トラブルはつきものです
2/17 一部分章を改稿しました。
現在、2人は【冒険者ギルド】の前に来ている。
何故、中に入らないのかというと人がたくさんいて、入れない状況だからだ。
「美紀、朝っていつもこうなの?」
「そんなわけないでしょ。朝は大体空いてるよ。
混むのはゲーム時間が夜になってからだね。
その日の狩りの報告をしたりする人が多いからね。」
と、説明してくれる。
ちょっと待ってて、と言い残し、美紀は近くのプレイヤーに事情を聞きに言った。
残されて、何もすることがないため、クロをモフモフしておくことにする。
クロのお腹をくすぐっている時に、美紀が戻ってきた。
「どうやら、喧嘩が起こったらしいね。」
「えっ?原因はなんなの?」
私の野次馬根性が発動してしまう。
気になるものはしょうがない。
「ん~、ちょっと理沙が聞いたら気分を悪くするかも知れないけど。」
と、前置きして話してくれた。
内容は、確かに私にも関係してくる話だった。
所謂、経験値トラブルである。
前に、美紀から説明を受けたとおり、調教師と召喚士は経験値計算が少しだけ変わってくる。
例えばある敵から100の経験値を貰えるとする。
6人編成でAのチームと調教師1人と調教用モンスター1匹が入ったBのチームがその敵を1体ずつ狩る場合、
○Aのチームの場合 100×1.6÷6=26.6667 この場合は小数点以下は四捨五入で27となる。
○Bのチームの場合 100×1.6÷4=40 調教師は調教用モンスターと20ずつとなる。
勿論、1人で素早く狩れるなら1人が絶対的に効率がいいが、人数が多いほどモンスターの沸き方も多くなるし、負担も1人辺りの分が減るようになっているのだ。
PTを組んだ方が特なのである。
そのために、この計算式を利用し、調教師や召喚士と組み、レベルを上げる手伝いをさせ、レベルが上がらなくなってきたから切り捨てた。
ということらしい。
それで、ギルド内で喧嘩となり、今の状況に至るとのこと。
「だから、調教師や召喚士はあんまり勧めたくないんだよね・・・。
こういった輩が時々いるからさ。」
美紀が、溜息をつきながら呟く。
もし、仮に美紀がおらず、1人でこのゲームを始めたら引っかかってたかもな~と考え、美紀に心の中で感謝しておく。
中の様子を見ることはできないが、一向に人だかりが動きを見せることはない。
このままでは、討伐報告を行うには随分時間がかかりそうである。
「でも、これ入れないよね?どうするの?美紀。」
「多分、誰かがこの状態をGMに報告するだろうからね。
先にスキルショップ覗こうか。
戻ってくる頃には、終わってるでしょ。」
美紀の提案により、先にスキルショップを覗くことにする。
スキルショップは、街の出口のすぐ近くにあった。
これは、戦闘でスキルが足りないなと感じたら、直ぐに街に戻って買えるようにという配慮らしい。
スキルショップの向かいには道具屋があり、これも同様の配慮である。
位置からすると、ギルドに戻るのは二度手間にはなるが、あの状況だったら仕方ないだろう。
スキルショップの扉を開け、中に入ると、ショーケースの棚が横一面に隙間なく置いてあった。
そして、中には四角いメモリーチップのようなものが置いてあり、横には値段と説明が記載されている。
これがスキルなのだろう。
物珍しさで、辺りをキョロキョロ見渡しながら、スキルを1つずつ確認していくことにした。




