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プロローグ
心地よい風が頬を撫でる。鼻腔をくすぐる香りは微かに甘く、見ると桜の花びらが舞っていた。
街路樹として植えられた桜の木は枝や葉先を綺麗に整えられ自然特有の野性味はないが、可憐な淡紅色の花弁はまるで一流の職人が作りだしたような完璧さを持って佇んでいる。
そんな桜に抱かれるように、道を歩く少女達も絵画から抜け出たような美しさを持つものばかりだ。
歩き方一つとっても背筋がしっかりと伸ばされ、歩行一つに品の良さがうかがえる。制服のスカートもソックスに届く程の丈があるにもかかわらず浅葱色を基調としたそれは野暮ったさはなく、センスよくまとめられている。
そして、少女たちが交わす挨拶は、「おはよう」ではなく、「ごきげんよう」だ。おまけにミッショ系なので、ロザリオは皆普通に所持しており、大体の生徒は洗礼名を持っているらしい。
そんな、聖ラファエル高校が私の通う高校だ。
さて、私はここで下ネタを言えるのだろうか?