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 日常とは、ささやかな毎日の積み重ねである。そしてそれは言ってしまえば、代わり映えのない日々ということである。小説や映画のように度々事件が起きては困るが、全くないのでは張り合いがない。それに今の私の現状には潤いがなさすぎる。だからこそ、何か面白いことを望んでいたのだが、どうやら神様というものは案外いるようで私の望みは叶えられることとなる。

 要するに事件が起きたわけだ。私はそれを、パオーン事件と呼んでいる。


 退屈な日々は遅々として、過ぎていく。そう、ゆっくりとだが月日は流れ、学校行事という名のイベントが幕を上げる。部活紹介やら、宿泊研修等ゴールデンウィークまでに予定は目白押しだが、その前にまずは成長の確認――身体測定が待ち構えていた。

 下ネタが言えた頃は楽しみなイベントだったが、今の状況では何もかもが冷めて見える。男性でいう賢者タイムというのは、こういう状態を指すのかもしれない。

 周りはキャキャウフフといった擬音が似合いそうな雰囲気の中、グループを作りゆっくりと楽しみながら身体測定を行っているが、賢者タイムの私には関係なく、手早く済ませると一人だけ終わっているといった状態となった。早い者勝ちというか、並んだ順から行っていき、女子特有の連帯感を無視すればこうなってしまうのだろう。うん、どこに出しても恥ずかしいボッチだな、私は。周りとのギャップがありすぎて、容易に近づけなくなってしまったせいだな。まあ、そこまで困るものでもないし、時間が解決してくれるだろう。

 そんなことを考えながら廊下を一人で歩き、教室に戻ってきた私は扉を開く。

 中には一人の生徒がいた。輝くようなそのプラチナブロンドは、ウリエルの薔薇と呼ばれる少女――駿河蒼で間違いないだろう。

 ただなぜか着替え中であり、半裸というか、ほぼ全裸だった。ゆえに女性と呼ぶにはあまり真っ平らな胸や、丸みのない男性的な角ばったフォルム、そして、なによりも股間のパオーンがパオーンだった。

 さて、私は下ネタが好きだ。とにかく好きで、大好きだ。だが、だからと言って、エロに耐性があるわけではない。漫画ぐらいなら大丈夫だが、実写ともなれば体調を崩すくらいには純真だ。

 つまり、覚悟もなく男性の裸を見たとあっては、無事でいられない。

 私は見事に気絶した。

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