表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生魔女と天才聖女 ~居場所をなくした私たち二人が、最強の相棒となって幸せを見つけにいく物語  作者: 汐柳伊織


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/30

11.闇に潜む悪意 ~歪んだ理想と思惑~

 一方その頃。


 大理石作りの広い一室に、その人物はいた。


 白を基調とした煌びやかな法衣を身にまとった男。


 白髪を後ろに流し、恰幅のいい身体で執務椅子に座っている。


 神殿長ガークス・エル・ヨハンセンだった。


「おい、シュレーゲン。あの小娘どもは最近どうしておる」


 神の教えを説く神殿の一室とは思えないくらい、豪華な調度品や絨毯などに支配されたその場所には、ガークス以外にももうひとり、金髪の男がいた。


「そうですね。いつもと変わらず、自由気ままと言いますか、他と歩調を合わせることもなく、例の娘ともども脳天気に暮らしているようです」


 執務机越しにそう報告した神殿長補佐官シュレーゲン・ドルトイの言葉に、ガークスはあからさまに不愉快そうに顔を歪めた。


「たく。ほんに目障りなクソガキどもめが。貧民というだけで虫唾(むしず)が走るというに。そのうえ社会秩序を乱しかねんほどの、傍若無人な振る舞いの数々。どれだけ神殿の規律を歪めれば気がすむのだ」


 吐き捨てるように言い、彼は机を右拳でどん、と叩いた。


「ですが、()の者が神殿に多大なる利益をもたらす存在であることもまた事実。本当に厄介ですな」


 中央でわけた前髪の隙間から碧眼を覗かせるシュレーゲンに、ガークスが舌打ちする。


「これもすべてはあの忌々しいクソ女のせいというわけか。奴がしゃしゃり出てこなければ、このようなややこしいことにならんですんだものを。なぜ、よりによって貧民なんぞ連れてきおった。ここは唯一絶対にして侵すべからざる貴族の聖域だぞ?」


「……まぁ、それだけ能力が高く、有能だったということなのでしょう」


 静かにそう締めるシュレーゲンに、ガークスは沈黙した。

 しばらくしたのち、「まぁよい」と、つまらなそうに呟き、立ち上がる。


「シュレーゲン。引き続き、儀式などの細々(こまごま)とした雑務のすべては貴様に任せる。あのような平民や貧民がうじゃうじゃいる空間など、迂闊に入って汚染されたら高貴なる我が血が汚れてしまうからな」


 そう言いながら窓辺へと歩いていく神殿長に、「承知いたしました」とシュレーゲンが応じ、部屋から出ていった。


 ひとり残されたガークスは、自室のある本殿三階窓から東の空を眺めた。


 そちらには聖女候補たちが住まう、聖女殿がある。


「陰る空に陽光なしか。まるでわしの心を映した鏡のようではないか。このままではいずれ、賎民どもの腐敗した淀みにすべてが飲み込まれてしまう。やはり、神に選ばれし者のみが住まう理想郷を、この手で築き上げるしかないというわけか」


 そう呟き、ガークスはどこか遠くを見るようにしながら薄く笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ