても、まだ食べたりない。
人間の雌からは、まだ餌の匂いがする。
まだ持っているのだろう。
確か、唸り声を上げたら餌を置いていったはず。
なら、もう1度唸ったら貰えるんじゃないだろうか?
人間の雌に近づき、唸り声を上げてみる。
しかし、餌をくれる様子はない。
どうしたら貰えるんだろうか。
考えてみてもわからない。
人間の雌が、いきなりこちらに近づいてくる。
まさか、罠だったのか。
逃げようと思うが、相手の戦力が分からない。
もしかしたら逃げられないかもしれない。
それなら、戦って死んだ方がましだろう。
少しでも、相手に自分を大きく見せるため、威嚇する。
すると、急に抱きついてくる。
突然のことに身を竦ませてしまう。
身の危険を感じるが、身体が動かない。
人間の雌は、身体を撫で始める。
最初は、気持ちよく感じた。
だが、ずっと撫でられると、恐怖を感じてくる。
もしかしたら、このまま開放されないのかもしれない。
そう言う考えが浮かんできて、怖くなってくる。
撫でられる感触が無くなり、人間の雌がこちらを見てくる。
すると、ご飯をくれる。
先程まで恐怖を覚えていたが、ご飯を食べたらどうでもよくなってきた。
何より、この雌はいい匂いがする。
餌を食べ終わり、満足する。
毛繕いをしていると、何かを確認しているようだ。
何をしているか分からないが、危害はなさそうだ。
「それじゃ、一緒に来てくれる?」
一緒に来てくれる?ということは、確か人間の雄がつれている猫の用に主従関係を結ぶということであろう。
この人間の雌についていくっていうことは、いい匂いもするし、おいしい餌も食べられる。
ただ、この草原にはもうこれないだろう。
考えるが、元々そこまでこの場所に執着は無い。
自分たちの声は、人間にはわからない。
ならば、と頷くことで同意を示す。
「ありがおとう!それじゃぁ【テイム】!」
すると、目の前にわからない文字列が書かれた半透明の何かが現れる。
多分、結ぶ際の確認なのだろう。
よくわからないけど、はいと返事をしておく。
見た目の変化は無いようだ。
ただ、人間の雌は、先程と違ってるようにみえる。
これが主人になったということなのだろう。
悪い気はしない。
「名前か~・・・。この子の名前・・・。
黒いからクロは単純すぎるか。」
クロ。初めて主人につけてもらえた名前。
その響きが気に入った。
今日から自分はクロという名前を持った。
主人は自分を抱きしめ、草原の出口を目指すようだ。
これからどんな生活をするのか楽しみだ。




