チュートリアルを終えて
入口の方に向かっている途中、草原の子供たちを眺めている人が何人かいることに気づいた。
恐らく、彼らも調教師になろうとしているのだろう。
餌を持って近づく人、猫じゃらしのような植物を手に持っている人やスケッチをしている人などもいる。
彼らの成功を祈って、私は報告へ急ぐことにした。
「おっ?早速、戻ってきましたね。」
ティムさんはこちらに気づき、近寄ってきた。
そして、抱きかかえている子狼に気づくと少し驚いた顔をしている。
「ほぅ。その子が懐くとは。
いい人に出会えたようですね。」
笑顔を見せ、クロを撫でようとするティムさん。
だが、クロはプイッと顔を背けてしまう。
反抗期の子供みたいだな~と考え、思わず苦笑してしまう。
ティムさんもある程度、その反応は予想していたのだろう。
大して残念そうな顔も見せず、こちらに向き直った。
「それでは、チュートリアルクエストはこれにて終了となります。
その子を大事にしてくださいね。」
「はい!ありがとうございました!」
これでチュートリアルは終わったのだろう。
ティムさんとの会話が終わると同時にポーンと軽い音がした。
【チュートリアルクエスト:調教師への道 Clear!
報酬が送られます。
報酬:初心者の弓+矢筒セット SE
初心者の鞭 SE
初心者の短剣 SE
信頼の首輪
信頼のリストバンド 】
目の前に半透明のウィンドウが現れ、報酬受け取り画面となった。
確か、SEはセレクトの意味で武器を選べという意味なのだろう。
(まず弓、使ったこともないし、使いこなせるとは思えない。
鞭は・・・、不器用だから厳しそうかな・・・。
じゃぁ消去法で短剣かな。)
ウィンドウの短剣の部分を押し、受け取るを選択する。
すると、目の前に一つの短剣と首輪、そしてリストバンドが浮かんでいた。
手に取ると、短剣は見た目以上に重く、手にピッタリ収まった。
首輪とリストバンドには同じマークが刻まれていた。
黒い生地にピンク色の肉球のマークである。
首輪は調教モンスター用でリストバンドはプレイヤー用ということなのだろう。
装備をする前に効果の確認を行う。
「こういう時は、【アイテム確認】。」
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○初心者の短剣 30/30
効果:STR+4、DEX+1
この装備は耐久値が0になっても壊れない。
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○信頼の首輪
効果:調教用モンスターにつけることで効果を発揮する。
モンスターからの信頼を得ることでモンスターのステータスから最大10%が
リストバンド所有者に加算される。
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○信頼のリストバンド
効果:調教師が身につけることで効果を発揮する。
モンスターからの信頼を得ることで自分のステータスから最大10%が
首輪を装着したモンスターに加算される。
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鑑定した結果、こうなった。
あれ?意外と首輪とリストバンド強くない・・・?
初期からこんなもの装備してていいのかと不安になってしまう。
ただ、これが動物と共に成長していくという言葉の意味なのだと理解できた。
「報酬は受け取りましたね?
それでは、パートナーの子と共にこの世界を楽しんでください。
質問や転職の時が来たらまた、私を訪ねてください。」
笑顔で説明をしてくれるティムさん。
これで後は、冒険を始めるだけとなった。
美紀を待たせてしまっているかもと思い出し、ティムさんに別れを告げ、ロビーにいくことにした。
ロビーには、たくさんの人が・・・いなかった。
ちらほらと受付にクエストの申請を出す人はいたが、雑談をしている人がほとんどいなかったのだ。
外を覗いてみるが、【冒険者ギルド】に入る人はいたが、最初ほどはいなかった。
「狩りにでも出かけたのかな?」
そう、呟いてもわからない。
クロがこちらを見上げるだけだった。
「そういえば、どうやって美紀と連絡とろう・・・。
ここで待ってれば会えるかな・・・?」
美紀と一緒にやる予定なので、合流するまでなにもすることがなくなった理沙。
クロをモフモフしながらやれることの確認を行うことにした。
次回は街の散策とフィールドの紹介となります。
初めてのレベルアップまでは持って行きたいです・・・。




