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「……やっぱり、気になりますか」

 女装はしていても男なのだろう。ツッコミの時は生き生きとしていたが、逆に突っ込まれると生気を欠いている。男というものは業が深いものだ。

「寒気がしたんですが、変なこと想像してませんか?」

「人の業について、考えていただけさ」

 私の発言に駿河は目を細め、非難気に見つめてくる。ヤレヤレといった調子で首を振り彼に答えた。

「思考は個人の自由だよ。中に出さなければ問題はないだろう」

「それを言うなら――」

「『それを言うなら口です』と、キミは言う」

「それを言うなら口です! ハッ!」

 駿河は目を見開き、口に手を当て驚いている。素敵にノリがいいな。なんなのだろう、この胸の高鳴りは。もしや、これが恋なのだろうか。

「駿河くん、もしかしたら、私はキミに恋心を抱いているのかもしれない。このドキドキはそうとしか思えない!」

「……単にSなだけだと思いますよ」

「ふむ、それは君が興奮を抑えきれぬほど、いじりがいのある人間ということなのだね。いじりがいのある人間ということなのだね」

 大事なことのため二回連続で口にすると、汚物を見るような視線で見つめられた。背筋が震える。もしかして、私はMの血も入っているのだろうか。なんとも、業が深いことだ。

「……また、変なこと考えていそうですね。まあ、いいですけど」

「人間は考える葦である。人から思考を奪うことは神にもできないよ。さて、これ以上の寄り道はいらないだろう。回答を聞かせてもらおうか?」

 真剣な眼差しで見つめると、駿河は諦めたように小さくため息を吐いた。どうやら、話す気になったらしい。

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