未知との遭遇です!
2/17 敵モンスターの名前に『』を追加しました。
休憩しながら、周囲を見渡してみる。
大体は、狩りを行うグループで、パーティー内の連携を練習しているようだ。
周囲の戦闘を見ているのだが疑問は大きくなる一方である。
勿論、他のグループが下手だなとかそういう考えではない。
戦っている相手が、『野犬』だけなのだ。
『野兎』が1匹もいない。
この現象が何を表しているのだろうか。
幼い頃、よく読んでいた図鑑では、兎の習性は何て書いていただろう。
うさぎ・・・うさぎ・・・。
確か・・・。
兎は賢く、警戒心が強い。耳は敏感で体温調節の機能がある。
天敵を見つけたらスタンピングと呼ばれる足ふみ行為で仲間に危険を知らせる。
種類によっては隠れる穴がある。
ここまでを思い出し、あることに気が付く。
『野兎』の天敵が現れて、隠れてしまったんだ。
その時である。
「ウオオオオオオオォォォォォン!」
と、遠吠えが聞こえる。
すぐに、隣の美紀が武器を取り、辺りを警戒しだす。
「理沙、あんたも構えておきな。
レアモンスターがどっかに現れたよ!」
つまり、あれはレアモンスターである『ウルフ』の遠吠えだったのだろう。
天敵である、『ウルフ』が現れたことで、『野兎』が一時的に隠れていなくなったのだ。
すぐに、短剣を構え、同じように辺りを見渡す。
すると、直ぐ近くで
「アオオオオォォォォン!」
と、聞こえてくる。
咄嗟に音の出所を探ると、クロがいるだけである。
今のは、クロが吠えたのだろう。
遠吠えは、コミュニケーションを取る手段の一つであったはず。
今、クロが吠えたということはそれに対して、返事をしたということ。
つまり・・・。
「美紀・・・。もしかしたら、今クロが『ウルフ』を呼んじゃったかもしれない。」
「えっ!?どっからくるかわかる!?」
美紀は、この辺りだと何の障害もなく敵を倒していけるようなレベルである。
そんな美紀が、ここまで慌てているということは、『ウルフ』は相当危険なのだろうか。
「いや、奇襲が上手いらしいんだよ。
レベル的には問題なくても、奇襲でやられたって話がβ組みの情報にあったでしょ?」
どうやら、警戒すべきは奇襲だけのようである。
どこから『ウルフ』がやってくるかはわからないが、やられないようにしたいなと考える。
先程の遠吠えから、辺りを警戒しているが、一向に『ウルフ』が現れる様子がない。
美紀と顔を見合わせるが、肩をすくめるだけであった。
来ないのか?と考えるが、油断は禁物であろう。
クロは、遠吠えをしてから何かを期待するかのように、尻尾をぶんぶんさせて上を見ている。
上・・・?
恐る恐る、上を見上げると・・・。
いた。空に浮かんでいた。
白い毛並み、いや白銀の毛並みを携えた、巨大な狼がそこにいた。
巨大すぎて、本当に狼なのかと疑問に思えてくるが。
(まるで、映画のモ○みたいな大きさだな。)
と、場違いな感想を抱く。
美紀に、手振りで白銀狼のことを示唆する。
美紀も、気づくと同時に口を開け絶句していた。
白銀狼も、こちらが見ていることに気づいたようで、空にまるで道があるかのように歩いてくる。
やがて、私たちの目の前に立つと、クロが白銀狼に飛びつく。
クロが危ない、と思い近づこうと思うが身体が思うように動かない。
だが、白銀狼はクロに危害を加えようとはせず、されるがままになっている。
まるで、子供が親に甘えているかのような光景に、理沙は目を見開いたのだった。
今日の更新は2話だけとなっています。
すみません。
後日閑話含めて4話を掲載したいと思います。
期待していた方すみません。




